2006年11月21日

プラダを着た悪魔 60点(100点満点中)

押切もえ(笑)
公式サイト

米のファッション誌・ヴォーグ編集部にて、女編集長のアシスタントとしてコキ使われた実体験を小説化した同名作品の映画化。

社会派ライター&エディター志望の主人公・アンディは、キャリアアップのためと割り切って、一流ファッション誌「ランウェイ」編集長のアシスタントとなる。頭は切れるがファッションには全く興味がなく、それどころか虚業と見下していた彼女だが、仕事を通じて業界への理解を示し、自らも変わっていく。だがその一方、以前からの付き合いである恋人や友人達との関係が…というストーリー。

原作は、作者が実際に受けた仕打ちをフィクションとしてディフォルメしたもので、編集長やファッション誌業界に対する個人的な恨みつらみや悪意があからさまに感じ取られる、内部告発的な面白さが受けてベストセラーとなり、今回の映画化だけではなく、TVシリーズの連ドラも製作中との事。

この映画版は原作と大きく違い、先述の様なネガティブな展開やキャラクターが、全体的にポジティブな方向へと改変されており、大衆向け娯楽作品として、より完成度の高いものとなっている事が特徴である。

その上で、単に"難関をクリアして出世して、仕事も人生も大成功!"的な、安易なサクセスストーリーに終わる事無く、現在の仕事、本来の志望、周囲の人間との関係など、男女を問わず、一人の大人が社会人として生きていく上で欠かせない、あらゆる方面への対応や距離感、それに応ずる悩みと解答を、ドラマの展開として盛り込んでいく構成は、なかなか良くしたものだ。

原作とは異なり、明確な"悪役"を配置せず、それぞれがいい部分も悪い部分もある、等身大の"人間"としてのキャラクター描写がなされている事も、観賞後の後味が悪くならない理由の一つだろう。

特にファッション誌業界の面々の性格付けや役割において、それは顕著に現われており、コミカルにテンポ良く進む"仕事"の描写も手伝って、ファッションに興味がなくとも楽しく見ていられる作品となっている。

その一方で、この手の"ダサダサ女からカッコいい女へ変身する"作品にはつきものの、"変身前から主人公が魅力的"という問題に関しては、あまりに無頓着に感じた。

確かに服装もダサイし髪もボサボサだが、それでもアン・ハサウェイが可愛すぎる(しかも巨乳)ため、劇中の恋人役ならずとも、「前の方がいいだろ」と思う人もいるだろう。

この部分をもっと劇的な変化として見せてくれない事には、後の展開への説得力が薄れてしまうのだ。

また、主人公がファッション誌業界入りする以前からの恋人として登場し、主人公の心理変化において大きな役割を果たす事となる人物が、全然魅力的ではない事も問題。

自分の彼女が手の届かない世界に行ってしまい、仕事が忙しいとなかなか遊んでもくれない、そんな状況に苛立を憶える気持ちは大変よくわかるが、自分だって料理人になるために修行を重ねている身でありながら、相手の仕事に対しては全く理解を示さないのはあまりに身勝手。

しかも主人公の仕事の都合には付き合わないくせに、自分のステップアップのための引っ越しには彼女を連れて行こうとするのだ。何と勝手な奴だ。

懸命に生きている主人公に対し、すっかり感情移入している観客からすれば、そんなアナルの小さい男に固執する必要は無いと、誰もが思ってしまうはずだ。まあ、悪人ではないし、主人公は幸せそうだから別にいいんだが。

日本の配給会社は、殊更に"女性向け"を強調した宣伝を行っているが全くそんな事はなく、現代に働く大人の社会人なら、男も女も共感できる部分があり、自分も頑張ろうという気にさせてくれる、日曜の夜に観るのにピッタリの作品だ。

と言っても、劇場で見る程の映像も無いので、興味のある人はレンタルかテレビ放送でどうぞ。



tsubuanco at 15:20│Comments(0)TrackBack(8)clip!映画 

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