2006年12月06日

007 カジノ・ロワイヤル 55点(100点満点中)

今から皆さんに鬼ごっこをしてもらいます
公式サイト

原作小説版の一作目であり、映画版一作目の『ドクター・ノオ』より以前のエピソードが描かれている、『カジノ・ロワイヤル』を、シリーズ21作目にして初めて、"007シリーズとして"映画化。

大筋は原作を踏襲したものとなっているが、時代設定を現代に置き換えた事で、人物設定なども変更され、"エピソード1"あるいは"ビギニング"ではなく、"新シリーズの幕開け"とも言うべきスタンスで製作されたのではないかと思われる。

が、その様な制作側の意気込みに対して、完成した作品はどうも意気込みが空回りしている部分が所々に感じられるものとなった様だ。

まず何よりも、"新米ダブルオー"であり、"若き日のジェームズ・ボンド"を演じるはずの主演俳優、ダニエル・クレイグの顔が、実年齢はともかく全然若く見えないのは大問題だろう。

シワシワで皮膚の垂れた顔に寂しい前髪と、どう見てもおじいちゃんです。本当にありがとうございました。

だが肉体だけはかなりのマッチョで、劇中でも大した必然性もなく海パン一枚になってキン肉を誇示する場面があるが、その逞しい体と老けた顔のギャップはまるでコラ画像の様で、逆に違和感が強くなってしまっている。

ストーリーより何より、まずは看板となる役者をちゃんと選ばなければ、何をやっても引いてしまうだろう。

と言っても、まるで楽しめないというわけでもない。モノクロ画面で見せられる冒頭の、ボンドが007になる場面のクールさと、その事前の"殺し"のもたつきぶりのギャップなどは面白いし、その場面の流れから、恒例のガンバレル視点のタイトルへ持っていく構成も上手い。

その後のオープニング映像は、60年代スパイアクションドラマのパロディ的な映像と主題歌が楽しめ、これから始まる本編への期待を高まらせてくれるものとなっている。

本編序盤で見せられる一連の追跡アクションは、追われる悪人役に、パルクール(大掛かりな障害物競走の様な競技、あるいはパフォーマンス。映画『YAMAKASI』などで日本でも知られる)のトレーサーを起用し、ビルの建設現場での立体的な追っかけっこをスピーディーに見せるものとなっており、黒人の身体能力の高さに度肝を抜かれてしまう事となる。

が、やってる事は凄いのだが、撮り方があまり面白くないのが残念だ。例えば高いところから飛び降りる時には、もっと高低差を誇張するなどして、パフォーマンスの凄さをより強調した方が、更に凄みのある映像となっただろうに勿体ない事だ。

そして何より、この序盤のアクションの凄さを上回るアクションシーンが、これより最後まで見られない事が、最大の問題だろう。終盤にも建物を豪快にぶっ壊すアクションシーンが出てくる事は出てくるのだが、インパクトの点では序盤のシーンには及ばない。

また、アクション以外にもうひとつの大きな見せ場であるはずの、カジノでの大勝負の展開も、あまりよく出来ているとは言いがたい。

ギャンブルの醍醐味は何よりも心理戦の駆け引きである事は言うまでもない。が、本作ではその場面において、主人公や勝負相手の表情や微妙な仕草、ディーラーやギャラリーの反応、あるいは様々な心理状況を表現するイメージ的映像など、人物の心理動向を観客に伝え、一進一退の駆け引きにハラハラドキドキさせる、そんな駆け引きらしい演出がほとんど見られず、淡々と勝ち負けの流れを見せているだけなのだ。

途中でポンドが毒を盛られて死にそうになるピンチはあるが、そんな反則技でドキドキさせられても困るというものだ。

そしてカジノの勝負に決着がついた後の展開が、無駄に長過ぎるのもダレてしまう一因だ。

単純な一本道に終わらず、二転三転するどんでん返しの面白さを狙っている事はわかるが、あまりに展開が散漫で芯が通っていないのは良くない。

ボンドとヒロインがイチャイチャする場面が、このままエンドロールに突入するのかと思わせる程にやたらと長かったり、何の伏線もなくあらゆる真相を全部台詞で説明してしまうなど、脚本の構成も、キャラクターの見せ方も、全てが中途半端に終わっている.

『007』というタイトルだけである程度の客は入るし、予算も掛けられるから大掛かりな映像も見せられる、だが、それだけに終わらず、娯楽映画としての本当の面白さを、製作者には追求してほしかったと切に思う。それなりには楽しめるが、テレビで充分だろう。



tsubuanco at 16:09│Comments(4)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 滝飯   2006年12月07日 19:42
僭越ながら…二段落目、原題→現代ですよね(^^)

内容には同意です。見た後なにも残りませんでした(^^;
2. Posted by つぶあんこ   2006年12月07日 20:41
どうもです。修正しました。
3. Posted by キバヤシ   2006年12月10日 18:27
カジノシーンからの失速振りは半端じゃないですよね。
レヴューにもあるとおり心理的駆け引きは一切無い上、超ご都合主事的勝利…
ボンドが勝つ事はわかっていても、あんな展開じゃああそうですかとしか思えません。

その後のイチャイチャシーンが恐ろしく長かったのには軽くイラつきましたねw
裏切るの解ってんだからさっさと話し進めろと。
しかもラストでMに「実は〜だったんだよ!」ってアホかと。

あ、でもタマ金拷問シーンは笑えたので個人的にはそこだけ大満足です。
4. Posted by つぶあんこ   2006年12月11日 17:34
片っぽくらいは潰れてそうでしたもんね

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