2006年06月06日

LIMIT OF LOVE 海猿 15点(100点満点中)

猿くん! 今日は泳ぎで勝負だ!
公式サイト

佐藤秀峰原作同名漫画の実写映画化である2004年作品『海猿』、その続編としてのTVシリーズ『海猿 EVOLUTION』から続く完結編。

1作目は、一風変わった青春ドラマとして、それなりに面白く出来ていたのだが、続くTVシリーズは、硬派な職業モノとしてのドラマ部と、イライラするだけの女がらみのドラマ部の乖離が激しく、面白くなるはずの題材をもったいない使い方してるなと思ってしまう残念な出来で、本作もまた、タイトルからも推測される通り、同様の路線で行ってしまうのだろうと、期待せずに観に行ったわけだが……  予想を超えてダメダメな出来に唖然。

本作のストーリーは、座礁し浸水して行くフェリーでの救助活動と、結婚を目前にした仙崎と環菜の色恋沙汰の、2つを主軸に進んで行くのだが、登場人物が呆れるほどに全然魅力がない上に描写が中途半端なせいで行動に説得力もなく、そのため全く感情移入出来ず、恋愛のシーンになる度にシラケてしまうのだ。しかもそのシーンは救助シーンと絡み合っているため、そっちの盛り上がりにも水を差してしまっている有様。もうどうしようもない。

そもそも環菜というキャラクターは、実写化において新たに創作されたキャラクターなのだが、コイツが物語を面白くする方向に全然機能していないのだ。海の治安を守るために命懸けで働く海上保安庁の潜水士なる、極めて特殊な職業の主人公である仙崎の相手役として相応しくないどころか、仙崎の足を引っ張る方向でしかドラマが進まなくなっており、そのために環菜が登場する度に話がつまらなくなってしまうという結果に。これは別に加藤あいが悪いのではなく、こんな役どころを作ったスタッフが悪いのは言うまでもない。これが顕著になったのがTVシリーズであり、本作も同様。職業ドラマに色恋は不要という事ではなく、もっと上手に絡めてほしいのだ。

救助活動シーンに関しては、それなりに考えて展開を組み立てられているとは思うのだが、どんどん傾いて行く船の外観に対して、船内の映像になると全然傾いていないという、子供でもツッコめてしまうレベルの映像的整合性のなさは、どうにかならなかったものか。それだけで「ああ、これは作り物なんだな。オハナシなんだな」と、緊張感も迫力も全てオジャンとなってしまうのだ。特撮映画の製作者達が、特撮映像とリアル映像の整合にどれだけ気を使っているかを考えれば、この有様は手抜きとしか考えられないレベルである。

上述の通りのダメさ加減のおかげで、クライマックスとして盛り上がるはずの長いハシゴを昇るシーンでも、「早く逃げないと死ぬのに彼女と長電話? つーか吉岡の酸素がどんどん減ってるのは無視?」だの、「船はほとんど真横に傾いてるのにハシゴを上向きに登ってる? 重力はどっちに働いてるの?」といった、「ここは笑うところですか?」と呆れてしまう他ない惨状に。

結局のところ、本作は最近の国産船映画の中では、『男たちの大和』と並ぶダメ作品である。『大和』や本作など、安易なお涙頂戴を狙った薄っぺらく出来の悪い作品がヒットしているという、映画好きとしては全然嬉しくない状況が続く限り、日本映画界は今後も薄っぺらい作品が出続けるのだと思うと、とても残念だ。



tsubuanco at 17:21│Comments(7)TrackBack(4)clip!映画 

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1. Limit of Love 海猿・・・・・評価額1150円  [ ノラネコの呑んで観るシネマ ]   2006年06月08日 11:58
正直言うと前作の印象が芳しくなく、これは劇場スルーする予定だったが、私の回りの人達の間でなかなか評判が良いので、期待半分不安半分で観に行ってみる事にした。 結論から言って 
2. LIMIT OF LOVE 海猿 06年118本目  [ 猫姫じゃ ]   2006年06月22日 13:55
LIMIT OF LOVE 海猿 羽住英一郎 監督伊藤英明 、加藤あい、佐藤隆太 、大塚寧々 、吹越満 、時任三郎 、美木良介 最後は感動した!! よかった!
3. LIMIT OF LOVE 海猿  [ vl0o0lv.com Blog ]   2007年05月01日 19:20
??海猿を学芸会バージョンにしました??★1.2
4. LIMIT OF LOVE 海猿(★★★☆☆)  [ 新・ぴゅあの部屋 ]   2007年05月17日 20:29
「恋愛の結末は2つしかないの」 「失恋か結婚よ」 「LIMIT OF LOVE 海猿」(★★★☆☆) 2005年 出演:伊藤英明、加藤あい。 いつのまにか、主役の2人が婚約してるー! でも、ダイスケは、いまひとつ結婚に踏み切れないでいる。 せっ...

この記事へのコメント

1. Posted by ノラネコ   2006年06月08日 12:00
はじめまして。
全く同感でございます。
大和といい、どう見ても突込みどころ満載の映画がヒットし、しかも絶賛されるのは何とも情けなや。
2. Posted by つぶあんこ   2006年06月08日 13:10
初コメントありがとうございます。
ハリウッド大作なんかもそうですけど、
一般受けを狙うと薄っぺらくなってしまうのは、
ある程度は仕方ないんでしょう。

まあ、この映画はそれ以前の問題が多いと思いますが。

でも、ごく稀に「大衆受け」と「マトモな面白さ」を両立させた、
神の様な作品も存在するので、この手の作品を無視するわけにはいかないという、
なんともシンドイところです。
3. Posted by 仙崎大輔   2007年02月09日 11:26
私は感動しましたけどね。ちなみに船内セットは実際傾けて撮影しているみたいですよ。水嵩の違いで傾いている状況がハッキリわかります。携帯電話のシーンは私も少しイライラしましたが全体的にスタッフやキャストの努力が垣間見える素晴らしい出来になっていると思いました。
4. Posted by つぶあんこ   2007年02月09日 17:24
そうですか。
5. Posted by ぽち   2007年11月29日 02:29
確かに環菜の場面でダレましたね。
死を背にしたバディーより恋人と長電話かよ!って。
その後、フラフラの仙崎が吉岡救助に向う場面も、本来は感動的なはずなのに、
「お前が長電話しなきゃ梯子を登りきれた」とか、「もっと楽に助けられただろ」って突っ込みたくなりました。
ギリギリ間に合うってのは一種のお決まりパターンなんですが、本作はギリギリになった理由が主人公の怠慢なだけに感動がなかったです。
6. Posted by つぶあんこ   2007年11月30日 17:37
前後の脈絡と関係なく、その場のそれっぽいシチュエーション単体だけで感動してしまう、カンタンな人が多いから、こうした駄作が作り続けられるんでしょう。
7. Posted by 照る坊   2008年08月10日 15:19
普段あまり映画見ないスポーツマンな俺
が、暇で昨日テレビで見た。ひとつ言いたい、加藤あいさんの役の人、なんか全然悲しそうとか伝わって来ないんですけど・・、それに主役の人、クライマックスで息はあはあ状態で助けられて、それでも、俺がいきます!って、おい・・、
あとは仲間にまかせなさいよ。あと、なんかこの映画、画面が黄色ぽい、なんで?色味が変。
加藤あいさん、自分で海に飛び込んで、事態
を悪化させればオモローなのに、で最後
助けられて、抱き合って、しかられて終わり、みたいな・・。ベタでも良いから
ターミネーター2みたいな、すかっとするのがいい

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