2006年04月14日

立喰師列伝 65点(100点満点中)

はらたまでもコロッケと蕎麦はどう考えても合わん
公式サイト

今や世界的知名度を得てしまった天才と紙一重のアニメーション作家・押井守が、「タイムボカンシリーズ」や「うる星やつら」の頃から裏ネタとして多用していた、"立ち喰い"をメインテーマとした久々の実写映画をついに製作し、劇場作品として上映してしまうという暴挙に出た。まあ押井の実写映画は全部暴挙なんだが。
「ビューティフル・ドリーマー」で衝撃を受け、「紅い眼鏡」でドップリと押井ワールドに魅了された者としては、是非とも観に行かなければなるまい。

"立喰師"とは、立ち食い蕎麦屋などで、あの手この手で店主を煙に巻き、金を払わずに店を出る事を生業としている言わば"食い逃げのプロ"という、押井守が勝手に創作した肩書き。ではあるが、実は山上たつひこの「がきデカ」にて、先に使われているネタだという事実はあまり知られていないのだが、知らない事にしておいた方がいいだろう。

本作は、"月見の銀二"、"ケツネコロッケのお銀"など、これまでの押井作品に登場した様々な立喰師達を、山寺宏一のナレーションにて具体的に紹介するとともに、戦後の昭和史をドキュメンタリー形式で語るという体裁を取っている。
それと同時に、「攻殻機動隊」の1/10以下ともいわれる低予算を逆手に取って、切り絵を動かす"ゲキメーション"ならぬ写真を動かす"オシメーション"なる、これまた観客を煙に巻く表現手法で2時間弱の映画を作ってしまっているという、どこまで本気なのかわからない押井守らしさが炸裂した映像となっている。

基本的には"笑わせる映画"として作られており、"真っ白に燃え尽きる店長"や"『ディズニーランド』という台詞にいちいちピー音が入る"など、わかりやすい笑いどころもあるにはあるのだが、出演者の演技力を必要としない映像手法である事を利用し、押井の友人の業界人に立喰師のコスプレをさせて出演させるなど、ほとんど全編がマニアックなネタで埋めつくされている仕様。

上述のわかりにくいギャグや、相変わらずの青臭い左翼的思想の発露、どうでもいい事を意図的にややこしく説明しているナレーション、そして全編を通じてのオシメーションと、本作が一般層に受け入れられる要素は一つもない
が、そんな事は本作に関わった押井守本人を含む全てのスタッフも、あえてこの映画を観に行く事を決めた観客も、重々承知の事であり、そこには「騙した、騙された」などという概念は存在しえないのだ。何も知らずに迷い込んだ一般人は自業自得です。

「未来放浪ガルディーン」イメージアルバムの収録曲以来久々に聞く事になる、兵藤まこが歌う本作主題歌がかなりツボに来た。彼女の歌声と川井憲次の曲はかなり相性がいい様だ。




tsubuanco at 17:24│Comments(9)TrackBack(2)clip!映画 

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1. 「女立喰師列伝」ケツネコロッケのお銀-パレスチナ死闘編-  [ ひねもすのたりの日々 ]   2006年10月10日 17:18
「COMICリュウ」の付録DVDに収録。 内容は、、、、、犬、銃、立喰い蕎麦にモ
2. 立喰師列伝  [ “ちょいマニ”シアター ]   2007年01月16日 23:52
『イノセンス』で唯一出来なかった「“言葉”と“観念的な動き”だけで人間を描く」事に成功した作品。

この記事へのコメント

1. Posted by ゲンダイ   2006年04月17日 18:41
ミニパトの主題歌も兵藤まこだったんですが…
2. Posted by つぶあんこ   2006年04月17日 20:02
どうもです。
や、私が聴くのはガルディーン以来って事なんです。
ミニパトはまだ未見です。押井ファン失格ですねスイマセン。
3. Posted by 脱出用ハリアー   2006年07月26日 12:23
点数つけることすら拒否してる映画だな。
嫌いではない(笑)
4. Posted by 通りすがり   2006年07月26日 15:23
5 >>何も知らずに迷い込んだ一般人は自業自得です。

パヤオの息子様もそのお一人のようですね。
なんか哀れです。

http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000252.html
5. Posted by つぶあんこ   2006年07月26日 22:23
押井信者なら100点、一般人なら0点というのが
妥当な採点でしょうか(笑

天才の息子も大変でしょうねえ。
我が事じゃないので知ったこっちゃないですが。
6. Posted by カトキチ   2007年01月16日 23:59
どうも、様々な映画ブログを渡り歩いてこちらにたどり着きました。『立喰師列伝』は私好きなんですけど、こうやって支持されてる方をみると感動します。
7. Posted by つぶあんこ   2007年01月17日 17:17
ヘンな映画が好きなもんで。
8. Posted by udon   2007年10月23日 01:25
感想ではなく、紹介ですねw

しかし、この映画の「おもしろさ」が分からないという人に対して、「おもしろさ」を説明(紹介)し出すと、止まらなくなる映画ではあると思います。

僕も先日、「赤い眼鏡」を初めて観ましたが、名ゼリフの宝庫という感じで、かなり楽しめました(ほぼ引用でしたけど)

勿論、「立ち食い師」も好きです。
あの映像については、押井監督がゲーム好きなんで、「街」の手法を使ったんだと思うんですけどね。
9. Posted by つぶあんこ   2007年10月23日 18:31
言っても無駄な場合が多い、と経験済みです。

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