2006年06月18日

DEATH NOTE -デスノート- 70点(100点満点中)

ウルトラマンマックス VS 仮面ライダー響鬼
公式サイト

原作:大場つぐみ、作画:小畑健の人気コミックの実写映画化。前後編の2回に分けて上映されるという形態を採っており、今回は前編。

原作漫画は、最近のジャンプにしてはハードかつネームの多い、異色のピカレスクものとして、購読者である若い世代から大いに支持され、信者と呼ばれるレベルのファンからは、「緻密な頭脳戦」「練り込まれた展開」と言った評価を得ているわけだが、実際のところは"後出し設定・ご都合主義・無意味に頭の悪い登場人物"による超展開の連続を、小畑健によるクールな作画と、ページを埋めつくすネームの圧倒的ビジュアルとで誤摩化しているというもので、そこまで高く評価されるほどの作品ではないというのが事実。

(フォロー:いや、オレはこの漫画好きですよ。でもね、そもそもこう言った作品に登場する「天才」というのは、絶対に作者よりも賢くは描けないのです。だから、「天才」の周りの人間をバカに描く事で、「天才」を相対的に賢く見せる事しか出来ないのです。この漫画は、明らかにその典型なのです。好き嫌いといい悪いは違うんです)

この漫画の実写映画化を担う事になったのが、古くは『みんなあげちゃう』に始まり、最近では『ホーリーランド』の実写ドラマの総監督を手がけるなど、漫画の実写映像化には定評のある金子修介監督。

実際の脚本化作業にあたって、監督と脚本家とのディスカッションが、どの程度行われたのかは不明であるが、長く情報量の多い原作漫画を、2時間の映画としてまとめるには最善に近い編集とアレンジが行われており、予想していたよりも完成度の高い脚本となっている。

まず、原作の"ネームの多さ"を、映画としての表現に置換するために、台詞やモノローグだけではなく、ノートのルールなどは画面上にテロップとして表示するなどして、原作を知らずに観る人間にも世界を理解出来る様な親切設計にすると同時に、言葉による説明だけに頼るのではなく、可能な限りビジュアルとして視覚化する事で、映画として公開する意味をも押さえている。原作読者にも、未読者にも、共に楽しんでもらおうとする、このバランス感覚は見事。

また、"死神のノートに名前を書いたら死ぬ"という、一歩間違えばギャグ漫画になってしまう様な、荒唐無稽なメインファクターを、マスコミ報道や群衆の会話などを多用する事で、観客の現実世界と映画の作品世界との境界をなくす演出手法をとっている。これはかつて金子修介が平成ガメラ3部作で、"巨大なカメが暴れる"という、荒唐無稽なマンガ的世界観を、リアルなものとして観客に体感させようとした手法と同じ、手慣れたものであり、より洗練されていたものとなっている。

更に、ストーリーやキャラクターには、いくつかの改変がなされているのだが、これは、最初に述べた、原作にある数々の"突っ込みどころ"を、作品として不備のないレベルとするための変更であり、ストーリーに無理が生じない様、よく考えられたものとなっている。と同時に、長いストーリーをまとめる役割も果たしている。

特に、映画化に当たって最も大きい変更箇所である、ヒロイン・詩織の存在などは、この様な"上からの押しつけ"と推察されるキャラクターにありがちな、"一人だけ世界から浮いてる"感もなく、原作の展開にリンクしつつ、終盤のオリジナル展開を盛り上げる重要な役どころとして見事に機能しており、この辺りにも、金子修介はじめとするスタッフの、優れたバランス感覚が見受けられる。

ほぼ原作通りに進む前半、南空ナオミとの対決がほぼオリジナルへと改変されている後半ともに、テンポよく見どころを散りばめ、最後まで飽きさせないまま、後編への引きを最大の盛り上がりとする、この全体的な構成はよく練られており、先述通り、原作を知る知らないに関わらず、充分に楽しめ、次回への興味を大いに引き立てられるものとなっている。

更に言うなら、原作読者にとっては、原作通りに進む前半によって、すんなりと絵→実写と切り替わった作品世界内に入る事が出来、途中から、原作ファンにとって不自然ではない程度に展開が変わっていく事で、最後までどうなるのかわからない、ハラハラドキドキ感が楽しめてしまうと言う、単に原作を忠実に再現しただけでは味わえない楽しさも、本作は与えてくれるのだ。

正直なところ、この映画がここまで楽しめる出来になっているとは全く予想しておらず、まさに嬉しい誤算だリュークのCGがチープなのがマイナス点だが、何とかガマン出来るレベルだ。11月公開となる後編は、おそらく今回以上にオリジナルの展開となるであろうと推測されるが、今回の出来をふまえれば不安はなく、むしろ期待出来るものだろう。

まあ、期待しすぎると、足下をすくわれるのが定石だがw

蛇足:本作に登場する女性陣、モデル時代から注目していた香椎由宇、子役時代からチェックしていた戸田恵梨香、沖縄アクターズスクール時代から(以下略)満島ひかりと、個人的に応援している娘らばかりで非常に嬉しい。見ているだけで眼福というものだ。(もう一人誰かいた様な気がするが忘れた)

