2006年06月

2006年06月27日

着信アリ FINAL 25点(100点満点中)

パソコンがぶっ壊れた
公式サイト

秋元康原案のホラー映画シリーズ最終章(どうせ続くだろうが)。

三池崇史が監督を担当した一作目は、虐待の連鎖と呪いの連鎖をリンクさせるストーリー構成はそれなりに考えられており、映像的にも、生きたまま身体がボキボキにネジれて死ぬ吹石一恵などのストレートな惨死描写が印象に残る作品として、決して名作・傑作とは言えないものの、それなりに楽しめる映画となっていた。

そのヒットに気を良くし、調子に乗って作った二作目『着信アリ2』は、少しも恐くない映像&退屈な構成&破綻しまくったストーリー、という駄目さ加減に加え、話が1の続きなのでこれだけ見ても何が何やら全然わからないという、もはやどうしようもない最低の駄作。

これでおしまいかと思いきや、今度は深夜枠のTVシリーズとして連ドラ化されてしまい驚いたものだが、これは、各話の盛り上がりと引きによって興味を引きつけるという、連ドラの特性を活かした構成はそれなりに機能しており、また、映画における吹石一恵に代わり、小松彩夏が生きたまま身体がボキボキにネジれて死ぬ映像をはじめとする、呪いの犠牲者達の死に様も、TVという制約のなかで頑張って見せてくれており、劇場版とは完全に切り離された作品として、見て損はないレベルに終わった事は意外な収穫だった。

それらをうけて、三作目の映画となる本作は、再び1の続きの話として作られており、どうやら3は無かった事となっている模様。

あんな駄作を数に入れないのは正解とは思うが、そのくせ脚本家は2と同じ大良美波子というわけのわからなさ。2が駄作となった最大の要因を続投させるとは、本当にヒットさせる気があるのかと正気を疑ってしまう。エラい人の愛人ですか?

今回は呪いの対象を一クラス内に限定し、「転送すれば死なない」という新ギミックを用意する事で、呪いそのものだけでなく、友達同士で呪いを押しつけあう醜さを恐怖として描く狙い自体は面白いのだが、そのせっかく用意した要素があまりドラマの中で活かされておらず、結局これまでのシリーズと同様、特に意外性もなくどんどん人が死んで行くだけに終わってしまっているのは残念。

何より、これまではタイトルの通り、未来の死ぬ直前の自分から携帯電話に"着信"があり、その時の声を"通話"として聞く設定だったのが、今回は呪いの大元がPCから送信されている設定で、かかってきているのが通話なのかメールなのかがわからない曖昧な表現となっており、見ていて「この映画作った人、携帯持ってないの?」と思ってしまういい加減さを最後まで引きずっているお粗末さ。

それだけでなく、お約束である"死体の口の中の飴"も、途中から出てこなくなったと思ったら最後にまた出て来るなど、世界設定に関して詰めが甘すぎるのは大きな問題点であり、本当に真面目に作っているのか疑問に感じる。

また、本作の主演・堀北真希が演じるアスカの"正体"が、一つのメイン要素となっているのだが、かなり早い段階でどう見てもバレバレなため、後の方で正体が判明したところで何の驚きもなく、むしろ工夫の無さに唖然としてしまう。

しかも本作は1の続きという事で、相変わらず"美々子の呪い"を引きずっているのだが、どう考えてもアスカの恨みと美々子の呪いの関係性に何の説明も無いまま話が終わってしまうなど、今回もまた完全に破綻した内容となってしまっている。

日本の2ちゃんねらと韓国ネチズンが協力して呪いに対抗する明らかに『電車男』を意識した展開は少し笑えるのだが、笑わせてどうするのか。しかも微妙にネタが古い。韓国への修学旅行というあからさまに狙った舞台設定も、本筋に何の影響も与えておらず寒いだけに終わってしまっている。

おまけに韓国が舞台となる事で、もう一人の主演・黒木メイサ演じるエミリの彼氏役として、イケメン韓国人が登場し、それなりに活躍するのだが、彼の演じる役は聾唖者という設定で、当然ながら一言も喋らず。これでは韓国人である必要すらない。おそらくこれは、無意味な日韓合作を押しつけられたスタッフによる、せめてもの反抗なのだろうかと勘ぐってしまい面白い。だからといって本編が面白くなるわけでもないが。

