2007年02月09日

イヌゴエ 幸せの肉球 40点(100点満点中)07-040

あー、フランス語はわからんなぁ
公式サイト

犬の言葉がわかる男を主人公とした2005年映画『イヌゴエ』の第二弾。メディアミックス企画として連続TVドラマも製作されているが、3作ともに基本コンセプトのみが共通の、別世界、別キャラクターによるそれぞれ独立した作品である。

シリーズ最新作となる今回は、前作映画やTV版のメインキャストがカメオ出演し、特に前作映画の主人公を演じた山本浩司は重要な役割で登場しており、シリーズを観続けている人に対するサービスとなっている。

不甲斐ないダメ男が主人公で、喋る犬が彼の癒しとなる、作品フォーマットは変わらず、今回の主人公・成田凌もまた、恋人への気遣いどころか自分の事も管理出来ない、何も考えておらず思いつきで行動するダメ男として設定され、その甲斐性のなさやウカツさに対し、共感も同情も出来ない描写が徹底されつつも、だからといって見捨てる事も出来ない、そんなキャラクターを、スカしたイケメン役が多かった阿部力が意外にも好演している。

ロードムービーの形態をとった物語展開のいちいちに、軽はずみな言動によって事態をややこしくする、そのおかしさも狙いの一つなのだろうが、各々のトラブルや人情ドラマが、その場その場での笑いや感動は起こしつつも、全体を通じて主人公の精神的成長に繋がるなどのまとまりが無く、散漫な印象も受ける。主人公が行き当たりばったりでも、脚本までがそうでは問題だろう。

どこにあるのかもわからない恋人(中村麻美)の実家を探す旅が物語進行のメインとなるが、そこへ辿り着くためのプロセスが、あまりに偶然に頼りすぎで、逆にそれを強調して面白さを出すなどの工夫もなく、練りが浅く感じる。犬の小便がきっかけとなって旅が始まり、同じく小便がきっかけで実家に辿り着く、このギミックは面白いが、そこまでを繋ぐ道程にも、何らかの筋の通った仕掛けが欲しかったところ。

前作映画やTV版では、メインとなる犬の喋りがオッサン声で行われ、ホットペッパーのCMのごとく、犬の動きと妙にシンクロしたボソボソした口調の喋りが独特のおかしさを生み、作品の魅力となっていたが、今回はヒロインである恋人と同じ女声で喋る様に変化を持たされており、これが本作の大きな特徴となっている。

前作映画において、犬は飼主と同じ声で喋る事が説明されており、今回はその設定を活かし、オス犬なのに女声で喋るミスマッチの妙を狙っている。が、その設定説明を前作のみに任せ、今回は触れていないのは少し不親切ではないかとも思う。

犬の声が主人公の心理状態をも反映している一面もある、という作品フォーマットと、上述のミスマッチをともに活用して、旅が続くに連れ溜まっていく疲労やストレスとともに、性欲も溜まっていく事を表現するネタとして、オス犬に女声で「交尾したい交尾したい」と連呼させるなど、ギャグ、コメディとしての狙いはほぼ成功しているので、全編通して飽きる事はないだろう。

屋内での撮影では、間取りや窓枠などを画面分割するための仕切として利用し、映っている人物の心理状態や関係を構図によって表現する、考えられた画面作りも所々に見られ、映像的にも飽きない工夫はなされている。

前作映画におけるケンネルと同様、野犬や保健所を題材に使用しておきながら、その本質に対する主張やフォローなどは見えてこず、観賞後に引っかかりとなって残る部分もあるが、教育映画や啓蒙映画でもないので、あまり深く突っ込む事もないのだろう。が、だったら最初から、そういったネガティブなイメージを抱かれやすい題材は、避けて通った方がいいのでは、とも思う。

犬好き、コメディ映画好きなら、それなりに楽しめるであろう本作、興味のある人は、期待せずに臨むといいだろう。前作映画やTV版も、同じくらいには面白いので機会があれば。



tsubuanco at 13:41│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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