2006年04月26日

トム・ヤム・クン! 80点(100点満点中)

トン吉チン平カン太象とおじさん
公式サイト

マッハ!』に続いて日本公開された、トニー・ジャー主演のムエタイアクション映画。スケールは前作に比べ大幅にアップしており、前作の世界的ヒットで稼いだ金をつぎ込んだものと思われる。

『マッハ!』のストーリーは、盗まれた仏像を追ってタイの田舎から街へとやって来たトニーが、凶悪な犯罪組織を相手に古式ムエタイで戦うというものだったが、今回は盗まれた象の親子を追ってタイからオーストラリアへとやって来たトニーが、凶悪な犯罪組織を相手に古式ムエタイで戦うというもの。要するにほとんど同じなわけだが、トニー映画はアクションを楽しむ事が目的なので、ストーリーはどうでもいいのだ。

また、アジア人が白人文化圏へやって来て、地元の悪い奴らを退治すると言う、作品自体の大まかな流れは、ブルース・リーの『ドラゴンへの道』や、ジャッキー・チェンの『レッド・ブロンクス』などとよく似ており、世界的アクションスターの先輩である両者を意識して作られているのであろうとも考えられる。(特にジャッキーに関しては、トニーが空港でジャッキーのそっくりさんとニアミスするシーンが用意されていて笑えた)

今回トニーが戦う組織は、オーストラリアの華僑マフィア。手下の中国拳法・武術の使い手達の他、カポエラ使いやプロレスラーなど、様々な使い手達と戦う事で、全編通じて単調にならない様、見せ場をテンポよく配置した構成されている。

華僑マフィアが経営するアングラ料理店にトニーが殴り込む一連のシーンは、扉をくぐってから続々と現れる敵を倒しつつ最上階に登りつくまでの一連の流れを、一度もカットを割らない長回しで見せると言う、スタッフ・キャストともに気合いの入った映像を見せられて驚嘆する。この長回しを撮るためだけにかけられた時間と労力と技術を考えただけでも、本作を観てよかったと思えるのだ。

ダンボー中盤、主人公が匿われる事になるタイ寺院が放火され、燃え盛る壁や仏像と、火事によって作動したスプリンクラーで水浸しとなった床という、まさに"上は大火事・下は大水"状態で繰り広げられる、トニーとカポエラ使いとの異種格闘技戦は、古くからの格闘技ファンにはたまらないマッチングだ。最近日本のカルチャースクールなどで教えられているカポエラは、舞踊体操として特化されたものだが、このカポエラは実戦的格闘術。まさに梶原一騎の劇画の描写そのままに、脚をブンブン振り回し、逆さまになって相手を攻撃するファイトスタイルはあまりにカッコ良く、単なるヤラレ役として出されているのがもったいない程だ。そいつを古式ムエタイで真っ向から倒すトニーもまたカッコいい。格闘的観点では、ここが一番の見せ場であろう。

終盤のバトルでは、トニーが数十人を相手に一人で戦い、全員の関節をへし折って倒すという、百人斬りならぬ百人折りとでも言うべき、過去に例を見ない格闘シーンも用意されており、本当に折ってるんじゃないかと思わせる様な鋭い極め技の連続は、「ドテポキグシャ」とバラエティ番組並に大げさなSEの挿入も手伝い迫力満点。

力や頑丈さでは敵わないプロレスラーとの戦いも、"象の力を借りる"事で互角以上の強さを得るという展開となり、ストーリーの主軸である象探しをアクションにも活かしたものとなっている。

『マッハ!』ではクドさを感じてしまう原因となった、"見せ場のスローリピート"は今回使われておらず、アクションをテンポよく見れる様になっている。そのアクション自体も前作より質量ともにスケールアップしており、文句無しに楽しめる痛快作に仕上がっている。

もちろんタイ映画のお約束、「仏様を大切にしない奴は死ぬべきなんだー!」も健在。タイ寺院を燃やし、僧侶を傷つけた悪徳警官は、仲間に撃たれて惨めに死にました。めでたし、めでたし。

追記:一応ヒロインらしき女性も出てくるのだが、『マッハ!』のヒロインが島袋寛子をエロ可愛くした様な美少女だったのに対し、今回のは寝不足の小池栄子みたいな人だったので、どうでもよかったです。出番も少ないし。


tsubuanco at 17:04│Comments(8)TrackBack(1)clip!映画 

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1. mini review 06173「トム・ヤン・クン」★★★★★★★☆☆☆  [ サーカスな日々 ]   2008年12月26日 18:01
タイの国技ムエタイの技術を映画に取り込み、壮絶なリアル・アクションの数々が話題を集めた『マッハ!』の監督と主演コンビによる最新作。国際マフィアに盗まれた象の奪還に立ち上がる青年に、スタントマン出身のトニー・ジャーがふんし、鍛え上げられた肉体から繰り出され...

この記事へのコメント

1. Posted by meganeya2g   2006年04月28日 22:37
3 マッハ!は観にいったよ。主人公がもっと明るかったらなーって感じかな。
また暗いっすか?
ジャッキーをどうしても観ているものとして、意識してしまうのよね・・。
世代的にしかたのないことです。
2. Posted by つぶあんこ   2006年04月28日 23:58
トニーとジャッキーは別の人なんだから、
比べても仕方ないと思うけどなあ。
キャラ的には「マッハ!」とだいたい同じやね。
3. Posted by meganeya2g   2006年04月29日 08:31
なんでか比べちゃうのよねー
雰囲気が、昔の香港映画に似てるからかなー
4. Posted by 名無しさん   2007年04月10日 11:59
もはやアクションスターと言えば、
トニーかハヌマーンか、ってな感じですな。
5. Posted by つぶあんこ   2007年04月10日 17:11
今の子供達にも、盗賊団を容赦なく惨殺するハヌマーンの勇姿を是非とも見てほしいものです。
6. Posted by 関東の貴   2008年03月17日 19:51
この映画、劇場で4回観ました。(しかも4回目は、知り合い二人を「お金は自分が出すからとりあえず観て!」と無理矢理連れて行きました。)

で、後日DVDも買っているので、一作品で一番お金を使った思い出深い大好きな映画であります。

つぶあんこさんは同じ作品を2回以上観にいったりした事はありますか?それとも2回観る時間があるなら別の映画を観にいきますか?なんだか質問してみたい気分になったので、お答えいただけたら嬉しいな。

余談:あ、マッハも4回観てるわ‥‥。
7. Posted by つぶあんこ   2008年03月18日 16:52
最近だと、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』は、3回観て3回とも泣きました。むしろ後になる程泣けるという。
8. Posted by kimion20002000   2009年02月12日 16:53
>長回しを撮るためだけにかけられた時間と労力と技術を考えただけでも、本作を観てよかったと思えるのだ。

本当に、もう敬服しちゃいます。

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