2006年10月19日

アタゴオルは猫の森 50点(100点満点中)

植物の森
公式サイト

二足歩行の猫と人間が共存する架空世界、ヨネザアド大陸のアタゴオルを舞台とし、30年に渡り、タイトルと掲載誌を変えながら描き続けられている、ますむらひろしの漫画『アタゴオル』シリーズ(現在はコミックフラッパーで連載中)を、3DCGアニメにて長編映画化。

漫画を読んだ事はなくとも、登場人物を猫に置き換えたアニメ映画『銀河鉄道の夜』や、矢野顕子の歌をバックに酒井美紀とヒデヨシが共演する、ハウスシチューのCMなどで、その絵を目にしている人は多いだろう。

自分の欲望に正直に生きるデブ猫・ヒデヨシが解いた封印から目覚めた植物女王ピレアと、ヒデヨシを父と慕う謎の植物・ヒデコ。両者の対立を軸に、アタゴオルのみならずヨネザアド大陸全土を救うための戦いに、ヒデヨシやギルバルス達、アタゴオルの住人が巻き込まれて行く、というストーリー。

原作の外伝的エピソード『ギルドマ』をベースに、舞台をギルドマではなくアタゴオルとするなど、オリジナルと言っていいレベルに改変されている

独特のタッチで描かれた、シュールな世界観やキャラクターが織り成す詩的なテイストを楽しむ、ニッチなマニア向けの原作漫画に対し、この映画は一般の子供向けとして作られており、起伏のない原作のメインエピソードではなく、わかりやすいバトルをメインとし、わかりやすく話を広げている、その方向性自体は間違いとは言えないだろう。

内容は説明不足で破綻している部分も多いが、それは原作だって同じ事で、そんな整合性が求められる作品では、そもそもないのだ。

第一、原作に忠実にするくらいなら原作を読めば充分なのだし、映画の観客全体からすれば極めて少数派に過ぎない原作信者だけが喜ぶ様なものを作っても、興行的に成功するはずもないのだから。

3DCGアニメのクオリティ的にも、このレベルで充分だろう。人形劇、あるいは着ぐるみショー的なテイストで作られている本作のCGは、マンガ的世界を映像として表現するのに適したものだ。

本作は実写映画ではなく、あくまでも漫画のアニメ化であり、何でもリアルに作りこめばそれでいいというものではない。この映画でリアルな質感の人間キャラなんか出されても、気持ち悪いだけだろう。

前半で多用されるミュージカル的演出も、ファンタジックな架空世界であるアタゴオルという舞台を、原作を知らない観客にとって受け入れやすくするためのギミックとしては適当で、何より、『ひょっこりひょうたん島』も『ネコジャラ市の11人』も『プリンプリン物語』も、人形劇といえばミュージカルは付き物である。深く考えず楽しむには丁度いい。

ヒデヨシのキャラクターは原作のテイストを再現出来ているし、特にスミレ博士が登場するくだりなどは秀逸だ。ギルバルスのアクションシーンもカッコ良く撮られている。

が、中盤以降の対決場面あたりからは、何度も何度も同じ主張を繰り返し述べ続けるなど、クドすぎてウンザリしてしまう部分も目につき、あまり盛り上がらず、そのまま思った通りに話が進んで意外性もなく終わってしまうのは困る。もうひとひねり出来なかったものか。

いろいろと気になる問題点もあるが、子供向けアニメ映画としてはそれなりに楽しめるもので、信者ではない、分別のある普通の原作ファンにとっても、ところどころに原作の味を感じるところもあり、このレベルなら及第点だろう。少なくとも、大の大人が目の色変えて怒る様な出来ではない。興味のある人は、過剰な期待をせずに。



tsubuanco at 16:05│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 | 漫画

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. アタゴオルは猫の森  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年02月25日 20:57
 『泣かないで。 この星を救えるのは笑顔だけだから。』  コチラの「アタゴオルは猫の森」は、30年前からシリーズ連載を続けているますむらひろし原作の同名コミックを、3D-CGアニメで映画化した10/14公開の作品なんですが、試写会で観て来ちゃいましたぁ〜♪  1時間...

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Comments