いろんな死に様を見るのが面白いはずのシリーズで、今回も2に続いて特に面白い(恐い)死に様は無い。(強いて言うなら、予告でも使われている洗濯機あたりか)ホラー映画が恐くないのは致命的で、しかも話がつまらないとあっては、もはやどうしようもない。

本作は、出演者のファンか、ホラーなら何でもいいから観る人くらいにしかオススメ出来ない作品である。もしくは「リング」や「呪怨」なんかは恐すぎて観れないチキン向けソフトホラーとしては丁度いいのかもしれない。話がつまらない事に変わりはないが。

追記:お約束のごとく、過去のホラー作品からの引用やパクリが散見される本作だが、特に気になったのが"子供の身体で顔だけ大人の美々子"。これは山岸凉子『汐の音』に登場する"舞あけみの霊"からであろう。『汐の音』の場合は、そんな姿である事に意味があったからこそ恐かったのだが、本作では特に理由もなく、見た目の気持ち悪さだけでネタを使っている。作品の底の浅さがよくわかる一例



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2006年06月24日

ウルトラヴァイオレット 40点(100点満点中)

紫の上
公式サイト

カート・ウィマーが、ミラ・ジョボビッチ主演のSFアクション映画を新たに製作した」という報を聞いて、日本で公開される日を待ち望んでいた映画好きは多いだろう。

なにせカートは、"銃と剣と体術で近接戦闘を行う格闘術・ガン=カタ"によって、世界中のアクション映画ファンを魅了した傑作『リベリオン』の監督であり、ミラは、『フィフス・エレメント』『バイオ・ハザード』などで、コスチュームアクションヒロインとして文字通り"エロカッコいい"魅力を、自ら楽しんで発揮している女優である。

この両者が組めば、どんな物が出来上がってしまうのだろうと、たまらなくワクテカしてしまうのは、当然と言っていいだろう。

オープニングは何と、アメコミをメインとした、古今東西のコミックアーティスト(なぜか池上遼一も混じってたがw)の画風を模して描かれた"コミック版・ウルトラヴァイオレット"のブックレットのカバーアートが次々と現れるという演出。しかも同時に表示されるクレジットには、アメコミの"LETTER"を使用。(=アメコミの台詞などに通常使用される、手書き風の字体)最初の段階で、「この映画はマンガ映画です」と宣言してしいるという事であり、観る側の姿勢も、ここで示唆されているという事だ。「細かい事は気にするな!」と。

個人的には、この時点でかなりお腹一杯(笑)。DVDの特典で、このカバーアートの画集なんかが付いてたら、そっち目当てで喜んで買ってしまうだろう。

ストーリーは『リベリオン』と似た感じで、"一方的価値観の独裁支配に立ち向かうレジスタンスヒーローもの"なのだが、全体的な世界構築や物語の起伏などは、残念ながら『リベリオン』には及ばないものとなってしまっている。

ミラ演じる主人公は、とある事情から一人の謎の少年を守って戦う事となり、この少年が物語全体の鍵を握っているのだが、この子が全然可愛くないため、今ひとつ感情移入出来ないというのも大きなマイナス点の一つ。こういう部分は結構痛い。

ちなみにこの子、今度公開される、『X-MEN FINAL DECISION』にも重要な役で出てるらしいが、日本人にはわからない良さが、どこかにあるのだろうか? 理解しがたい。

が、この映画にみんなが期待しているのはそんなところではなく、やはり『リベリオン』で見られた様な、カッコ良すぎるアクションであろう。これさえ見られれば、話なんかどうでもいいと言っても問題ないのだ。

そのアクション面なのだが…、まずハッキリ言えるのはこの映画にガン=カタは登場しない。という事。

『リベリオン』に登場するガン=カタは、"決め・溜め"を重視した、空手の型をモチーフとした動きで、あくまでも"格闘術としてのカッコ良さ"を見せてくれたところが魅力であった。が、本作のアクションは、空手ではなく舞踊的中国武術をモチーフとしていると見受けられ、基本動作がガン=カタのそれとは全く違うため、独自性が薄れたものとなってしまっている。

