「みんなでマキエマキ!空想ピンク映画♡朗読選手権」にエントリーしてくれた人の中で、大泉りかさんの次に長い付き合いなのが俳優のリカヤ・スプナーさんだ。

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複数のディメンションで遭遇しているし、ご家族ともお会いしたことがあるし、いつ知り合ったのかわからなくなっている。
彼は河崎実監督の名作『日本以外全部沈没』に出演しているので、監督に紹介してもらったと思っていたけれど、新宿ロフトプラスワンで行われていた『毒蟲』(ゴシックでソフィスティケートされた平成の見世物小屋のようなイベント)でリカヤさんが司会をしていた時だという。
だとしたら2006年か2007年頃だ。

浜野佐知監督『こほろぎ嬢』
安藤ボン監督『ボン脳即菩薩』
廣木隆一監督『さよなら歌舞伎町』
など、私の好きな映画にたくさん出ている憧れの俳優さんでもある。

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相撲好きで、元相撲ギャルの私と話が合うのも楽しい。
しかし、ただの友だちを超えてリカヤさんのことを盟友と思うようになったのは、あるイベントがきっかけとなった。

安藤ボンちゃんは私と同じく女一匹で会社を起ち上げてAVを作ってきた人なんだけど、ある時、

エロを表現したいと思っている女の人って、私たちだけじゃないよね?
「エロ作品を企画したい女性の『場』がないだけじゃない?」

という話になり、ボンちゃんの会社のデザイナーのもも小春さんと3人で東京女子エロ画祭というコンペティションを始めたのだ。
第1回は2011年2月11日、東日本大震災のちょうどひと月前、大雪の積もった日の阿佐ヶ谷ロフトAで開催した。
この日の客席にリカヤさんもいた。

エロ画祭


当然「女の祭典なんだから女だけで投票して優勝を決めるべき」という考え方はあって、その後もフェミニストの方から「なんで男を入れるのか」と何度か言われた。
でも、私はそれでは意味がないと思っていた。
女が率直に表現できる場を男に見せて何かを受け取ってほしかったし、男を入れなければやる意味がないと思った。

しかし、案の定だったのだ。
通りかかった酔客が2人、「女」「エロ」という文字に反応して入ったものの、男性「だけ」を喜ばせるためのショーではないことに気づいて不満の声を挙げていた。
それはそうだろう。
社会には、エロ作品は男が作るもので男が消費するもの、女は被写体や演者として参加するだけのもの、という固定観念がある。

でも、無理解を恐れて男を隔離していては、どんなに女のエロの祭典をやったって、その状況は変わらない。
「また女が集まって吠えてるよ」と半笑いで片付けられるのが落ちである。
男性から見たら、どこがエロなのか理解できないという作品もあった。
しかしノミネートされた女性作家たちは懸命にプレゼンテーションを行い、会場の男性たちは自分の欲望に直結しなくても感動できるエロがあることに拍手を送ってくれるようになった。
プレゼンはもちろんのこと、隣りに居合わせた女性たちが発信する共感や笑いに男たちも影響されていくのだ。
この時、もっともたくさん拍手してくれた一人がリカヤさんだ。

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そして2018年開催の第5回まで全てのエロ画祭に参加して、いつも感想を寄せてくれているが、全回通しで見ている人間はリカヤさん一人しかいない。
男性客を入れ、男性にも投票してもらうこと自体が実験だったが、私は常に壇上にいるため、作家側からしか会場が見れない。
リカヤさんの反応から、男性客の空気というか温度を知ることができた。
リカヤさんが失望しない限り、女が自由を満喫する場に男性を入れる実験は失敗ではないと安心できたし、第5回のエロ画祭は男女の参加者数が同じだった。

最近のフェミニズムは女性も性を、エロを消費することを認めたがらないように見える。
「今こそエロ画祭を開催してラジカルフェミやツイフェミにカウンターをくらわす時なのでは!?」という声はたくさんいただくのだが、そのような狭義な動機でエロ画祭を開催することを、私はためらっている。
エロ画祭は「世間に対して大いなるイタズラを仕掛ける」という安藤ボンの願いから始めた祭だからだ。

楽しく、無意味でいい。
誰かを傷つける、やっつける、そういった意図は要らない。
好きなようにエロを表現する女性を見守り、巻き込まれ、その結果みんな楽しく踊り出すような祭でありたい。

そんな願いも密かにあって、今回の「みんなでマキエマキ!空想ピンク映画♡朗読選手権」を開催することにしたのだが、エロ画祭を見守ってきてくれたリカヤさんが今回は選手として出場してくれるという!
プロの映画俳優が物語を作り、演じてくれる。
こんなにうれしく光栄なことはない。

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リカヤさんから、
「ドキドキしています。
と、ともに今回のイベントは過去一くらい緊張しています。
早く、当日になって欲しい。」
というコメントをもらった。小さな現場だから力を抜くのではなく、小さな世界にも全力をこめて挑む人がプロなんだと思った。
彼と知り合って17年、こんな面白い祭を一緒にぶち上げてくれることに心から感謝している。
私たちの大いなるイタズラ、ぜひ皆さんに目撃してほしい!!