2007年01月02日

靴に恋する人魚 30点(100点満点中)

鉄道模型を捨ててから、夫の様子がおかしい
公式サイト

いつの間にか日本からフェードアウトしていたビビアン・スー主演の台湾映画。

幼少時代、下肢に障害があり家から出る事のなかった主人公・ドドは、手術が成功し歩ける様になってからというもの、気に入った靴を衝動買いしまくる靴オタクになっていた。スラリと美しい脚に可愛い靴が映える彼女は、イケメン歯科医と恋に落ち結婚するが…というストーリー。

アンデルセン童話の『人魚姫』その他、いくつかの童話をモチーフにしている本作、「王子様と結婚して幸せに暮らしました。めでたしめでたし」で完結してしまう童話が多い中、あえてバッドエンドで終わる人魚姫を主たる題材にしているあたりに本作の特色をが見られる。

本編ストーリーにおいて、結婚はゴールではなくスタートであると示す様に物語を展開し、更に『人魚姫』を連想させるネガティブな方向へと突き落とした後に、「それでもまだ終わりではないんだよ」と、更なる展開を見せて安心させ、そして尚も含みを持たせた終わりへと導く、童話のお約束をベースとし二転三転する全体的な構成は、その狙いにおいてはよく考えられていると評価出来る。

また、主人公が"靴オタク"である設定も、現代を舞台に普通の人間を主人公とした物語に、脚の有無が重要なアイデンティティポイントとなっている、人魚姫の物語と自然なリンクを見せるためのギミックとして、上手く考えられたものだろう。

だが本作、アイディアは素直に面白いと思えるもので、ビビアンも30代とは思えない変わらぬ可愛さを見せてくれているのだが、作品としての完成度を問われると、かなり辛いものがあると言わざるを得ない。

まず、作品世界や登場人物を観客理解させるための前半の展開が、ナレーションを多用した作風も手伝って、やたらと説明臭く、それを補うだけの面白さが感じられないのは大きなマイナスだ。

プレゼントの箱を振るなど、一部のスカした繰り返しギャグの中には面白いものもあるが、マンガ的エフェクトを用いた演出は、物語世界の空気をファンタジーからコミックへと変移させてしまうもので、工夫の足りなさを感じる結果に終わっている。

また、主人公の脚の美しさと靴とのマッチングこそが最重要であるはずなのに、映像的にそれを強調あるいは印象づける様な撮り方、見せ方は全くなく、ごく普通な映像でしかないのも問題だろう。序盤に骨格がどうこうと説明をするのなら、それが実際にどんな風に特殊なのかをビジュアルでしっかり見せないと、意味が薄れてしまうのだ。

靴マニアとしての表現も、靴専用部屋を作って棚に靴が大量に並んでいるなどはいいが、床に無造作に大量の靴が放置されていたりするのはオタクらしからぬ表現に思える。また、夫の視点から、棚に並ぶ靴がカエルの群れに見えてくる様になった、というギャグは面白いが、それが単発に終わっているのは勿体ない。床に靴が大量にあって歩けない状態の場面で、その靴が全部カエルになる映像に切り換えるなど、何度か繰り返した方がより面白くなったのではないだろうか。

夫の眼に異常が出る展開も、思わせぶりに進めておきながら、結局何もなかったかの様に放ったらかしで終わってしまうのはいかがなものか。ラストシーンで『幸福の王子』の絵本を読ませているので、おそらくはそれとリンクしているという事なのだろうが、あまりに適当すぎる。

ストーリー自体はなかなか共感させられるところもあるだけに、全体的なつくりが雑すぎるのが勿体ない作品。出演者のファンでも楽しめるかどうかは難しい。興味がある人は期待せずにどうぞ。



tsubuanco at 15:05│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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1. 【2007-4】靴に恋する人魚(THE SHOE FAIRY)  [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ]   2007年01月11日 23:06
3 本当の幸せとは、 一匹の白い羊と一匹の黒い羊を手に入れること。

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