2006年09月11日

X-MEN:ファイナル ディシジョン 80点(100点満点中)

ジーンと感動する話
公式サイト

人気アメコミの実写映画3作目。1と2で監督を務めた"アメコミをわかってる監督"ブライアン・シンガーがスーパーマンの方を選んだため、本作は『ラッシュアワー』などで知られるブレット・ラトナーが監督を担当。

邦題では『ファイナル〜』と、完結編っぽいイメージを強調しているが(原題は『The Last Stand』)、実際はスピンオフを含めた企画が大量に進んでおり、まだまだこの世界が終わる事はない模様。(さすがにハル・ベリーはもう出せないだろうが)

ストーリーは2のラストからストレートに繋がる続編。原作の『Gifted(未翻訳)』と『ダークフェニックスサーガ』を原案とし、復活したジーンの顛末と、ミュータントを旧人類へと退化させる新薬"キュア"を巡るストーリーが交錯したものとなっている。

前2作と本作で、大きな違いとして感じられるのは、"人間ドラマの薄さ"と"展開の半端さ"だろう。前2作の場合は、"教授とマグニートーの確執"と"ウルヴァリンの謎"、そして"ミュータント差別"を中心軸とし、原作の特徴の一つである"群像劇"のテイストを、映画として再現する事に成功しており、なおかつ原作を参考に、筋の通った明確なストーリーにキャラクターを的確に配置した、その構成の巧みさが高い評価を得ていたのだ。

本作の場合、メインファクターとなる"キュア"に対する各キャラクターの考えが、中途半端に放置されたままであったり、逃げたジーンの事を気にしているのがローガンだけだったり、重要キャラの様に思わせぶりに登場するエンジェルやリーチは、結局本筋には大きな影響を与えなかったりなどなど、あらゆる要素が中途半端に散在したままで、脚本に筋の通ったまとまりというものが感じられない

センチネル、マルチプルマン、カリスト等の新キャラクターも、その本来持つ魅力を(2のナイトクローラーの様には)出せているとは感じられないし、大量に登場するミュータント達のほとんどが、外見も能力もほとんど提示されず単なるショッカー戦闘員の様な扱いなのも寂しい。(というかナイトクローラーが何の説明もなく出てこない時点で大いに不満だ)

そのせいで、クライマックスの大乱戦シーンも、そのほとんどが単なる集団ケンカに終始してしまい、ミュータントならではの能力を活かしたバトル描写は、今ひとつアイディア不足と言われても仕方ないだろう。

ストームVSカリストの、"原作ファンだけがわかるライバル対決"も、アイスマンVSパイロの、2から引張る因縁の冷熱対決も、実際にワイヤーで吊られて飛びまくるストームや、文字通り"氷人間"と化したボビーを実写映像で見られた事自体はありがたいのだが、攻防自体の工夫には不満が残る。勝ち負けの説得力が薄く、単にヒーロー側だから勝っただけとしか見えないのだ。

ただ、今回で初めて本格的に活躍する事となるキティ・プライドと、新キャラ・ジャガーノートの対決シーンに関しては、なかなかの見物と言える。壁をぶち破り猪突猛進する巨漢マッチョ親父を、華奢で小柄な(見た目最弱な)少女が壁抜け能力を駆使して翻弄する、その好対照な対決の様子は、視覚的にも画面映えし、トムとジェリー的な追っかけっこの顛末がテンポ良く気持ちいい展開となっており、ここに限定して言えば、大いに満足だ。

また、戦闘を締める事となる、ジーンとローガンの対決は、本来はスコットとジーンの悲劇で締める事となる原作『ダークフェニックスサーガ』を、強引にローガンメインに改変しつつも、そのローガンの能力が決着に活かされるかたちにされており、不満はない。

更にラストの二段階サプライズとなる場面も、マグニートーの場合は中盤のミスティークに対する扱い、教授の場合は授業中のモイラ博士の映像と、しっかり伏線を張った上での構成となっており、よくある"いかにも取って付けた様なラスト"という感はなく、むしろ嬉しい驚きとして受け入れられ、後味は悪くない。そして今後の展開への様々な期待(妄想を)を楽しませてくれる、この処理は見事である。エンドロールが始まっても帰らない様に注意

正直なところ、2までの"X-MENらしさ"を期待して観た場合、少しはガッカリする事もあるかもしれないのだが、それでもなんだかんだ言っても、充分に楽しむ事は出来る良作である。興味があるならどうぞ。


