2007年01月03日

夢遊ハワイ 40点(100点満点中)

公式サイト

いまだに徴兵制が残っている隣国、台湾を舞台に、軍役を終えようとしている二人の若者が与えられた極秘任務を主軸とし、台湾の若者達の等身大の青春を描いた作品。

劇中では、いとも簡単に脱走出来たり外部から物資を投げ込んだり出来る様に描写されている台湾軍だが、もし本当に現状がこんな現状だとしたら、台湾人からすれば冗談で済まない事態だろうし、隣国人から見ても困りものだ。映画として極端にディフォルメされていると考えるのが妥当なのだろうが、それにしてもあまりのヌルさにはリアリティを感じる事が出来ない。

軍を描く事が主目的ではなく、人間ドラマが主だとはいえ、背景となる舞台にまずリアリティが感じられないと、観客がその世界に入り辛くなってしまい、結果として主人公達に感情移入出来なくなってしまう事は明白だ。

これは同様に、重要な場所として用意されている精神病棟の描写も同様で、未熟な若者達のメンタル、情念の変化をエモーショナルに見せる映画としては、少し背景設定がいい加減すぎるだろう。

これなら舞台を中途半端に(台湾人にとって)身近なものとせず、絵空事の様な架空世界にでも設定した方が、寓話として伝わりやすくなったのではないだろうか。

明確に"キチガイ"と診断されている者と、「あいつはキチガイではないか?」と思われている者の対比と出会いの構成は面白いと思うし、あえて明確に結論を出さず、余韻を持った終わらせ方になっているのはいいのだが、リアルさのためでもない、感情移入のためでもない、余計な横道やディテールが多すぎるため、全体的に何を伝えたいのかがわかりにくくなってしまっている。

主人公二人の、過剰になりすぎない自然な演技と、それとは正反対気味の、他のメインキャラのコメディ的演技のギャップもまた、作品をどの方向性で観ればいいのかと、観客を悩ませてしまう一因となっている様に思える。

それでも、日本人から見ればノスタルジックな風景を舞台に、同じく日本人から見ればあまりに純朴な若者達の、ところどころに共感できる部分のある、それぞれの"青春"をストレートに見せられる本作には、ハッピーエンドではないにも関わらず嫌悪感はなく、緩やかな空気に浸って穏やかな気分にさせられてしまう、全体を支配する雰囲気には好感が持てる。

出演者のファンなら、一見の価値はあるかもしれない。


tsubuanco at 16:38│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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