2007年02月12日
Gガール 破壊的な彼女 80点(100点満点中)
座敷女
公式サイト
『キル・ビル』に続いてユマ・サーマンがパロディヒロインを演じるコメディ映画。監督は『ゴーストバスターズ』のアイヴァン・ライトマン。
超スピードで空を飛び、銃弾も跳ね返す無敵の超人・Gガール。彼女は今日もニューヨークの平和を守り、市民から喝采されていた。平凡な会社員・マットは、地味なメガネ女性・ジェニーと地下鉄で知り合い、交際を始める。そしてマットは、実は彼女がGガールである事を知り、また、実は彼女をそれほど本気では好いていない事に気づき、別れて違う女性と付き合おうとするが、彼女は極めて嫉妬深く、スーパーパワーの矛先がマットへ向いて大変な事に…というお話。
監督がコメディ映画を得意とするライトマンだけに、そのテンポの良さや気の利いた演出によって、普通のコメディ映画として楽しむ事も出来るが、当然ながら、アメコミヒーローのコテコテなパロディである本作、アメコミ好きにはよりタマラない仕掛けに満ちた、溢れんばかりのアメコミ愛を存分に感じ取る事が出来る、良質のパロディ映画なのだ。
何せ脚本は、『シンプソンズ』のライターであっただけではなく、自身もかなりのアメコミ好きで、『ファンタスティック・フォー』の二作目の脚本を担当する事となったダン・ペインである。"わかってる"人がパロディを書けば、ここまで楽しくなる、といういい証拠だ。
Gガールの基本設定は、怪力、飛行能力、鋼鉄の肉体、ヒートビジョン、普段は目立たないメガネ、隕石が弱点と、言うまでもなくスーパーマンそのものである。
「スーパーマンがロイスとセックスしたら、射精の勢いでロイスが死ぬ」などと、戦前から言われているギャグがある様に、超人のセックスはパロディの定番ネタである。本作はその点に真っ正面から取り組んで、セックスネタをメイン要素の一つとし、先述のネタとは男女の性を逆転させた超人のセックスを、繰り返しギャグとして描くとともに、物語の進行に不可欠な意味を持たせ、更に、『スーパーマン』の名場面である、マンションから上空に飛び出しての夜空のデートを下品にパロディの対象とするなど、ことごとくパロディ、ギャグ、ストーリーを融合させた笑いの世界を構築している。
ヒロインだけでなく、アメコミヒーローには不可欠なヴィラン(悪人)も当然登場。このキャラクターの設定、役割、変遷、位置づけなど、ことごとく"アメコミの方程式"をキッチリ守った上で、同様にコメディとして話を面白くする方向へ活かされている、パロディ作品としての脚本の練り込みは尋常ではない。(ヴィランの存在について、アメコミに詳しくない人は『アンブレイカブル』を観ておくと、意味や図式がわかりやすいかも)
スーパーパワーを持った女性が嫉妬深いと、男の側からは大変な事になる、というネタは、『うる星やつら』を思い起こさせたりもするが、これはおそらくは意図してはいないだろう。「女は恐い」というのは、世界共通の認識なのだから。
Gガールを演じる、ユマ・サーマンは、決して美人ではないが、この種の"ヘンな役"にはよく嵌り、本作でも、変身前の、文学部や美大を卒業してそうなメンヘルっぽいメガネ腐女子をリアルに演じ、またその長身のプロポーションは、いかにもスーパーヒロイン然としており適任だ。
もう一人のヒロインとなる、アンナ・ファリスは、ユマとは対照的な"可愛い系"のビジュアルが印象的で、その好対照自体が、終盤の展開やオチをより盛り上げる要因となっており、こちらも好キャスティング。『最終絶叫計画』とはまた違った魅力を堪能出来る。
作り手の「アメコミ大好き」な熱意がヒシヒシと伝わって来る本作。アメコミ好きなら間違いなく必見。そうでない人も、機会があれば是非。
公式サイト
『キル・ビル』に続いてユマ・サーマンがパロディヒロインを演じるコメディ映画。監督は『ゴーストバスターズ』のアイヴァン・ライトマン。
超スピードで空を飛び、銃弾も跳ね返す無敵の超人・Gガール。彼女は今日もニューヨークの平和を守り、市民から喝采されていた。平凡な会社員・マットは、地味なメガネ女性・ジェニーと地下鉄で知り合い、交際を始める。そしてマットは、実は彼女がGガールである事を知り、また、実は彼女をそれほど本気では好いていない事に気づき、別れて違う女性と付き合おうとするが、彼女は極めて嫉妬深く、スーパーパワーの矛先がマットへ向いて大変な事に…というお話。
監督がコメディ映画を得意とするライトマンだけに、そのテンポの良さや気の利いた演出によって、普通のコメディ映画として楽しむ事も出来るが、当然ながら、アメコミヒーローのコテコテなパロディである本作、アメコミ好きにはよりタマラない仕掛けに満ちた、溢れんばかりのアメコミ愛を存分に感じ取る事が出来る、良質のパロディ映画なのだ。
何せ脚本は、『シンプソンズ』のライターであっただけではなく、自身もかなりのアメコミ好きで、『ファンタスティック・フォー』の二作目の脚本を担当する事となったダン・ペインである。"わかってる"人がパロディを書けば、ここまで楽しくなる、といういい証拠だ。
Gガールの基本設定は、怪力、飛行能力、鋼鉄の肉体、ヒートビジョン、普段は目立たないメガネ、隕石が弱点と、言うまでもなくスーパーマンそのものである。
