2007年03月10日

ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀 決闘!ゴルゴダの森 40点(100点満点中)

噂の夫婦・利家とまつ
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新人アイドル、女優の発掘に定評のあるBS-iプロデューサー、丹羽多聞アンドリウによるアイドルドラマ『ケータイ刑事』シリーズの劇場版、『ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密 銭形姉妹への挑戦状』に続く二作目となる。

前作映画は、二代目:銭形舞(堀北真希)、三代目:銭形泪(黒川芽以)、四代目:銭形零(夏帆)の三姉妹共演が売りだったが、今回は引き続き出演の四代目:零と、小出早織演じる五代目:銭形雷とのダブル主演となっている。

ちなみに、宮崎あおいが演じた初代:銭形愛は、実写映画版『デビルマン』の那須博之監督によって当時映画化企画が進められていたが、監督の急逝によりお蔵入りとなり、その後急速に宮崎あおいがメジャーになってしまい、もはやケータイ刑事そのものが事務所的に黒歴史化しつつあり、今後の出演はまず無理と思われる。

警視総監の孫娘である主人公が、女子高生or中学生にして警視正の秘密捜査官、という共通設定を持ち、1〜4作目までの主人公が四姉妹(愛、泪、舞、零の順)で、5作目の雷は、同じく警視総監の孫だが、四代目までとは姉妹ではなく、父親同士が兄弟の従妹にして、更なる四姉妹の長女、という、商売になる限りいつまでも続けられる設定がまず、何でもアリの本シリーズの方向性を如実に表している。

シリーズコンセプトはスケバン刑事、ムダに高い階級はワイルド7やレスキューポリス、名前は一部キャッツアイを彷彿させる、など、表層的な面からディテールまで、細かくパロディ、遊びが見られるのも、本シリーズの大きな特徴だろう。

さて本作、まずタイトルは『柳生一族の陰謀』あるいは『ルパン三世 風魔一族の陰謀』や、『ウルトラマンA』のゴルゴダの丘あたりを意図したパロディであろう。と言っても内容的には特に必然性はなく、この辺りのいい加減さやクドすぎる字数の多さもまた、シュール脱力コメディ色の強いシリーズならでは。

かつて人気刑事ドラマで刑事役を演じていた俳優が、主人公をサポート(あるいは邪魔)するベテラン刑事としてレギュラー出演するのも本シリーズの大きな特徴だが、『銭形雷』に出演した国広富之(役名は岡野富夫!)が本作にも出演。それに乗じ、今回の特別ゲストとして、松崎しげるが刑事・松山進として登場し、約25年ぶりに"トミーとマツ"コンビが復活

これにより、アイドルファンに対するサービスイベントである夏帆と小出早織の共演に加え、刑事ドラマファンにも嬉しいイベントが用意されている、劇場版に相応しい、お祭り作品的な要素は備えているのだが、どうも前作映画よりも更に縮小された予算規模や製作環境のため、劇場映画として観るにはかなり厳しい出来となってしまったのも事実。

メインストーリーが特に面白くないのは毎度の事で、TVシリーズと同じ脚本家が執筆している本作、悪ふざけ的小ネタに失笑したり、主演アイドルが拙いながらも頑張って演じている可愛さを堪能するのがこのシリーズの楽しみどころとは言え、もう少し、一本の映画作品として成立しうるものに出来なかったものか。

序盤に登場する"貸しビデオ屋"関連の描写や、トミーとマツが森の捜索で同じドタバタを繰り返し見せるギミック、などは"笑える"要素としてそれなりに機能しているが、それ以降の展開は無駄にダラダラとオッサン連中が特に中身のない会話を長々と続ける場面が延々流されて、観客が睡魔と戦わされるハメに陥る事が多々あり、かなり厳しい。

主演二人のアイドル的魅力を楽しむ要素として用意されている、忍者装束や婦警などのコスチューム姿、仮面ライダー1号と2号の桜島対決を彷彿とさせる終盤のチャンバラ対決や、二人そろっての名乗り&必殺技、あるいは姉妹ではなく従姉妹なので、どことなくぎこちなさが残る二人のやりとりなど、それなりに楽しめる事は楽しめるのだが、例えば、忍者装束で赤外線のセキュリティを突破する訓練シーンにかなり多く尺が取られ、二人の動く様を楽しませようと言う意図はわかるのだが、やたらと寄りの画が多く全身の動きがよく見えないので、今ひとつ楽しみきるには至れない。

これは、後の場面で実際にセキュリティを突破する際に、フルショットで全身を見せる画面との対比、あるいは引っぱりを狙っている事はわかるのだが、アップの画で見せられる訓練シーンの長さも手伝って、単調で退屈に感じてしまうのだ。

その場面に限らず、劇場のスクリーンで観る事が全く考慮されていない、普段のシリーズと変わらないテレビ的な画面構成ばかりで埋め尽くされた本作の映像は、どうにも評価し難い。いくら監督がテレビドラマ畑の人とは言え、せっかくの"映画監督"としての仕事なのだから、意欲的な工夫を見せてほしかったところだ。

その点では、"映画監督"によって作られた前作映画の方が、製作環境的な面を抜きにしても、映画的な映像を多く見せてくれており、今回の、あらゆる点でのスケールダウンは寂しい。

それでも、先述のチャンバラ対決シーンは、時間は短いながらも、アクション素人のアイドルとしてはかなりの上出来と言って問題ない、それなりに見られる殺陣となっており、この部分だけは、二人の頑張りとスタッフの仕事ぶりを、素直に評価出来るものとなっている。

シリーズファンや夏帆、小出早織、星野真理あたりのファンならとりあえず必見だが、そうでない人には特にオススメしない。『噂の刑事トミーとマツ』のファンだった人なども、レンタル待ちで充分だろう。

余談:
小出早織の顔のニキビの位置がシーンごとに違うので、それを見ればどのシーン、カットを同じ日に撮ったか、がわかったりする。



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この記事へのコメント

1. Posted by NPO   2007年03月22日 10:39
 1作目の監督主演コンビで「学校の階段」と言う映画を角川映画で創ったようですが、1作目〜2作目の間になんかあったんでしょうかね?
 まるでこの2作目へのあてつけみたいですね。
 1作目も脚本は酷かったが、映画の体裁を確りとっていましたが、正直2作目は相当に酷いと思いました。こうして映画がシリーズになると同時に劣化してしまうのは昔のプログラムピクチュアでもあったことなのでしょうか?
2. Posted by つぶあんこ   2007年03月22日 17:53
大抵の場合、シリーズ化されるのは一作目が思ったより評判が良かったからで、2作目はスケールアップする場合が多いんですけどねえ。

3作目以降は惰性でどんどん盛り下がって行く事が多いですけど。

現役シリーズの2作目でこの有様はちょっと珍しいかもです。無くは無いですが。

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