蛇足:
今回でビースト、エンジェルが登場して、やっと初代メンバーの5人が勢揃いしたんだが、全員が一堂に会する事は結局ないという嫌がらせの様な構成にはちょっとガッカリ(というかスコットの扱いはあんまりだw)。

クライマックスで戦隊ものの様にメンバーが仁王立ちに並ぶシーンが、このオリジナルの5人だったりしたら、多分感極まって泣いてただろうに。

まあ、出撃前にローガンが若手メンバーに「お前達もX-MENだ(うろ覚え)」的な事を言う場面でも結構ウルッときたんだが。


蛇足2:
今回、ハンク"ビースト"マッコイ博士は一応初登場となるのだが、前作にチラッと登場した"嫌ミュータント派人間"のハンク・マッコイは何者?

「バットマン」に登場したデント検事と、「バットマン・フォーエヴァー」のトゥーフェイスが別人なのと同じ様なものか?


蛇足3:
少女時代のジーンを演じてた娘が可愛かったので、今後復活する際には、フェニックスパワーで若返った事にしてこの娘を使ってください。


蛇足4:
キティ・ブライドを主人公に、ナイトクローラーやコロッサスを従えた『エクスカリバー』の映画化を熱烈に切に希望します。彼女が劣化しないうちに早く。





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1. 【劇場鑑賞95】X-MEN:ファイナル ディシジョン(X-MEN:THE LAST STAND)  [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ]   2006年09月16日 12:24
3 世界は、選択で創られ、 選択で滅ぶかもしれない。
ブライアン・シンガーが「スーパーマン リターンズ」の方を選択して、ブレット・ラト
3. X-MEN:ファイナル・ディシジョン  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年03月26日 20:03
 『世界は、選択で創られ、選択で滅ぶかもしれない。』  コチラの「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」の試写会に行ってきましたぁ〜♪公開は9/9なので、まだ1ヶ月ぐらいありますが、かなり試写会も多いみたいで、先月末頃にはケータイ電源ONのまま試写会なるものまで....

この記事へのコメント

1. Posted by ルークofルーク   2006年09月13日 13:00
4 点数と感想が見合ってない!!
感想だけ読むと50点位に感じるわぁ・・・

原作ファンなんですか?
原作を全然知らない僕が観ても楽しめたのでいい作品だとは思うのですが。。。

そういえばナイトクロウラーいませんでしたね
全然気付かなかった。

全作品でのサイクロップスの扱いがあんまりだと思うのが僕だけじゃなくて良かったです。

最後揃った所でサイクロップスが居て欲しかったよ・・・
2. Posted by つぶあんこ   2006年09月14日 16:26
原作は大好きですけど、この映画もいいとは思いますよ。
キティ可愛すぎですし。

ローガンが主役なのに、
スコットとジーンの関係はそのままという中途半端さが、
スコットの扱いの悪さに反映されてるんでしょうかね。
3. Posted by 山下   2006年09月14日 23:08
前作のハンクは「ミュータントを管理したいなら一斉検挙のほうが話が早い、それともいっそ戦争でもしますか(うろ覚え)」みたいなことを言うわけですが、これはあくまで冷笑的な物言いでしょう。おどけた口調からもそれは伺えます。
むろん冷笑されているのは潜在的にミュータントの無差別管理や根絶を望む世論なのですね。
4. Posted by つぶあんこ   2006年09月15日 14:39
その解釈なら同一人物でいいんでしょうね。

でも自分の記憶では、アイロニカルな物言いというより、
ストレートな差別発言だった様な… 確認しないと。
5. Posted by tetu   2006年10月08日 09:15
そんな、ブライアンが居ないエクスカリバーなんて観たくない・・。
エレン・ペイジは「ハードキャンディー」の20倍増しに可愛かったですねえ。
6. Posted by つぶあんこ   2006年10月09日 21:59
今回のサイロックの扱いの悪さから見ても、
ブラドック家は映画では活躍しなさそうで。
7. Posted by tetu   2006年10月28日 19:51
ありゃ、ベッツィ出てましたっけ?
uncanny#472表紙のお団子頭で惚れ直したんですが。相変わらずヘタレのブライアンにも。
8. Posted by つぶあんこ   2006年10月30日 01:09
そんな風に、出てたことすら気づかれてないという扱いで(笑

終盤の研究所のシーンで
影からテレポートして出てきたのがサイロックですよ。
エンドロールにもクレジットされてましたし。

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