2006年10月02日

レディ・イン・ザ・ウォーター 60点(100点満点中)

的場響子は水の妖精
公式サイト

『シックスセンス』で一躍世界的に有名となった、M・ナイト・シャマラン監督の最新作。

プール付き集合住宅の管理人が、とある夜、プールの中から出現した、水の精を自称する謎の少女と出会う。彼女と関わる事で、管理人だけでなく住人達も、不思議な運命に巻き込まれていく…というお話。

『シックスセンス』の"オチ"が一般観客に与えたインパクトがあまりにも強烈だったためか、シャマラン作品に対して"あっと驚くどんでん返し"を求めて鑑賞に臨んでしまう人の数は、かなり多い様だ。

が、前の作品がそうだったから、次もそうだと勝手に期待し、そうではなかったからと言ってダメだと叩く行為はいかがなものか。

映画に限らず、創作者というものは、同じ様な方向性の作品ばかりを作り続けるとは限らないのは当然だ。もちろん頑に同じ方向性にこだわる事も、それはそれで素晴らしいが、いろんな方向性に挑戦する事は、"新しい作品を創造する"上で、必然的な行いである。

"自分が期待(あるいは予想)していたものと違う"事と、作品としての完成度は別の問題だ。そこを混同しない様に鑑賞しなければ、作品の本当の面白さを見出す事は、死ぬまで不可能だ。

例えば、デビュー以降、ギャグ漫画ばかり描いていた永井豪が、非ギャグ作品『デビルマン』を描いたからといって、「これは笑えないから駄作だ」という評価は見当外れであると、誰にでもわかるだろう。

閑話休題。本作は、『シックスセンス』の様なサプライズ要素こそないが、描かれているストーリーやキャラクター、あるいはそこに込められたテーマや思想など、充分にシャマランならではの独自性を強く打ち出した作品に仕上がっている。

冒頭で紹介される、個性的な住人達の描写や、主人公である管理人と各人物との絡み、やりとりなどを印象的に描く事で、彼らが後々に活躍する、あるいはそう思わせて活躍しない、後半のストーリー展開への伏線として生きる事となる、全体的構成やキャラクター配置は、良く練られたものとなっているし、あるいは様々な人種が混在するその住人模様が、現代アメリカの縮図とも言える構図となっているなど、一つの要素に様々な意味が込められているのが、シャマラン作品の特徴の一つである。

本作は、シャマラン自身が明言している通り、"現代を舞台にしたおとぎ話"として作られているが、おとぎ話とは、表面に現われるお話やキャラクターの奥に、思想や主張などが暗喩として込められた、寓話として存在しているものだ。

もちろん本作もそれに違わず、先述の住人構成に始まり、作品内のあらゆる要素に、寓話的な意味合いが込められたものとなっており、それを読み解きながら鑑賞する事も、本作の楽しみ方の一つだろう。

それはストーリーだけではなく、映像的な面でも同様であり、例えばプールの底から水面越しに映る夜空と主人公の映像など、単純に見ているだけでも美しく感じられる、印象的な画面の一つ一つに込められた意味、あるいは意図を、あれこれと解釈しながら鑑賞する事もまた、楽しみどころとなる。

この様に、本作は"上っ面のお話を追う"事しか出来ない、作品鑑賞に未熟な人達からは、あまり評判が良くない事は容易に推測されるが、鑑賞に長けた、物事を様々な視点で楽しむ事が出来る人にとっては、充分に楽しめる作品と言える。

と、そんな小難しい事はどうでもよく、作中に登場する映画評論家のヒドい扱いなど、シャマランのあからさまな悪意を単純に見て取ったり、世捨て人的な生き方をしていた主人公が、少女を救おうと努力する中で自らの心も救われるという本筋も、普通に楽しむ事は出来るので、興味のある人はどうぞ。

ただし「シックスセンス以外は糞」という種類の人にはオススメしない


tsubuanco at 15:25│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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1. レディ・イン・ザ・ウォーター  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年03月15日 18:43
 『急いで。ハッピーエンドまで、もう時間がないわ。』  コチラの「レディ・イン・ザ・ウォーター」は、M・ナイト・シャラマン監督が、この秋眠れぬ夜に贈るミステリアスなファンタジー映画で、9/30公開になったんですが、観てきちゃいましたぁ〜♪  元々M・ナイト・....

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