

先日、連続でボクシングのタイトルマッチがありましたが、大変なことが起きましたね。
重岡銀次朗選手が再挑戦していたのですが、フルラウンド打ち合ったあとにリングを降りず、コーナーに長い事いるなーと思っていたら、その後気を失いベンチで運ばれて行きました。
「急性右硬膜下血腫」だそうです。
開頭手術をした後も、まだ意識回復していないそうなので、相当厳しい状態だと思います。

『所属ジムの渡辺均会長(75)は30日、ジムの公式サイトで「自発呼吸が可能な状態となりました。回復に向けて良い経過をたどっており、本人も懸命に頑張っています」などと発表している。』
ボクシングは、素晴らしいスポーツですが、その後の人生に影を残すことが多いのが残念な部分でもあります。
私が、道場でそのような打ち合う練習をさせないのも、私自身が散々やって来て、武術の上達と直接関係無いという認識を得たのと、ある程度若いウチから打たれ慣れていないと、年を取るとダメージが違うからなんですね。
実際、実戦を学ぶなら師と極度の集中した空気感の中で学ぶべきですが、最近の武術やってる若い子の中には、軽いスパーみたいなノリでも目潰しやるバカもいるそうで、感覚的にズレてる感じがしますね。
防具を付けての打ち合いでも後遺症は残りますし、ましてや眼は替えが利きませんから、プロですらない私ですら軽く網膜剥離入っているので、ボクシング辞めた翌年から極端に視力は落ちましたが、三十年以上経った現在も飛蚊症には常に悩まされている状態です。

さて、約二ヶ月に渡って集中して形意拳を指導して来て、新しい試みが功を奏した感じで、短い間でしたが掌で発火させる暗勁の紹介までやることが出来ました。
私の学びは浅く、内容も中途半端なモノですが、武術として十分役に立つレベルまでは引き上げて来たつもりです。
禅問答のようで、なかなか身につけるのが難しい門派ではありますが、しっかりガイドラインは示せたと思うので、愚直に続けて行けば「半歩崩拳、あまねく天下を打つ」の境地には近づけるでしょう。
形意拳は、それを表現出来る身体感覚を会得するのが極めて難しい門派の一つで、シンプルな動きの中に膨大な条件が課されています。

『藤田和日郎先生の名作「からくりサーカス」の主人公が使う形意拳。画像は先生のXより拝借しました。』
細かい要訣の内観をコントロールし、開発された勁道を太くして行く作業が、結果的に威力を上げる唯一の方法とも言えます。
この学習体系は「雪だるま式」なので、初めは効果を感じず会得出来てる実感は殆どありません。
そもそも身体が開かないと、エネルギーが流れないので、骨格のコントロールを可能にする「内観」が無ければ、ただの置物になるだけです。
数多くの動画が公開されていますが、初学者の参考になるモノは殆ど無いので、外から観て学ぶには「観えている」ことが条件なので、下から上は視えない階層性がそこにはあります。
なので、必要になるのは上に登る「地図」であり、その要訣をしっかり認識した上でやらない限り、360度方位の学習になるので、紆余曲折くらいでは済まない荒地で迷子になるのがオチです。
しかし、気付きを増やし、要求を真摯に課して行けば、雪だるまのようにスタート時の玉は小さくとも、スピードが乗れば加速度的に玉は大きくなり、功夫は積まれて行きます。
なんとか学生たちに最初の気付きの戸口まで持って行けたと思うので、これからの成長が楽しみですね。
<おわり>
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