2007年02月13日

守護神 70点(100点満点中)

君は知るかー 知るっかー♪
公式サイト

アメリカ沿岸警備隊救難士の師弟のドラマを描いた、ケビン・コスナーとアシュトン・カッチャーのダブル主演映画。

救助した人数が歴代一位であるベテラン救難士ベン・ランドール(ケビン)だが、仕事に没頭するあまり妻からは別居を申し渡され、自身も現場での事故が原因で一時的に現場を離れ、救難士育成の任に就く事となる。若き訓練生、天才スイマーのジェイク・フィッシャー(カッチャー)を厳しく鍛えるベンだったが、ジェイクもまた、心に闇を抱えていた…というストーリー。

本作のメイン舞台は救難士の訓練所、若い訓練生と現場を退いた教官との確執、それと並行する男女の色恋沙汰、男の仕事と妻や恋人との板挟み、などなど、これらの点をピックアップして、「海猿のパクリだ or 似ている」との意見が散見される様だが、そもそも『海猿』という映画自体が、『愛と青春の旅立ち』や『トップガン』などのハリウッド映画を大きく意識して、原作漫画に色々と要素を追加して作られた作品であり、「○○はエヴァのパクリ」と言って恥ずかしいと気づかないエヴァ厨と同レベルの赤っ恥だ。あまり映画に詳しくない人なら構わないだろうが。

漢字三文字の邦題は、明らかに漢字二文字の『海猿』を意識したと思しきものだし(と言っても原題『The Guardian』の直訳だが)、配給側としても"似ている"事に気づいてほしいのかもしれない。

本作、上述のハリウッド映画二作以外にも、『バックドラフト』の様に、レスキューに命を賭ける男の職業ドラマに、男女関係のせめぎ合いを絡めるなど、ハリウッド映画のある種王道パターンを意図的に踏襲し、その上で、アメリカの海難レスキュー現場で実際に起こった事故を題材に取り入れ、独自カラーを出している。

まず序盤において、ベンのレスキュー現場での活動を、実写、CG、合成を巧みに駆使した災害映像で観客に見せつけ、そのハリウッド映画ならではの圧倒的な迫力と凄惨さに、アッサリ作品世界に引き込まれてしまう。掴みはオッケーだ。

最初にベンの仕事ぶりをしっかり見せておく事で、メイン舞台である訓練所における鬼教官ぶりに説得力を持たせ、同時に序盤の事故の顛末が、終盤への伏線ともなっている、良くした構成となっている。

展開が訓練所に移って、もう一人の主人公・ジェイクが登場し、ここから、視点がベンとジェイクを行ったり来たりして物語が展開していくのだが、この視点の切り替わり方が極めて自然で、どちらか一人しかいない場面は当然として、二人が対峙する場面において、その時その時に応じて細かく視点および感情移入対象が切り替わり、それを観客はスンナリと受け入れ、どちらの側の心情も理解し同化させられ、感動へと結びつく、この演出、編集の上手さも見逃せない。

終盤で再び現場へと舞台が戻り、ここに来て長らく間をあけた序盤の伏線が蘇り、ピンチを盛り上げると同時に、世代交代をも描写。更に、バーでママが語ったベンの過去の武勇伝が、ラストの展開を観客にミスリードさせておき、その結末に意外性を与える事で、予定調和的なお涙頂戴のみに終わらせない仕掛け。そして、プロローグとエピローグがカッチリと結びつき、最後にタイトルの意味がわかる、全体的な脚本構成は、王道ストーリーをキレイにまとめたものとなっている。

過酷さを見せながらも、どことなくコミカルな訓練シーンや、うって変わって激しさを前面に押し出した現場シーンと、"男の仕事"絡みの展開は、そのドラマを狙い通りに楽しめる様作られているが、もう一つの要素である、男女の色恋絡みの展開がなんとも陳腐で半端に終わっており、これが冗長さを感じる一因ともなっている。(実際、上映時間は長いのだが)

この程度なら思い切ってカットし、職業ドラマに特化した方がテンポよく楽しめただろうし、入れるならもっと人間描写や心情変化をみっちり描いてほしかったものだ。

映像的には、命懸けの救助活動をドキドキハラハラしながら見守れる、リアルな映像がたっぷりと堪能出来る、怒濤の海難場面が楽しめるのだが、古来より、「水の特撮は炎の特撮よりも難しい」と言われる通り、ところどころに少しアラも散見され、特に終盤の"感動シーン"の大事な映像にて、波飛沫のチープさが殊更に目についてしまい、何故この画面に限ってこんな事を、と、せっかくの感動が薄れてしまい、少し残念。

もちろん全体的なクオリティはかなり高く、海猿と比べるのが可哀相なレベルである事は間違いない。

王道ストーリーを程よく仕上げ、ドキドキして感動出来る、良く出来たハリウッド娯楽映画。劇場の大画面と音響で観るのに相応しい作品であり、海もの、レスキューものが好きなら必見。興味のある人はどうぞ。



tsubuanco at 14:12│Comments(0)TrackBack(9)clip!映画 

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