2006年10月09日

猫目小僧 40点(100点満点中)

美少女が恥ずかしいところを舐められ強引に肉棒を挿入される映画
公式サイト

楳図かずおの同名漫画を実写映画化。監督は、『まだらの少女』に続いて、楳図作品は2作目となる井口昇。

原作は、一般人の住居の屋根裏から生活を覗き見する猫目小僧を狂言回しに、覗かれる側の人間が辿る奇妙な運命を、突き放した視点で描くかたちの連作漫画として、後の『イアラ』や『おろち』の原型とも言える位置づけの作品。

60年代に少年画報と少年キングにて連載された後、70年代になって"ゲキメーション"なる、切り絵を動かして撮影する独自の映像作品としてTV化され、それに便乗して少年サンデーで連載が再開。それらをまとめた単行本は、版を変え現在も発売中の、楳図かずおの代表作の一つだ。

父と喘息の弟と共に、田舎の村に引っ越してきた、顔の大きな痣をコンプレックスに感じている主人公・まゆか(石田未来)は、猫目小僧と出会い、コンプレックスを解消していくが、一方、村に伝わる"妖怪ギョロメの呪い・肉玉"が蘇り、村を襲い始めた…というのが本映画版のストーリー。

原作の1エピソード『肉玉』をベースとしているが、原作から使われている要素は、肉玉のビジュアル(正体は別物)や謎の妖怪"ないない"の存在、先走って自ら目を潰す人、といった程度で、ほとんどはオリジナルのキャラクターと展開で進められてく。

その中途半端な外見から、妖怪にも人間にも受け入れられない猫目小僧に、顔にコンプレックスを持つ少女、そして醜い妖怪であるギョロリや肉玉と、楳図漫画で頻繁に扱われる"醜い外見と醜い心"の対比や葛藤といったテーマを主軸とし、いじわるな同級生(中村映里子)や無駄に爽やかな美青年(載寧龍二)などの、楳図漫画にありがちなキャラクターが、これまた楳図漫画にありがちな言動を取り、時に真面目なシーンなのに笑ってしまう様な演出が意図的に用いられている、この全体的な構造は、原作と大きく違うストーリーながらも、"楳図テイストの再現"を目指して作られた事は見て取れるのだが、その狙いが成功しているかと言うと、残念ながら厳しいものがある。

まずビジュアル的な部分から言えば、何よりも猫目小僧の外観が問題だ。作り物丸出しの顔は予算の事もあってまだ仕方ないとしても、小僧と呼ぶには苦しいほどに大きくしかも太った体格は、明らかにミスキャストである。猫目と絡む石田未来が小柄な事もあって、「大きすぎ」感はより強くなる。原作やゲキメーションにあった"キモカワイさ"が台無しである。身長130cm程度の細身の少女が演じてくれるのがベストだったんだが。

妖怪に襲われる人々が「ギャアァァーーーッ!!」と楳図漫画ばりに絶叫する演出も多用されるのだが、この時の表情の作り方や手の位置なども、楳図漫画の絵をそのまま実写に置き換えていしまっているのは、少々やりすぎだろう。

また、ギョロリ(このキャラクターは、原作『小人の呪い』の小人をモチーフにしていると思われる)に襲われた同級生が地面を這って移動するシーンは、原作の"グニャグニャ病の女"を意識しているのだろうが、これもやりすぎ感が強い。

ストーリー的にも、主人公一家が引っ越してきた事と妖怪ギョロリの呪いが始まった事の因果関係や、肉玉を広げる謎の包帯男、猫目の持っている棒など、繋がっている様で実は全然繋がっていない、バラバラな要素が無理矢理にまとめあげられている強引なもので、あまりよく出来た構成とは言い難い。

また、"醜い顔"に話を集約するのは構わないが、クライマックスから最後にかけて、"ちょっといい話"っぽく感動させる方向でまとめてしまうのは、後味の悪いエピソードばかりの原作には全くないものであり、ここだけが楳図らしくない方向性を強く感じてしまい、違和感が残るものとなる。

だが、先述の通り楳図テイストを前面に押し出した部分、特に同級生がらみの一連の場面などは、なかなか上手く空気を再現出来ていると感じる事も多く、肉玉になりつつある人間の描写や、完全に肉玉と化した集団が村人や主人公を襲う場面などは、『ゾンビ3』などのC級ゾンビ映画や、東宝映画『マタンゴ』などを彷彿とさせる、味わいのある映像が見られ、結構楽しめるものとなっている。

あるいは、主人公の顔の痣を猫目が舐める場面や、被害者の少女や女性達の口に肉玉が押し込められる映像は、フェティシズムAVの撮影経験がある監督の特性が強く出た、グロテスクなエロさをストレートに表現したもので、これは狙い通りの効果を上げている。

この様に、部分的には割と楽しめるところもあるのだが、全体的な映像がテレビ的な、明らかに低予算とわかるチープなものであったり、上手くまとめようとして破綻しているストーリーなど、劇場映画としては辛い出来と言わざるを得ない。

今月末にDVDが発売されるので、興味のある人はそちらの鑑賞で充分かと。



tsubuanco at 14:51│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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