2007年01月14日
モンスター・ハウス 70点(100点満点中)
公式サイト
スピルバーグ&ゼメキスがプロデュースする、3DCGアニメ映画。
ハロウィンの日、アメリカのとある町に存在する"人食い屋敷"の謎に、3人の少年少女が挑む。
というのが大まかなストーリーで、コレだけを聞くと、よくあるタイプの子供向け"オバケ屋敷映画"のパターンではないかと思われがちであろう。
が、本作はさにあらず、そんな典型的ハリウッド映画な題材を意図的に選択し、その上で、その"ハリウッド的"なお約束をディフォルメして笑いのネタとした、パロディ精神溢れる一般向け娯楽映画なのだ。
主人公の少年・DJの両親の、いかにもアメリカンホームドラマに出てきそうな夫婦を思いっきり誇張した言動、友人・チャウダーの、あからさまにステレオタイプを強調した"デブキャラ"の言動などをはじめ、あらゆる登場人物が、アメリカ製の映画、ドラマに見られるパターンのセルフパロディ的な設定、見せ方がなされており、いちいちニヤリとさせられる。(なんだか友近の「洋ドラ吹替え芸」を連想させられたりもするが)
その方向性は、DJの両親が車で出かけるところへ、チャウダーがやって来る、序盤シーンのやりとりで充分に周知出来る様にされているのだが、ここを読み違えると、今後の展開を製作者の狙い通りに楽しめなくなってしまうかもしれない。両親の会話や、バックする車に轢かれるチャウダーなど、かなりわかりやすく表現されているから、心配は無用だろうが。
ヒロイン・ジェニーの初登場シーンにおいて、ヤンキー女と繰り広げる互いに腹黒い会話や、一晩中部屋から出ない為、ペットボトルに溜められた尿など、"ありがちだが、人には見せられない"部分を、本筋と絡めたギャグとして見せ、終始楽しませる、ブラックコメディとしてのネタの配置、選択、構成は上手い。
ストーリーの核となる、"家の謎"に関しても、前半の展開で、意図的に観客を誤った推測に導きながらも、後半で明らかになる真相への伏線は撒かれているなど、よく考えられたもの。
終盤クライマックスには、かなり大掛かりな大破壊シーンが用意されており、これもまた、そこまでに用意された、主人公達のキャラクター描写と、舞台設定とが収束して、カタルシス溢れる結末へと導かれ、それでも尚、コメディとしてのギャグも最後まで忘れない、娯楽性に富んだ作りとなっている。
枯れ葉が舞う町の道路を幼女が三輪車で疾走する様を、幼女の周囲をグルグル回りながら場所が移動していく映像として見せられるファーストシーンで、人物、背景、小物に至るまで、あらゆる面で"リアルな描写"にこだわり、カメラワークや照明においても、実写では大変な手間や技術がかかる様な圧倒的な映像を見せつけられ、その後も最後まで目を離さず楽しむ事が出来る、3DCGアニメとしての完成度も高い。
本来は一番の楽しみどころとなるであろうはずの"屋敷内の探検"の場面が、全編の中で一番間延びして退屈する時間になっているのは残念だ。ここはもう少し、予想を裏切るオモシロ展開が一捻り欲しかったところ。
ハリウッド映画を楽しく皮肉りながらも、本質的な部分では王道を決して外さない、良質の娯楽映画。子供よりむしろ、子供の心を失っていない大人こそが本作を一番楽しめるだろう。興味のある人は是非。
スピルバーグ&ゼメキスがプロデュースする、3DCGアニメ映画。
ハロウィンの日、アメリカのとある町に存在する"人食い屋敷"の謎に、3人の少年少女が挑む。
というのが大まかなストーリーで、コレだけを聞くと、よくあるタイプの子供向け"オバケ屋敷映画"のパターンではないかと思われがちであろう。
が、本作はさにあらず、そんな典型的ハリウッド映画な題材を意図的に選択し、その上で、その"ハリウッド的"なお約束をディフォルメして笑いのネタとした、パロディ精神溢れる一般向け娯楽映画なのだ。
主人公の少年・DJの両親の、いかにもアメリカンホームドラマに出てきそうな夫婦を思いっきり誇張した言動、友人・チャウダーの、あからさまにステレオタイプを強調した"デブキャラ"の言動などをはじめ、あらゆる登場人物が、アメリカ製の映画、ドラマに見られるパターンのセルフパロディ的な設定、見せ方がなされており、いちいちニヤリとさせられる。(なんだか友近の「洋ドラ吹替え芸」を連想させられたりもするが)
その方向性は、DJの両親が車で出かけるところへ、チャウダーがやって来る、序盤シーンのやりとりで充分に周知出来る様にされているのだが、ここを読み違えると、今後の展開を製作者の狙い通りに楽しめなくなってしまうかもしれない。両親の会話や、バックする車に轢かれるチャウダーなど、かなりわかりやすく表現されているから、心配は無用だろうが。
ヒロイン・ジェニーの初登場シーンにおいて、ヤンキー女と繰り広げる互いに腹黒い会話や、一晩中部屋から出ない為、ペットボトルに溜められた尿など、"ありがちだが、人には見せられない"部分を、本筋と絡めたギャグとして見せ、終始楽しませる、ブラックコメディとしてのネタの配置、選択、構成は上手い。
ストーリーの核となる、"家の謎"に関しても、前半の展開で、意図的に観客を誤った推測に導きながらも、後半で明らかになる真相への伏線は撒かれているなど、よく考えられたもの。
終盤クライマックスには、かなり大掛かりな大破壊シーンが用意されており、これもまた、そこまでに用意された、主人公達のキャラクター描写と、舞台設定とが収束して、カタルシス溢れる結末へと導かれ、それでも尚、コメディとしてのギャグも最後まで忘れない、娯楽性に富んだ作りとなっている。
枯れ葉が舞う町の道路を幼女が三輪車で疾走する様を、幼女の周囲をグルグル回りながら場所が移動していく映像として見せられるファーストシーンで、人物、背景、小物に至るまで、あらゆる面で"リアルな描写"にこだわり、カメラワークや照明においても、実写では大変な手間や技術がかかる様な圧倒的な映像を見せつけられ、その後も最後まで目を離さず楽しむ事が出来る、3DCGアニメとしての完成度も高い。
本来は一番の楽しみどころとなるであろうはずの"屋敷内の探検"の場面が、全編の中で一番間延びして退屈する時間になっているのは残念だ。ここはもう少し、予想を裏切るオモシロ展開が一捻り欲しかったところ。
ハリウッド映画を楽しく皮肉りながらも、本質的な部分では王道を決して外さない、良質の娯楽映画。子供よりむしろ、子供の心を失っていない大人こそが本作を一番楽しめるだろう。興味のある人は是非。