2006年03月29日

サウンド・オブ・サンダー 65点(100点満点中)

雷伝説
公式サイト

古典SF作家レイ・ブラッドベリの同名小説を元にしたSFアクション映画。原作はタイムトラベルによる歴史改変を描いた短編で、歴史が変わったところで話が終わってしまうのだが、本作はその先の展開を追加しており、過去への干渉により変化してしまった地球の生態系が、「時間の波」と呼ばれる現象とともに段階的に変化していく様子の描写と、進化を正常に戻すために奔走する主人公達のサバイバルアクションがメインとなっており、原作とは全く違った印象の作品となっている。というか凄くヘンな映画である。

ブラッドベリ原作のSF映画と言えば、「原子怪獣あらわる」なども、原作とは全く違った作品になっている事が思い起こされ、つくづく映画化に運の無い作家なのだと痛感させられる。

本作、超大作SFサスペンスアクション映画であるかの様な宣伝が行われているのだが、実際の作品は、種々の製作上の事情により予算規模が大幅に縮小されてしまったため、21世紀の映画とは思えない、70年代テイスト溢れるB級モンスター映画となってしまっているのだ。個人的にはその手の作品は大好物で、本作も非常に楽しんで観る事が出来たのだが、リアルなCGを駆使した超大作を期待していたであろう普通の観客にとっては、大いにガッカリさせられる結果となってしまっている事は間違いなく、なんとも御愁傷様である。

映像的には、上述の通り話のスケールに対して予算が足りなすぎるため、ミニチュアやプロップは作り物丸出しで、CGや合成のクオリティも日本のTV番組レベルと、決して褒められたものではないが、何度も同じ時間を行き来する場面に、何度も同じ映像を繰り返し使うなど、演出手法として工夫されている部分もあり、とりあえず頑張っているのはわかる

生態系の変化によって登場する異形の生物達は、ご丁寧にも陸・海・空の3種類が登場するのだが、何故か3種とも肉食獣で、植物もやたらと攻撃的と、食物連鎖の概念を無視しすぎだろうと突っ込みたくなる程の、地獄の様な世界が描かれており、B級映画的ご都合主義世界設定が全開である。これを楽しめるか楽しめないかで、この映画の評価は天地に別れる。もちろん個人的には大喜びである。こんな70年代デザインのモンスターを、新作映画で見れるなんて、楽しくて仕方がないのだ。

ストーリー的には、タイムマシンものでは定番の「先祖殺しのパラドックス」が根底となっている。「ドラえもん」などの子供作品でもお馴染みで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などのヒット作もあり、普通の日本人に取っては説明の必要もない題材だろう。が、当初、商売として行っていた「恐竜狩りツアー」は、歴史的事実として死ぬ事が決まっている一体の恐竜を、「本来の死」の直前に狩って殺す、という行為を、客を変えて何度も何度も同じ時間に行く事で、何度も何度も行っている。という、歴史分岐による無数のパラレルワールドを想起させる概念の元に描かれていたのに対し、事件の解決法は、「先祖殺し」が行われた瞬間に戻ってそれを阻止する、というもの。これは冒頭の描写と明らかに矛盾しており、とてもフォローできない問題点である。が、そんな厳密なSF考証を求められている作品でもない(笑)ので、深く考えない方がいいだろう。

本作は他にも、話を進めるためだけに用意されている都合のいいギミックが満載で、突っ込みどころは無限に点在するのだが、そういった部分を大いに突っ込み、ヘンテコなデザインのモンスターの活躍や、登場人物達の理不尽な行動を楽しむ事が出来る人間に取っては、宝箱の様な娯楽映画となっているのだ。テレ東の洋画劇場や深夜枠などで地上波放送されれば、実況板が大賑わいになる事は間違いない。



tsubuanco at 14:42│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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1. サウンド・オブ・サンダー  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年05月11日 17:40
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