2007年04月04日

とかげの可愛い嘘 20点(100点満点中)

SFレーザーブラスト
公式サイト

常に黄色いレインコートを着込み、ポケットには生きたトカゲを忍ばせ、とても信じられない嘘ばかりついている少女・アリと、そんな彼女に恋をした主人公・ジョガンとの、小学校時代から社会人までの約20年に渡る、すれ違いの恋愛ストーリー。

ちょっとおかしなヒロインの大人時代を演じるカン・ヘジョンは、『トンマッコルへようこそ』でもオツムの弱い少女を演じるなど、奇人変人の役はハマり役ではあるが、野沢直子さとう珠緒が混ざった様な中途半端なビジュアルは、ヒロインを演じるには無理がある様にも感じる。小学生時代が可愛すぎるのも、マイナスのギャップとなってしまっている。

主人公の大人時代を演じるチェ・スンウもまた、恋愛映画の主人公とは思えないダサダサな兄ちゃんだが、これは韓国映画にはよくある事なので、殊更に言い立てるほどではないか。

ヒロインの口から発せられ続ける"ホラ話"および、ちょっと関係が進展しそうになると姿を消してしまう、それらの理由が本作の特徴となる要素なのだが、ホラ話はともかく、姿を消したり現われたりする展開に対する謎解きが、かなり後の方にならないと明らかにならないため、それまでの彼女の行動は、"何の挨拶もなしに姿を消して呆然とさせ、都合のいい時にまたいきなり現われて思わせぶりに接近し、自分が辛くなったらまたとっとと消えてしまう、自分の都合しか考えていない自分勝手なバカ女"としか映らないのだ。

これでは観客は不快になるだけで、二人の関係にソワソワしたりドキドキするなどあり得ない。そこからのギャップを狙っている事はわかるが、ネタの引っ張り方を明らかに間違えている。

しかも明かされる理由は、観る前から簡単に予想のつく、韓流映画のお約束そのまんまで何の工夫もヒネリもなく、観客は「またかよ」と呆れるばかりだ。

定番ネタを使う事が悪いのではない。お約束を使いながらも、独自の工夫をプラスして、独自の面白さを創り出し、楽しませたり驚かせたりすればそれでいいのだ。そうした工夫も努力も全く感じられない作品ばかりだから、「不治の病ネタは法律で規制しろ」などと揶揄されたりするのだ。

結局、ヒロインの謎を遂に主人公が知り、それでも愛する彼女のために懸命に誠意を見せようと奔走する、ここまでの流れには特段の工夫も驚きも感動もなく、先が見え見えの展開に観客は「またつまらぬものを観てしまった」と後悔の気持ちでいっぱいになるのだが、最後の最後に用意されているブッ飛んだ展開には、開いた口が塞がらない衝撃を受けてしまうから侮れない。

この段で遂に、彼女の様々な奇行と大ボラの、それまでに明かされた"表と裏"を別次元に跳び越える、嘘と真実の境界が取っ払われて渾然一体となった世界へ突入し、"独自の工夫"と呼んで差し支えない面白さが生まれ、尚且つ、子供時代の印象的なシチュエーションであった、「この線から先に来ちゃダメ」までもここで蘇り、ちょっとした感動を生んでいる。

終盤のこの場面に関しては、"ヘンな映画好き"なら一見の価値はあるかもしれないが、それまでに至る長いドラマがあまりに退屈すぎるため、全体としての評価は低くせざるを得ない。かと言って最後だけ見ればいいというわけでもなく、やはり通して観るからこその最後の衝撃となるのだ。困った事に。

途中のドラマ部でも、彼女が消えない様に足をヒモで縛るなど、ところどころには「わかるわかる」とほのぼの出来る部分もあるのだがホンの一部に過ぎず、最初の出会いを文字通り物理的な"すれ違い"に設定し、次の出会いもそれと似たシチュエーションを繰り返しながら、それをこの2回だけに終わらせてしまうなど、仕掛けの徹底の無さの方が気になり、やはり評価は低くなってしまう。

終盤の展開のせいで「鑑賞の必要なし」とは言い難いのだが、わざわざ劇場で観る価値はまずないだろう。興味があればレンタルで。


tsubuanco at 16:41│Comments(2)TrackBack(3)clip!映画 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. mini review 07051「とかげの可愛い嘘」★★★★★☆☆☆☆☆  [ サーカスな日々 ]   2007年05月20日 17:13
カテゴリ : ラブ・ストーリー 製作年 : 2006年 製作国 : 韓国 時間 : 117分 公開日 : 2006-12-16〜2007-01-19 監督 : カン・ジウン 出演 : カン・ヘジョン チョ・スンウ いつもポケットにとかげを入れた黄色いレインコートを着て嘘ばかりつい...
2. 映画『とかげの可愛い嘘』  [ 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり?? ]   2008年03月09日 01:49
原題:Love Phobia 空港ビルのイエローライン、駅のホームの黄色い線・・黄色のレインコートを着ていた彼女を思い出す、可愛いけれどもとても悲しい嘘をつく、初恋の物語・・ 交通事故で両親を亡くした少女アリ(ビョン・ジョヨン)は、自らの手術の際に輸血からエ...
3. 『とかげの可愛い嘘』(2006年) ★★★☆☆  [ どっぷりレビュー ]   2008年03月09日 17:34
実生活でも恋人同士だった主人公たちが最近別れた、と言う予備知識はありました。話題性によって味付けされた作品は、それが意味を持たなくなると作品まで色あせてしまいがちです。今となっては本人たちも冷静に観られないのでは?と、余計なことを考えてしまいます。----...

この記事へのコメント

1. Posted by kimion20002000   2007年05月20日 19:57
>自分勝手なバカ女"としか映らないのだ。

そうですね、別に美人でもないですしね(笑)ひどい女に見えますね。

でも、やっぱり・・・。
2. Posted by つぶあんこ   2007年05月21日 17:51
小学校の頃に可愛かった子と、大人になってから再会してガッカリする事はよくありますよね。逆もありますが。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Comments