蛇足その2:先述の粧裕役・満島ひかりはもちろん、金子修介が立ち上げに関わった『ウルトラマンマックス』つながりであろうが、もう一人、『ホーリーランド』『ウルトラマンマックス』に続く、金子作品連続出演となる、松田役・青山草太は、よほど金子に気に入られているのだろう。確かに、ちょっと変わった存在感の青年ではあるが…、アッー!な関係で無い事を祈る。

蛇足その3:シブタクの悪党っぷりが、大幅にグレードアップされてて笑った。アレは死んで正解(笑



tsubuanco at 16:53│Comments(10)TrackBack(2)clip!映画 | 漫画

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1. DEATH NOTE デスノート 前編  [ TRIVIAL JUNK Blog ]   2006年06月25日 05:08
えーこれは言わずと知れた「週刊少年ジャンプ」のカリスマコミックの実写化ですね。 原作の方は、自在に人を殺せるアイテム「デスノート」を軸に、法の不備や死刑の限界を世に問う社会派コミックでは間違ってもなくて、あくまでその辺を1ファクターとする天才vs天才のキャラ...
2. デスノート  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年04月23日 20:27
 『デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ。』  コチラの「デスノート」は、今日6/17公開になったのですが、早速観てきちゃいましたぁ〜♪「週刊少年ジャンプ」で連載されている「DEATH NOTE」の実写映画化って事なんですが、人気のあるコミックらしいし、結構話題にな....

この記事へのコメント

1. Posted by M   2006年06月19日 17:05
>古くは『みんなあげちゃう』に始まり、最近では『ホーリーランド』の実写ドラマの総監督を手がけるなど、漫画の実写映像化には定評のある金子修介監督。

「あずみ2」をスルーするところが泣けますねw
2. Posted by つぶあんこ   2006年06月19日 17:31
う〜ん、最初と最後を例示しただけで、特にスルーしたつもりはないんですけどね…

ちなみに、『あずみ2』は、同時期の『ホーリーランド』に力入れてたせいで、金子修介はあまりタッチしてないのですよ。

『ポルターガイスト』が、監督としてクレジットされてるのはトビー・フーバーでも、実際はスピルバーグが作っちゃってたのと同じ様なものですね。

まあそんな裏事情は抜きにしても、『あずみ2』って、そんなに酷評される様な出来でしたかね?

高島礼子が恥ずかしいカッコでアクションしてるだけでも、充分見る価値はあると思いますけど(笑

それと、金子修介作品のファンではありますが、別に彼の作品を全てマンセーしてるわけでもないですよ。GMKなんかは、21世紀のゴジラ映画のなかでは、あまり好きな方ではないですし。
3. Posted by あっちん   2006年06月19日 17:36
天才の描写は確かに稚拙、表面的なのは同意します、
非典型といえる作品。天才の描き方が秀逸な作品を教えてください!ぜひ読んでみたい
4. Posted by つぶあんこ   2006年06月19日 18:27
『天才バカボン』なんかはどうでしょう。
5. Posted by あっちん   2006年06月19日 18:31
えええええwマジですか?w
読んだことないですけど、
勘弁してくださいw
小説でもいいので、
何かあったら教えてください
6. Posted by zeit   2006年06月20日 02:56
 横槍ですが、オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」なんかはどうでしょうね?
 もっとも、本当にあたまのいい人なら自分を天才扱いしたりはしないと思うし、周囲にもそう思われたりはしないと思いますが。なぜって凡人には理解されないでしょうから。
 「ダ・ヴィンチ・コード」の中でソニエール館長は主人公のラングドンに「天才だ」と言われていますが、皆さん、スルーされたのではないでしょうか?
7. Posted by あっちん   2006年06月21日 04:57
天才、秀才、奇才などの描写手法に興味がありました。なかなか説得力を持つ作品がないってのが現実ですね。それがうまく出来てる作品なら、絶対読みます!
ありがとうございます。
8. Posted by つぶあんこ   2006年06月21日 14:26
>あっちんさま
 せっかく勧めたのに、読みもせずに勘弁とか言われたら、もう何も言えないですよねえ。困った。

 それでも言っておくと(笑)、この場合の「天才」というのは、ロジックが優れている人間を指しているのでしょうけど、小説でキャラクターがそこまで「天才」として描かれているのは記憶にないですねえ。
 作者自身が天才的なロジックの持ち主だなあと、読んでて思うのは、アイザック・アシモフとか横山秀夫とか、何人かいますけど。

 個人的には、『エスパー魔美』の高畑さんが理想の天才キャラです。


>zeitさま
  (´∀`)< あなたを、天才です。
10. Posted by いっくん   2006年09月05日 22:55
1 点数高っwww
11. Posted by つぶあんこ   2006年09月06日 09:20
そこそこでしょう

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