2006年10月25日

サンキュー・スモーキング 70点(100点満点中)

勝った 圧倒的に勝った(@wぷ
公式サイト

クリストファー・バックリーの小説『ニコチン・ウォーズ』を映画化。タバコ業界を代表するスポークスマンとして、卓越したディベート能力で嫌煙論者を論破し黙らせる仕事に明け暮れる主人公が、タバコのパッケージにドクロマーク表示を義務づけようと目論む団体との戦いに挑むストーリー。

全体的にコメディタッチで描かれているのは原作同様だが、映画では嫌煙派との戦いと同時並行して、主人公と息子の"親子ドラマ"が大きくクローズアップされており、この2つの要素がクライマックスで合流し大団円を迎える、気持ちのいい構成となっている。

時に論点をズラし、時に相手の弱みをクローズアップするなどして、正論と詭弁を織り交ぜ相手を論破する、主人公のディベート能力の巧みさを見せつける論戦シーンはテンポ良く、観客までもケムに撒かれてしまう説得力が面白い。

主人公は決して単純な正義としては描かれておらず、あくまでも仕事としてタバコを擁護する職業人、あるいは息子の憧れの対象となる父親として、"等身大の人間"として描かれる事で、本作を単なるタバコ擁護映画ではなく、タバコを題材とした人間ドラマとして成立させている。

その一方で、主人公親子以外の登場人物は全て、子供に吸わせる事でシェアを拡大したいタバコ業者や、利権のために嫌煙活動をしている政治家など、類型的にディフォルメされたキャクターとして配置されており、風刺コメディの側面をわかりやすく見せるとともに、"等身大の人間"として描かれる主人公親子とのギャップから生じる、本作独特のおかしさを出す事にも成功している。

映像的な観点での楽しみどころは少ないため、テレビドラマで充分という気もするが、ディベート、家族ドラマ、一発ギャグ的小ネタ、カンタンに煽動される世論、主人公を襲う陰謀などなど、タバコと主人公親子を巡る二転三転の展開が目まぐるしく進み、飽きる事なく上映時間を楽しく過ごせた上に、伏線やキャラクターがピッタリとまとまるラストには、後味の悪さは全く残らない、理想的な社会派コメディ作品に仕上がっている事は確かだ。愛煙家・嫌煙家問わず、興味のある人は是非。



tsubuanco at 14:21│Comments(0)TrackBack(4)clip!映画 

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