「スーパーマンがロイスとセックスしたら、射精の勢いでロイスが死ぬ」などと、戦前から言われているギャグがある様に、超人のセックスはパロディの定番ネタである。本作はその点に真っ正面から取り組んで、セックスネタをメイン要素の一つとし、先述のネタとは男女の性を逆転させた超人のセックスを、繰り返しギャグとして描くとともに、物語の進行に不可欠な意味を持たせ、更に、『スーパーマン』の名場面である、マンションから上空に飛び出しての夜空のデートを下品にパロディの対象とするなど、ことごとくパロディ、ギャグ、ストーリーを融合させた笑いの世界を構築している。
ヒロインだけでなく、アメコミヒーローには不可欠なヴィラン(悪人)も当然登場。このキャラクターの設定、役割、変遷、位置づけなど、ことごとく"アメコミの方程式"をキッチリ守った上で、同様にコメディとして話を面白くする方向へ活かされている、パロディ作品としての脚本の練り込みは尋常ではない。(ヴィランの存在について、アメコミに詳しくない人は『アンブレイカブル』を観ておくと、意味や図式がわかりやすいかも)
スーパーパワーを持った女性が嫉妬深いと、男の側からは大変な事になる、というネタは、『うる星やつら』を思い起こさせたりもするが、これはおそらくは意図してはいないだろう。「女は恐い」というのは、世界共通の認識なのだから。
Gガールを演じる、ユマ・サーマンは、決して美人ではないが、この種の"ヘンな役"にはよく嵌り、本作でも、変身前の、文学部や美大を卒業してそうなメンヘルっぽいメガネ腐女子をリアルに演じ、またその長身のプロポーションは、いかにもスーパーヒロイン然としており適任だ。
もう一人のヒロインとなる、アンナ・ファリスは、ユマとは対照的な"可愛い系"のビジュアルが印象的で、その好対照自体が、終盤の展開やオチをより盛り上げる要因となっており、こちらも好キャスティング。『最終絶叫計画』とはまた違った魅力を堪能出来る。
作り手の「アメコミ大好き」な熱意がヒシヒシと伝わって来る本作。アメコミ好きなら間違いなく必見。そうでない人も、機会があれば是非。
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1. 【2007-21】Gガール 破壊的な彼女(MY SUPER EX-GIRLFRIEND) [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ] 2007年02月13日 20:51
元カノはGREATで
GLAMOURな
逆ギレGガール
オシオキしてあげる!
2. Gガール 破壊的な彼女 07??08 [ 奇跡の人の映画部屋 ] 2007年02月14日 17:04
鑑賞日 2月14日
感 想
「馬鹿映画に何でユマ・サーマン?」って思ってましたが、いやいや面白かったです。36歳の彼女がスーパーヒロインという設定がイタイかと思いましたが、主人公に振られてからの復讐劇はキャラに合って非常に面白かったです。「キ...
3. 映画「Gガール 破壊的な彼女」 [ しょうちゃんの映画ブログ ] 2007年02月15日 02:03
2007年10本目の劇場鑑賞です。公開翌日観ました。「6デイズ/7ナイツ」「エボリューション」のアイヴァン・ライトマン監督作品。ユマ・サーマンが嫉妬深いスーパー・ガールを演じたラブ・コメディ。アイヴァン・ライトマン監督のユーモア満載の内容でした。ユマ・サーマン...
4. Gガール 破壊的な彼女 (My Super Ex-Girlfriend) [ Subterranean サブタレイニアン ] 2007年02月26日 10:29
監督 アイヴァン・ライトマン 主演 ルーク・ウィルソン 2006年 アメリカ映画 93分 コメディ 採点★★★★ 持ち前の惚れっぽさからか気移りの激しさからか、人生の大半を女の子を追っかけることに費やしているたおです。まぁ、その時々は真剣なんですけどね。そんな人生の大....
5. 「Gガール 破壊的な彼女」 [ キネオラマの月が昇る〜偏屈王日記〜 ] 2007年10月24日 22:11
「Gガール 破壊的な彼女」公式サイト
(音量注意!)
さえない建築士のマット(ルーク・ウィルソン)が地下鉄でナンパして出来た彼女ジェニー(ユマ・サーマン)は、超美人で超スタイルが良くて超エッチ!
そんなウマイ話があるわけないと思ったら案の定、超嫉妬深くて超...
この記事へのコメント
1. Posted by シュウ 2007年02月13日 21:54
映画を観る参考にさせていただいています。
私にとって久々に単純に楽しめる映画でしたので、どのような評価がでるのか評価待ちの段階から楽しみでした。
このような単純に笑えて楽しめる映画で、私のオススメの一本です。
私にとって久々に単純に楽しめる映画でしたので、どのような評価がでるのか評価待ちの段階から楽しみでした。
このような単純に笑えて楽しめる映画で、私のオススメの一本です。
2. Posted by つぶあんこ 2007年02月14日 11:21
私もオススメです。