また、監督が期待していたよりもミラが動けない事が判明したためか、アクションシーンが省略されている場面(戦う直前 → 別の場面 → 敵が全員倒れている といった展開)が異様に多くこれまた残念な事に。アクションを見に来たのにアクションを見せないとはどういう事か。

実際に、監督一流のセンスによる見事なカット割りでかなり見栄えよくしてはいるものの、ミラはその魅力たる長身痩躯のボディを若干持て余し気味で、よく見なくてもアクションに苦労している事がわかってしまうのだが、実のところ普通の女優である彼女に、あまり過度な期待をするのも可哀相というもので、その辺りは割り引いて見てあげるべきだろう。決めポーズの立ち姿は、文句無しにカッコいいのだから。

何より、複数の人間が入り乱れる乱戦でありながら、"誰が、どこで、何を、誰に対して、どう行っているのか"が、流れる様なカット割りでしっかり視認出来るという、先述の通り監督の持つ優れた映像構成能力は見事で、一対一の格闘なのに何がどうなっているのか全然わからない『バイオ・ハザード2』などに比べれば、そのクオリティは天地の開きがあり、充分に及第点のアクションは撮れているはずなのだが…、やはり『リベリオン』が頭にあると厳しい。(これは観る側の問題かもしれないが)

結局のところ、個人的には好きな作品となったが、本作は"B級バッドガール映画"として、そのジャンルや女優のファンにはそれなりに楽しめるという程度の出来に終わってしまっており、無条件に人にオススメ出来る様な作品ではない。興味のある人は期待せずに観る事

蛇足:劇中で何の説明もなく主人公の髪の色や服の色がコロコロ変わるのは、アメコミアクションフィギュアの定番である、"リペイント・バージョン"のオマージュであろう。最後に白 → 紅と変わるのは、流れる血と燃える感情とを合わせた視覚演出という意味もあるのだろうが。

蛇足その2:主演作品ではほとんど必ず貧乳を見せつけてくれるミラだが、今回は裸になるシーンはあるのに裸はほとんど全然映らないというヘンテコな撮影と編集でガッカリ。それ目当ての人は御愁傷様。


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2006年06月18日

DEATH NOTE -デスノート- 70点(100点満点中)

ウルトラマンマックス VS 仮面ライダー響鬼
公式サイト

原作:大場つぐみ、作画:小畑健の人気コミックの実写映画化。前後編の2回に分けて上映されるという形態を採っており、今回は前編。

原作漫画は、最近のジャンプにしてはハードかつネームの多い、異色のピカレスクものとして、購読者である若い世代から大いに支持され、信者と呼ばれるレベルのファンからは、「緻密な頭脳戦」「練り込まれた展開」と言った評価を得ているわけだが、実際のところは"後出し設定・ご都合主義・無意味に頭の悪い登場人物"による超展開の連続を、小畑健によるクールな作画と、ページを埋めつくすネームの圧倒的ビジュアルとで誤摩化しているというもので、そこまで高く評価されるほどの作品ではないというのが事実。

(フォロー:いや、オレはこの漫画好きですよ。でもね、そもそもこう言った作品に登場する「天才」というのは、絶対に作者よりも賢くは描けないのです。だから、「天才」の周りの人間をバカに描く事で、「天才」を相対的に賢く見せる事しか出来ないのです。この漫画は、明らかにその典型なのです。好き嫌いといい悪いは違うんです)

この漫画の実写映画化を担う事になったのが、古くは『みんなあげちゃう』に始まり、最近では『ホーリーランド』の実写ドラマの総監督を手がけるなど、漫画の実写映像化には定評のある金子修介監督。

実際の脚本化作業にあたって、監督と脚本家とのディスカッションが、どの程度行われたのかは不明であるが、長く情報量の多い原作漫画を、2時間の映画としてまとめるには最善に近い編集とアレンジが行われており、予想していたよりも完成度の高い脚本となっている。

