2006年12月02日

かぞくのひけつ 45点(100点満点中)

海野とか伊丹とか沖田とかゴルゴとか
公式サイト

大阪は十三のミニシアター、第七芸術劇場の復活を記念して作られた、ご当地の十三を舞台としたホームコメディ映画。

高校生の主人公・賢治と地域で不動産屋を営んでいるその両親(桂雀々、秋野暢子)、父の浮気相手(ちすん)、主人公の同級生の彼女(谷村美月)らを中心した、それぞれの恋愛観、異性感、あるいは家族のあり方を、テンポのいいコメディと人情で描いたもの。

主人公とその彼女ともに、役者としての経験は浅いため、当然ながら演技力は拙いものだ。が、それがかえって自然な味となり、独自の空気を醸し出している。これは大阪弁の持つ強みだろう。

その技量不足を補ってあまりある、両親を演じる桂雀々と秋野暢子の両者の芸達者ぶりは強力で、大阪のありがちな夫婦像を、ディフォルメたっぷりに楽しんで演じているのがありありとわかり、作品のテンションを高めるのに大いに貢献している。

ルシア主人公一家を引っ掻き回す重要な役どころとなるちすんの、そこら辺にいそうで実際にはそうそういない、絶妙な美形具合が作品に花を添え、主人公の彼女よりもむしろこっちの方がヒロインではないかと感じてしまう、インパクトのある存在となっているのも良い。(インパクターだけに)

一方の谷村美月もまた、突出した美形ではないだけに、"学年の中では結構かわいい子"という役にピッタリ嵌っており、悪評高い「海賊版撲滅キャンペーン」で与えられてしまった、とばっちり的悪印象を払拭するには充分だ。

また、怪しげな薬局の主人として登場するテント師匠の存在感も、忘れる事は出来ない強烈なもの。喋りの口調も内容も、普段の漫談(と言えるのかどうか)そのままで、ベタなコメディドラマに冷や水と熱湯を交互にぶっかける様な緩急を与え、ドラマを飽きさせない役割を果たしている。いつもの"ヘンな歌"も楽しめるのでお得だ。

この様に、キャラクターコメディとしては、上映時間中全くダレる事なく楽しめるものとなってはいるのだが、ドラマ部分の脚本構成に注視してみれば、かなりいい加減な出来である事もわかってしまう。

主人公の個人的悩みや彼女との問題、両親の夫婦間の問題、父親の浮気癖、などなど、それぞれのキャラクター設定と、それぞれが抱えるドラマにはほとんど有機的な繋がりはなく、バラバラなままで話しが進み、そのまま適当に"いい話"として何となく終わってしまうのだ。

このあたりがもっとしっかりと練られていたならば、本当に完成度の高い人情コメディ映画として評価されるのだろうが、残念ながらそこまでは及ばないものに終わっている。

それでも、深く考えずに軽い気持ちで観れば、楽しく笑える作品である事も確か。映画館で金を払って観るには少々厳しいが、テレビで放映される機会があれば、観て損はないだろう。


関連リンク:
かぞくのブログ
秋野暢子のブログ




tsubuanco at 17:42│Comments(2)TrackBack(1)clip!映画 

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1. 自主的地元映画は楽しめる「かぞくのひけつ」  [ bobbys☆hiro☆goo☆シネプラザ ]   2006年12月27日 12:14
大阪・十三を舞台にした 「かぞくのひけつ」 今年は朝のテレビ小説「芋たこなんきん」で 大阪が舞台 来年公開の「おばちゃんチップス」は 大阪のミナミ代表作品なら こちら「かぞくのひけつ」は 大阪のキタ代表。 十三を舞台に 人情物語、現代版「夫婦善哉」が 繰り広げられ...

この記事へのコメント

1. Posted by 平爺   2006年12月04日 21:16
うちの嫁は京都のライヴハウス拾得で行われたテントのライヴに行った事のある強者です。
2. Posted by つぶあんこ   2006年12月05日 16:37
うわ、うらやましいっす。
テント師匠は関西でもレアキャラですからねえ。

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