2007年03月02日

グアンタナモ、僕達が見た真実 35点(100点満点中)

自分探しだと!?お前はそこにいるだろうが!!
公式サイト

三人のパキスタン系イギリス人が、キューバのグアンタナモ米軍基地に、身に覚えのないテロリスト嫌疑により2年以上もの間収容されていた、実際に起こった出来事を元に、本人のインタビューと再現映像を交えたノンフィクション映画

明らかに米軍批判、ブッシュ批判を目的として製作された本作、確かに映画内で描かれている米軍のやりようは、それが本当の事ならいくら非難されても当然の、決して許されない事であり、インパクトは絶大である。

常軌を逸する拘束、拷問、尋問が、無実の人間に対し捏造、脅迫、誘導とあの手この手で続けられ、"被害者"がどんどん精神的にも追いつめられていく様は圧巻。

本人インタビューを交える事で"真実"を強調し、その本人とソックリ(まあ、日本人からすれば、みんな同じに見えるんだが)な俳優が演じる、ドキュメントの手法を多用し、ライブ感を強調した再現映像に、より一層のリアルさが増幅される効果をあげている。

密閉式のトラックの荷台に押し込められた者達が息苦しくなり騒ぎ始めたら、外からいきなり銃弾を乱射して穴を開ける、という、中に人間がいる事を全く考慮しない非道な所業には、到着後開かれた荷台内部に横たわる累々たる死体が見せつけられる、生々しくあまりに惨い映像によって、更なる"憤り"をかき立てられる事受け合いだ。

そうした地獄が連日繰り返し続けられる様を、常に主人公達に近接する視点で捉え、彼らの精神状態の変遷を克明に観察するとともに、単純で記号的な米軍批判とならない様に、米軍人の人間的な部分も少しだけ挿入して、さらにリアル感を持たせる、これはある意味ではストックホルム症候群的な効果を狙っているのだが、それに気づかされる程度、ならば、あまり上手くいっていないという事か。

確かに"米軍の酷さ"はしっかり酷いと感じられる様には作られている、のだが、一方、拘束され大変な目に遭ってしまう主人公達に、どうにも感情移入し難いのは、彼らが拘束されるに至る経緯の起点そのものが、どうにも首を傾げてしまうものだからだろう。

まず、主人公の一人が、結婚するために故国パキスタンへ帰り、それを祝うために友人三人もパキスタンへ向かい、現地で四人が集まった。ここまでは良い。

その後、見合いや結婚式をするでもなく、四人で遊び歩いた挙句に「隣のアフガニスタンは大変らしいぜ、行ってみよう!」と、何の計画も準備も無しに、"戦地"であるアフガニスタンにノコノコと出かけ、国境が混乱しているのもおかまい無しで侵入し、目的もなく物見遊山気分でバスに乗って旅を続ける。なんだそりゃ、である。

これでは、愚かにも"自分探し"などと称して戦地イラクへ勝手に行って勝手に死んできた平和ボケ日本人と何ら変わりのない"自業自得"ではないか。

確かに無実の者に非人道的な扱いをした米軍は問題だ、が、そんなヤバい場所に用もなく行く奴は単なる大バカでしかない。

"苦しんでいる人を助けたい"など崇高な理想があったとしても、それが出来るだけの具体的な力を備えていない事には、自分自身が"苦しんでいる人"になってしまうだけで、逆に迷惑だ。

こんな、全く共感も同情も出来ない顛末から最初に見せられるせいで、その後に彼らが辿る悲劇にも、同情する事は出来ない。これが本作の根本的な欠陥である。

そういうわけで、本作、主人公達が拘束されて以降の、迫真の演技、映像で見せられる、苦難の数々そのものは良く出来てはいるが、そもそもの導入部がお粗末なせいで台無しになってしまい、製作者が狙った通りには、米軍批判を観客に同意させきれない、残念作に終わっている。

特徴であるライブ感を味わうためには劇場で観た方がいいのだが、強くはオススメしない。興味のある人も、あまり期待せずに臨めばガッカリせずに済むかも。



tsubuanco at 16:08│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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