まず、原作の"ネームの多さ"を、映画としての表現に置換するために、台詞やモノローグだけではなく、ノートのルールなどは画面上にテロップとして表示するなどして、原作を知らずに観る人間にも世界を理解出来る様な親切設計にすると同時に、言葉による説明だけに頼るのではなく、可能な限りビジュアルとして視覚化する事で、映画として公開する意味をも押さえている。原作読者にも、未読者にも、共に楽しんでもらおうとする、このバランス感覚は見事。

また、"死神のノートに名前を書いたら死ぬ"という、一歩間違えばギャグ漫画になってしまう様な、荒唐無稽なメインファクターを、マスコミ報道や群衆の会話などを多用する事で、観客の現実世界と映画の作品世界との境界をなくす演出手法をとっている。これはかつて金子修介が平成ガメラ3部作で、"巨大なカメが暴れる"という、荒唐無稽なマンガ的世界観を、リアルなものとして観客に体感させようとした手法と同じ、手慣れたものであり、より洗練されていたものとなっている。

更に、ストーリーやキャラクターには、いくつかの改変がなされているのだが、これは、最初に述べた、原作にある数々の"突っ込みどころ"を、作品として不備のないレベルとするための変更であり、ストーリーに無理が生じない様、よく考えられたものとなっている。と同時に、長いストーリーをまとめる役割も果たしている。

特に、映画化に当たって最も大きい変更箇所である、ヒロイン・詩織の存在などは、この様な"上からの押しつけ"と推察されるキャラクターにありがちな、"一人だけ世界から浮いてる"感もなく、原作の展開にリンクしつつ、終盤のオリジナル展開を盛り上げる重要な役どころとして見事に機能しており、この辺りにも、金子修介はじめとするスタッフの、優れたバランス感覚が見受けられる。

ほぼ原作通りに進む前半、南空ナオミとの対決がほぼオリジナルへと改変されている後半ともに、テンポよく見どころを散りばめ、最後まで飽きさせないまま、後編への引きを最大の盛り上がりとする、この全体的な構成はよく練られており、先述通り、原作を知る知らないに関わらず、充分に楽しめ、次回への興味を大いに引き立てられるものとなっている。

更に言うなら、原作読者にとっては、原作通りに進む前半によって、すんなりと絵→実写と切り替わった作品世界内に入る事が出来、途中から、原作ファンにとって不自然ではない程度に展開が変わっていく事で、最後までどうなるのかわからない、ハラハラドキドキ感が楽しめてしまうと言う、単に原作を忠実に再現しただけでは味わえない楽しさも、本作は与えてくれるのだ。

正直なところ、この映画がここまで楽しめる出来になっているとは全く予想しておらず、まさに嬉しい誤算だリュークのCGがチープなのがマイナス点だが、何とかガマン出来るレベルだ。11月公開となる後編は、おそらく今回以上にオリジナルの展開となるであろうと推測されるが、今回の出来をふまえれば不安はなく、むしろ期待出来るものだろう。

まあ、期待しすぎると、足下をすくわれるのが定石だがw

蛇足:本作に登場する女性陣、モデル時代から注目していた香椎由宇、子役時代からチェックしていた戸田恵梨香、沖縄アクターズスクール時代から(以下略)満島ひかりと、個人的に応援している娘らばかりで非常に嬉しい。見ているだけで眼福というものだ。(もう一人誰かいた様な気がするが忘れた)

蛇足その2:先述の粧裕役・満島ひかりはもちろん、金子修介が立ち上げに関わった『ウルトラマンマックス』つながりであろうが、もう一人、『ホーリーランド』『ウルトラマンマックス』に続く、金子作品連続出演となる、松田役・青山草太は、よほど金子に気に入られているのだろう。確かに、ちょっと変わった存在感の青年ではあるが…、アッー!な関係で無い事を祈る。

蛇足その3:シブタクの悪党っぷりが、大幅にグレードアップされてて笑った。アレは死んで正解(笑



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2006年06月16日

TRICK 劇場版2 40点(100点満点中)

