2007年01月15日

愛の流刑地 20点(100点満点中)

公式サイト

かつてベストセラーとなり、映画やドラマ化もされて社会現象となった小説『失楽園』の作者、渡辺淳一による同名最新作を映画化。

原作の内容は毎度代わり映えせず、女性を性欲の捌け口としか見ていないボケ老人の、工夫のないエロ妄想を延々と書きなぐっただけの三文小説で、こんなのを読むくらいなら、フランス書院文庫でも読んでた方がよほど楽しめるというものだ。(この手の本は、「エロ本を買うのが恥ずかしい」とか思ってる人が買うのだろうが、正直、こんな本を買う方がエロ本より恥ずかしいと思うんだが)

が、映画化にあたり、監督を務める鶴橋康夫によって書かれた脚本は、事象そのものは原作をベースとしながらも、セックスの事しか頭にない原作の人物設定を、それなりに"愛"を感じさせられ、説得力が生まれる様に内面を彫り込み、また、ダラダラと時系列に沿ってエロ描写が続く原作と異なり、冒頭でいきなりヒロインを死なせ、それから真相が語られていく構成にする事で、観客の興味を最後まで引くなど、何とか一つの作品として成立する様にとの、努力の跡が大きく見て取れるものとなっている。

と言っても、やはり原作の大筋を変える事は出来なかったため、どうにも合点の行かないおかしなお話に終わってしまっているのも事実で、ストーリー的には評価出来るものではない。

映像的には、制限の多いテレビドラマの世界でも、美しい映像を撮ろうとこだわって来た鶴橋康夫だけに、映画の予算と環境を与えられた本作においては、ロケ地・京都の美しい景観を活かし、更に照明や効果など、あらゆる面で計算されつくした、一枚絵の様な映像美を随所にて堪能する事も出来る。

特に、上賀茂神社にて撮影された雨の場面などは白眉だが、ロケだけでなく、取調室や裁判所などの屋内場面においても、台詞のやり取りだけで話が進む、動きのない展開を、巧妙なカット割りと視点を誘導する照明効果によって、退屈せずに見ていられる様になされている。

そんな美しい映像を作るべく、製作者の努力やセンスは汲み取れるのだが、何せ肝心のヒロインが全く美しくないから全てが台無しである。

かつての『失楽園』のヒロインは黒木瞳や川島なお美が演じ、大人の女性の美貌とエロスを充分に感じる事が出来る人選であったが、今回のヒロインは何故か寺島しのぶと、どう見てもタダのブスなオバハンにしか見えない女優が演じてしまっている。これはどうしようもない。そもそも30代前半には見えない

特殊な例を除いて、恋愛ものはやはり美男美女が演じてくれるからこそ、現実にはあり得ない夢の様な理想の世界を、自分の願望と重ね合わせるなどして楽しむ事が出来るものだろう。もちろん夢物語といっても、ある程度のリアリティは不可欠だが、それはビジュアルではなく内面的な部分で表現すべきだ。

それがよりによって、親のコネで業界にしがみついているだけの寺島しのぶ(同類として松たか子や高橋真麻が存在)では、どれだけハダカを見せられようが、腰を振って喘がれようが、何の魅力もエロスも感じる事は出来ず、シラケるばかりである。

「ブスなおばさんだからこそ、かえってエロい」という考えの人もいるかもしれないが、そういうのは素人熟女AVででもやってくれればいい事で、大衆向け映画でそんなマニアックなエロを見せられても困るばかりだ。

イメージシーンとして見せられる、水中を泳ぐヒロインの映像などは、どう見てもパンストを被せられた罰ゲームにしか見えない変顔で、本来は感動するべきところが、笑いをこらえるのに精一杯になってしまう有様。

検事役で出演している長谷川京子が、着衣のままにも関わらず常にエロティックなフェロモンをプンプンさせているのとはまるで対照的だ。おそらくはスタッフも、こちらを撮る方が気合いが入っていたのだろうと邪推してしまう程。

原作では息子だったのが娘へと変えられている貫地谷しほりも、出番は少ないながらも、情感溢れる演技で存在感を出している。妻役の高島礼子も同様、どう考えても彼女を捨てて寺島しのぶに走るとは思えない

ヒロインが出演女優陣の中で一番魅力がないという、完全にキャスティングミスとしか思えない状態で、これが映画の全てを台無しにしてしまっている。

終盤の裁判シーンが、何日にも渡って続けられているのをダイジェスト的に見せている、という事は、しっかり見ていると傍聴人の席順や服装などでわかるのだが、この部分は説明が足りないだろう、大事なシーンにも関わらず、少し不親切だ。

寺島しのぶにエロスを感じる事が出来る、マニアックな性嗜好の人だけにオススメ。それ以外の通常人は、特段に鑑賞の必要は無し。



tsubuanco at 16:34│Comments(10)TrackBack(18)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 親のセブン光   2007年01月17日 16:56
5 全くおっしゃるとおり!!!
言いたいことを代弁してもらったようで
スカッとしました。
やっぱり主演女優はもう少し美人でないと。
いくら調理法や香辛料が天才的でも、もともとの
素材の魚が腐っていては全ては台無しというものでしょう。
2. Posted by つぶあんこ   2007年01月17日 17:19
メインの素材がどうしようもなくては、
一流の料理人といえども何ともなりませんからねえ。
3. Posted by you-sak   2007年01月20日 21:38
5 誰かの意見を聞いたり見たりしてブログを書いたつもりはないんですが、まったく同意見で笑ってしまいました。
女性もそう思ったのか、ってことは誰が、何のためにこの映画を、もっといえば小説をブームにさせたんでしょうか?
はなはだ疑問です。
7. Posted by つぶあんこ   2007年01月22日 14:51
長谷川京子は女性に嫌われてるっぽいですね。嫉妬?
8. Posted by たしか   2007年01月31日 13:46
5 寺島さん位しかオファーを受けなかったとか…
それにしても、パンストの件には、母乳を噴きました。
9. Posted by つぶあんこ   2007年01月31日 15:27
というか彼女にオファーを持っていく時点で…

それと母乳ください。
10. Posted by なまちゃ   2007年03月08日 16:54
5 爆笑ww

ところどころで笑ってしまいました。
トヨエツが好きなので見たいなぁとは思っていたけど
寺島しのぶだから…と言う点がすごく引っかかってしまって。
マニアックなエロ、なるほどーと関心させられてしまいました。
11. Posted by つぶあんこ   2007年03月08日 18:59
トヨエツのキャラクターは堪能できるかと思いますよ。
12. Posted by air   2007年03月16日 08:58
貫地谷しほりさんの字を間違えています。
屋ではなく谷です。
人の名前を書き間違えることほど失礼なことはありません。早急に訂正して下さい。
13. Posted by つぶあんこ   2007年03月16日 10:30
ご指摘ありがとうございます。修正しました。

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