新宿のオアシスで本をまとめ買いしました。
バーゲンでしたので安かったですね。

さて、読んでいる本の書評を書きたいと思います。

「歌人たちの遺産:唱歌・童謡における神の恵み 池田勇人 文芸社」

日本の歌、唱歌には秘密があるという内容の本です。
読んでみれば、日本の歌とされている歌の作曲者や作詞者にはクリスチャンが多いのです。
本人がクリスチャンでなくても、家族がクリスチャンだったとか、
先生がクリスチャンだったとか、影響力は絶大です。


例えば「荒城の月」。
いわずと知れた、日本の歌の代表です。

作詞者は土井晩翠氏です。
荒城の月を発表したのは、結婚したころでした。
彼の奥様は熱心なクリスチャンであったのです。

娘さんは、大学時代にクリスチャンとなり結核で亡くなる時に、
みなさん泣かないでください。私はこれから一足先にイエス様の身元に行くのです。
泣く人は廊下の外に出て行って泣いてください。
と、いった信仰の人でした。

荒城の月の歌詞というと、「諸行無常の響きあり」の平家物語か、
方丈記に見える人生の無常に満ちた世界観を思い浮かべます。

しかし、作者が紹介しているのは、聖書の世界観と照らし合わせた解釈です。
4節は、このように始まっています。

「天上影は替わらねど」
地上の世には栄枯盛衰があるが、天の姿は変らない。

3節には、「替わらぬ光誰がためぞ」
永遠に変わらぬ光であるイエス様がいらっしゃるという解釈が成り立つというのです。

これは、まさしく伝道者の書(コヘレトの言葉)の世界観そのものです。
すべてはむなしいが、しかし、主を覚えることが全てだという希望に終わっているわけです。

土井氏本人がクリスチャンであったかどうかは、はっきりしませんが、
周りのクリスチャンの影響が荒城の月の歌詞にあらわされているのは、疑いのない事実です。


さて、作曲者は有名な滝廉太郎。
滝廉太郎は23歳の若さで亡くなっていますが、21歳の時に洗礼を受けています。
洗礼と同じころに、「荒城の月」を作曲しました。
そして、受洗の翌月に、あの有名な「春」を作曲するのです。


もう一人の方を紹介すると、作曲家の岡野貞一氏でしょう。
彼は作詞者の高野辰之氏とのコンビでたくさんの唱歌を作りました。

「紅葉」、「春が来た」、「春の小川」、「故郷」、「朧月夜」など、
みんな知っているメロディーの曲はこの二人のコンビの発表です。

この作曲者である岡野氏は、14歳で洗礼をうけて、オルガンを習いました。
生涯、教会のオルガニストとして聖歌隊の指揮者として奉仕されていたそうです。
そのために、彼の曲は歌い終わるとアーメンとつけたくなってしまう雰囲気があるそうです。
確かに故郷とかはアーメンといっても自然な雰囲気ですね。

ちなみに、この岡野氏のオルガンは夏目漱石の小説の三四郎に出てきます。
会堂に行ったみよ子を三四郎が待っていて、賛美歌に耳を傾けるというシーンのオルガンは彼の演奏であったということです。
42年間、本郷中央教会でオルガニストであった岡野氏のオルガンを漱石も聞いていたのでしょう。

彼は、家族に有名な曲を作曲したことを隠していたほどの、すべての栄光を主に帰したクリスチャンであったのです。

「故郷」の作曲者がクリスチャンであったなんて、、、。
日本人の心に根付いた歌の文化は、かなりの部分を賛美歌と日本人のクリスチャンたちによるものであったことを物語る良い証拠となっています。

ちなみに、「赤とんぼ」の作詞者である、三木露風氏もクリスチャン、
「さっちゃん」、「ねこふんじゃった」の作詞者の坂田寛夫氏もクリスチャン、、いやーすごいですね。

日本の歌におけるクリスチャンの影響力は無視できないくらい大きいことを知り、そして知らせるクリスチャンとなりたいと思います。

--------------------------
↓ クリックしてくださると、幸いです。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ キリスト教 福音派へ