ザ・超能力
公式サイト

仲間由紀恵と阿部寛のダブル主演による、コメディタッチのミステリードラマが、劇場版2作目にしてついに完結!というふれこみだが、評判が良ければまた続くだろう。

超常現象を騙るインチキのカラクリを、奇術師・山田が見破る。という本シリーズの基本路線は今回も変わらず。一応完結編をうたっているためか、意図的に既出のネタを組み合わせた、集大成的内容となっている。これを、シリーズを見続けたファンに対するサービスと見るか、単なる使い回しと見るかは人によって異なるであろうが、前者だと思いたいところだ。

本作のメインファクターのひとつたる超常現象のトリックに関しては、先述の通り目新しいものはないが、もうひとつの本シリーズの特徴である、"画面のそこかしこに次々と散りばめられ続ける小ネタ"に関しては、今回は一度の鑑賞で全てを拾いきるのは困難なほど大量に、しかもテンポよく詰め込まれており、それを追っているだけでも充分楽しめる様にもなっている。

しかもそれらネタの一部が本筋の展開にも影響を与えているなど、一つ一つが考えられたものとなっており、単なるギャグの羅列で終わっていないところは感心する。

が、ストーリー自体や映像面などは、TVスペシャル版と比較しても、劇場版として公開するにふさわしいレベルのものになっているかと言うと、その点では少し厳しい。

特に上田の格闘シーンなどはビデオの画質丸出しのまま処理されており、この様な、どう考えても意図的ではないチープさが見えてしまう部分には、少し首を傾げてしまう。

また、冒頭の、岩が崖を昇るシーンの映像なども、画面が暗すぎて岩が動いているところがよく見えないなど、これは本作に限らず、堤幸彦作品の全てに言える事なのだが、映像的な部分でのこだわりのなさが散見されるというマイナス点もある。

実際、ラストの長回し空撮カット以外は、劇場版ならではの画面構成というものがほとんど見受けられず、撮り方がTVと変わっていない様に思えてしまい、今ひとつ踏み込みの足りなさを感じてしまう結果に。



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2006年06月15日

初恋 40点(100点満点中)

花園実業高校 影の大番長
公式サイト

「私は三億円事件の犯人かもしれない」と称する謎の人物が発表した同名小説の映画化。

タイトルとなっている"初恋"は、メインテーマというよりはむしろ隠し要素として登場し、メインとなるのは当時を生きた若者達の描写と、三億円事件の(作品世界内での)真相である。

本作は、ここ最近、『三丁目の夕日』など、"古き良き昭和"をノスタルジックに描いた作品がいくつか作られているのとは真逆に、大阪万博前夜、安保闘争真っ盛りの"時代"に生きる若者達の、堕落し屈折した生き様が、リアルな空気感でかったるく描写された、時代の闇の側面に視点を絞った作品となっている。

宮崎あおい演じる主人公をはじめとした若者達を、冒頭より"何を考えてるのかわからない存在"として動かし続ける事で、当時の一見堕落した印象を受ける若者像をリアルに表現し、また、薄暗い画面や突き放したかの様な長回しカットを多用する事で、当時の厭世観とも言うべき時代の空気をも醸し出しておる。

それが狙いであるのは充分わかるのだが、そのせいで、「だるい、眠い」と感じ、投げ出してしまう人もいるであろう事も事実。万人向けの娯楽作品ではない事は確かだが、映像・演出的にはしっかり作りこまれているので、ちゃんと見ないと損だ。

上述の演出により、当初は感情移入を拒まれていた登場人物達ではあったのだが、本題である三億円事件にストーリーが展開しだしたあたりから、主人公視点やアップを多用するなど、一転して臨場感溢れる演出へと切り替わり、"犯行"が行われるあたりでは、もうハラハラドキドキとすっかり感情移入してしまっている事に気づかされる。このギャップはかなり上手く、前半の気怠さに耐える事が出来た者だけが、これを楽しめるのだ。

"事件"の後も物語は続き、いくつかの"真相"が明らかになる下りは、ベタではあるのだがそれなりに上手くまとまっている様に思う。なかなかの良作。一見の価値はある。

蛇足:小嶺麗奈がひっそりと脱いでるのだが、これには一見の価値はない(笑



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2006年06月13日

オーメン 20点(100点満点中)

