2006年06月01日

嫌われ松子の一生 80点(100点満点中)

作中に一部問題のある名称がうんたらかんたら
公式サイト

山田宗樹の同名小説を原作に、『下妻物語』で一躍大ブレイクした鬼才・中島哲也が、前作ヒットにより大幅アップした予算と、進歩した映像技術により、更に磨きがかかった独特の映像表現手法を引っ提げて、満を持して製作した最新作。

タイトルが『無法松の一生』のパロディであるのは明白だが、内容的にはあまり似ておらず(強いて言えば、後年引きこもるあたりぐらいか)、インパクト優先で付けたタイトルなのだろうと思われる。

ストーリー構成は、田舎から夢を抱いて上京するも、自堕落でつまらない人生を過ごしている青年・笙が、今まで存在すら知らなかった伯母・松子の死を突然知らされ、彼女の波乱の生涯を追想して行くというもの。観客的には、松子の人生の背景となる、"昭和の風俗"を同時に追想出来る楽しみもある。

頭の悪さ故に常に最悪の選択をし、男を見る目の無さ故に最低の男遍歴を繰り返し、トルコ嬢、殺人犯、ヤクザの愛人、引きこもり、そしてのたれ死にと、松子の人生は究極の底辺としか言えない有様。

それをそのまま、普通の監督が普通に映画化してしまえば、見終わった後自殺する者続出の超鬱映画となってしまうのだろうが、そこは中島哲也。極彩色の幻覚的映像美術、ミュージカル仕立の作劇、常軌を逸したセンスによるコメディ的演出等を駆使し、中島ワールドを存分に披露する事で、全編通して泣き、笑い、さらにはヘコむ、という、他に類を見ない、全くもって不思議な作品に仕上がっているのだ。

この、"悲劇"と"超演出"のギャップの妙こそが、本作の最大の特徴ではあるのだが、それを、"悲劇を笑いで和らげている"と見るか、"ギャップが激しいせいで悲劇が強調される"と見るか、どの様に受け止め評価されるかは、観る者のこれまでの人生や人格、心理状態によって全く異なったものとなるであろう。

本作の様な、上述の理由によって、評価や印象が文字通り百人百様となる作品も、そうそうないと言える。だから、この映画を人に紹介するのは非常に難しい。つまりこんな文をいくら書いても無駄なのだw

『下妻物語』にあった様なサワヤカ感とは程遠い作品なので、そういう方向性は決して期待してはいけないが、映画好きなら必見の作品である事は間違いない。それだけは確実。いちいち無駄に豪華な出演者達も、独自のテイストの構築に一役買っており楽しい。

ただ一つ残念なのは、中谷美紀が脱がなかった事だ。彼女に限らず、脱げない女優はエロい役をやるべきではない。これは単に「おっぱいが見たい」というレベルの問題ではなく(もちろんそれもあるがw)、役を役として成立させ、映像を映像として成立させるために欠かせない問題。出来ない仕事は引き受けないのが、正しいプロのあり方だ。



tsubuanco at 16:58│Comments(8)TrackBack(1)clip!映画 

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1. 嫌われ松子の一生  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年05月01日 20:43
 『不幸って何? 松子。人生を100%生きた女。』  コチラの「嫌われ松子の一生」は、山田宗樹さんの同名小説の映画化で、5/27公開になったPG12指定の映画なんですが、公開3週目にも関わらずかなり混雑していました。あの「下妻物語」の中島哲也監督の最新作ですし、...

この記事へのコメント

1. Posted by meganeya2g   2006年06月04日 22:45
4 明日観にいきます。
楽しみにしてたんだよねー。
下妻DVD買って観て、かなりツボつかれた。
これこそ求めていた映画って感じだった。
今回は最後凹むんだー・・・。
メガネ忘れずに観にいかなきゃ。
数年前から視力激減してるからねー。
2. Posted by つぶあんこ   2006年06月05日 10:31
最後というか途中からやね。
人によると思うけど。
3. Posted by yosh   2006年06月13日 20:26
はぢめまして。
唐突ではありますが、脱がなかつた事につひて、中谷女史はこのやうにコメントしてをりました。

"「脱げ」とか「何で脱がないの?」と言われるたびに、面倒くさいなあと思う。
裸のインパクトに、他のシーンの演技が劣らないくらいいい演技ができるようになって、ギャラも10億円くらいいただけるくらいの大女優になったら、いつでも脱ぎますよ。まあ、そんな日は死んでも訪れないでしょうけど。"

まあ、職業女優らしいと言ふか、開きなほりと言ふか。
4. Posted by つぶあんこ   2006年06月14日 15:11
情報ありがとうございます。

うーん、それって「自分は演技力も脱ぐ覚悟もない」って
言ってるのと同じですよねえ。
だったら尚更、こんな仕事受けなきゃよかったのにと。
5. Posted by yosh   2006年06月15日 01:06
>「自分は演技力も脱ぐ覚悟もない」って言ってるのと同じですよねえ。

さうですねえ。私も同感です。
まあ、彼女としても本当は受けたくなかつたのやもしれませんが、色々事情があつたのでせう。事務所のしがらみとか。
そこが職業女優の辛い所。
だからと言つてこんな事をぶつちやけてしまふのは如何な物かと思ひますが。

一人の男とすれば、脱いで頂いた方が嬉しかつたのは隠し様の無い事実ですw

6. Posted by ぽち   2007年11月29日 02:39
この監督は原色が好きなんですかね?
赤と黄がかなり強くて、目が疲れました。
と言っても、これと下妻しか見てませんがf^_^;
冷静に松子の一生を追うと、笑った事が申し訳ない気持ちにすらなるんですが、これは監督の力量なんでしょうね。
7. Posted by つぶあんこ   2007年11月30日 17:39
中島哲也が『世にも奇妙な物語』の一編を手がけた時にも、色彩で眼が痛くなる画面を構成していましたから、リアルと正対した表現として、有り得ない色彩を好んで使っているのでしょう。
8. Posted by ぽち   2007年12月01日 01:26
返答ありがとうございます。
この監督の特徴なんでしょうね。
こういう自分の色を出せる監督があまりいないので、貴重な存在だと思います。
多くのしがらみがあって、平均的なもの、みんなに受け入れられやすいものが求められる中で、
なかなか自分の色が出しにくい状況なのかもしれませんが。

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