2006年11月15日

青春☆金属バット 70点(100点満点中)

坂井真紀とか酒井美紀とか水野真紀とか水野美紀とかの変遷図ください
公式サイト

大学の卒業制作として作った映画『鬼畜大宴会』が大受けし、商業作品として全国公開されてしまう、という華々しいデビューを飾った熊切和嘉監督の最新作。

熊切監督の作品は、過剰な暴力や性欲を、登場人物にあからさまに露呈させるタイプの作品がほとんどだが、本作もまた同様。もともと古泉智浩が描いた漫画が先に存在し、本作はその実写映画化なのだが、この監督選任は文句なしに最適だろう。

"究極のスイング"を身につけるために、毎日素振りに励む元野球少年・現フリーター(27歳)である主人公(竹原ピストル)と、主人公と同期でエースであったが肘を故障し、現在はやる気ゼロの警察官(安藤政信)の、それぞれの"挫折し失われた青春"を巡る奇妙な人間模様をメインとし、そこに主人公を翻弄するアル中巨乳女(坂井真紀)が絡んで話をややこしくする、という内容。

おおむね原作と同じ様に進むストーリーは、極めて支離滅裂で退廃的だ。

常に泥酔状態で、器物破損も強盗傷害も全く罪の意識なく行うヒロインも、それを止める事なく加担し、どんどんエスカレートしていく主人公も、万引き主婦を取り調べと称してセクハラする警官も、あまりに無思慮・無責任で、実際にいれば単なる人間のクズでしかない。

そんな彼らが繰り広げる悪行の数々が、直接的な暴力・破壊・性描写として次々と見せつけられ、絵面的にはあまりに凄惨なものでしかない様にも見えてしまうかもしれない。

が、本作を鑑賞して、不快になる事はなく、実は何の救いもない、どうしようもない話ながら、むしろユーモラスで、ラストにはサワヤカな清涼感まで感じてしまう後味の良さとなってしまうのだ。

これは、ストーリーのところどころに散りばめられたギャグによる効果もあるが、それだけではなく、主演の竹原ピストルの、とてもこれが役者デビューとは思えない程ハマり役な、鈍重なダメ人間演技の素晴らしさや、坂井真紀や安藤政信その他の、これまた役にハマり切った見事な演技、あるいは熊切監督の、ロングの長回しを多用し、"役者の演技"を見せる事にこだわった演出力によるものが非常に大きいと言えるだろう。

序盤における、主人公がバイトしているコンビニレジでの、バイト女子高生(佐藤めぐみ)と客と主人公のやりとりで、何とも言えない絶妙な空気感と会話・演技の"間"をまずしっかりと見せ、本作の方向性を提示し、観客を作品世界に導入する事に成功している。(逆に言えば、ここでダメに感じた人は最後までダメだっただろう)

そこで観客が抱いたであろう、本作に対する期待は裏切られる事なく、最後まで同様の空気感と"間"が持続し、あり得ない世界のあり得ない展開を、心地よく楽しむ事が出来るのだ。

ヒロインの描写があまりに説明不足過ぎるきらいもあるが、30代後半にはとても見えない坂井真紀の、違和感のないニセ巨乳に誤摩化されて気にならないだろう。

むしろ原作漫画より楽しめるといって過言ではない、なかなかの良作。興味のある人はどうぞ。



tsubuanco at 17:26│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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