0マン
公式サイト

説明不要の超有名オカルト映画のリメイク。06年06月06日に公開したいというだけの理由で作られた模様。

基本的なストーリーは、旧作とほぼ同じ。年代に合わせて背景や小道具が変わっていたり、旧作より説明が増えていて親切になっていたり、犠牲者の死に方が違う場合があったりと、ところどころ改変されてはいるのだが、その事で旧作より面白くなっているかというと全然そんな事はない

そもそも旧作は、緻密に計算されつくした画面作りの巧妙さや、荘厳にして圧倒的なBGMによって、印象に強く残る場面が多いのだが、恐怖描写に関しては、同時期のホラー映画と比較しても、さほど優れている事はなく、ホラーと言うよりはオカルトを主軸にしたミステリー作品と言う属性が強い映画であった。

ひるがえって本リメイクは、ショッカー映画としての側面を強く打ち出そうとしたらしく、大きな音とともにカットを切り換えるなどの、観客をビックリさせる演出が散見される。が、『リング』『呪怨』などの新世代和製ホラーによって、驚愕と恐怖は別の感情であり、恐怖を映像として演出できている映画こそが、本当に恐い映画なのだ、という事をハリウッド映画人は知ったはずなのに、いまだに安直なショッカー演出で誤摩化そうとしている様では、程度が低いと思われても仕方ないだろう。古い映画のリメイクだからというのは言い訳にはなるまい。

当然ながら、画面作りや音楽なども、それなりの出来ではあり、決して悪くはないのだが、出来が良すぎる旧作には残念ながら及ばない。

結局のところ、本作は、旧作を観た事がある人は旧作の出来の良さを再認識する結果となり、旧作を観た事がない人は旧作を観ればいいだけと、正直、リアルタイムで666の日に公開開始されたという事しか存在理由が無い、困った作品である。



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2006年06月07日

ダ・ヴィンチ・コード 15点(100点満点中)

天皇陛下は人間ですが何か問題でも?
公式サイト

とりあえず宗教論はパスして作品としてどうかだけを。

世界中でベストセラーになってるらしい同名小説の実写映画化。「キリストに子孫がいる」という、「青森にキリストの本当の墓がある」だの、「ケネディ暗殺は宇宙人の陰謀」だのと変わらないレベルのオカルト説を、矢追純一やMMR程度の説得力で書かれてるだけの小説が、キリスト教が生活に根付いている欧米はともかくとして、日本でなぜこんな本が売れているのか理解に苦しむところ。

ストーリーは、一人の男の怪死をきっかけとして、その裏に隠されたキリストにまつわる秘密や陰謀、真相が明らかになっていくというものなのだが、どうやって謎や真相が明らかになるかと言えば、"知ってる人に聞く"か"伏線もなく唐突に思い浮かぶ"という、何の工夫もない展開。しかもその"知ってる人"は、"主人公の昔の知人"や"伏線もなく唐突に登場する関係者"など、これまた何の工夫もないキャラ設定というお粗末さ。更にそれらのほとんどが台詞やモノローグで延々と語られるという、「これ、映画にする意味あったの?」という疑問しか浮かばない状態。

終盤近くなって「この人がキリストの子孫なんだ!」という"真相"が明らかになる場面が最大のクライマックスらしいのだが、かなり早い段階の謎の説明で、「ああ、じゃあこの人がキリストの子孫なのか」と誰でも考える人がそのまんまその通りなので全然驚きも盛り上がりもせず「何を今更」と呆れってしまう始末。最後の最後にもう一つの"真相"も明らかになるという、二段オチを狙ったギミックも用意されてはいるのだが、それも「いや、説明なかっただろ」「それがどうした」としか言えないお粗末なもの。

というわけで、本作はそもそも原作からして大して面白くないのだが、それはそれとして、映画として面白く作られているかというと全然そんな事はなく、映像的に見るべきところも特になく、長いだけで退屈きわまりない凡作となってしまっている。



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