2007年04月27日

情痴 アヴァンチュール 25点(100点満点中)

あいつ、ときどきねぼけて夜中にさんぽするんだ。
公式サイト

短編映画で評価を受けていたサヴィエル・ジャノリ脚本・監督による二本目の長編作品。

ビデオライブラリーに勤務する主人公が、怯えた表情で夜の街を徘徊する女性を発見。興味を持って近づくうちに、彼女は夢遊病であると判明。悩める彼女に次第に惹かれていく主人公だが、彼にも恋人がおり、彼女にも愛人らしき男がいて…と、"情痴のもつれ"が展開するストーリー。

単なる色恋沙汰で済まされない様、夢遊病というファクターをインパクトの材料として用い、また、思わせぶりな"結果"を最初に見せておいて、そこからの回想として本編が始まりラストへ帰結する構成には、短編出身監督ならではの全体のまとまりにこだわる姿勢が見られ興味深い。

最初の映像と最後の映像が同一でありながらも、観客が受け止める、その映像が象徴している意味は異なるものとなる、これもまた時系列同様に円環構造を利用した手法。

そうした構造、構成が、ビデオライブラリー勤務である主人公の設定として利用され、劇中で主人公が観る、古典映画の映像や、入手したプライベートビデオの映像に映っているものが、その後の展開を示唆する役割となっている、擬似多重的に進行する事象を印象づけている。

のだが、これらの"ビデオ映像"が示唆しているものがあまりにも直接的でそのまんますぎ、意外性や驚き、ヒネリに欠けており、面白さに繋がっていないのは問題だ。

また、結果を曖昧な形で最初に見せている事が、いくつかの選択肢に分かれるとは言え、ある程度の予想がつく事にも結びつき、「これから一体どうなってしまうのか」と無限に可能性のある期待ではなく、「この中の誰がこの末路をたどるのか」という、限定された期待に閉じ込められてしまうのは、逆に面白さを削ぎ取ってはいないかとも感じる。

どんな条件で症状が発動するのか、悪化あるいは改善するのかといった情報が、少しずつ観客にのみわかっていく描写が重ねられていながら、その先にある結末に果たして繋がっているのかがわかりづらく、拍子抜け、オチが弱いとも思われる。

また、回想の語りを主人公の恋人に行わせ、最初に見せる"結末"も彼女視点で描いているにも拘らず、本編はほぼ全て主人公視点で描き、彼女は実際にはあまり本筋には関わらない、という構造には疑問を感じる。あるいは意図的にミスリードを狙ったのかもしれないが、どうにも中途半端だ。

何より問題なのは、夢遊病や自傷といった視覚的にインパクトのある素材に頼るあまり、本来の本筋であるはずの情痴のもつれが類型的な範疇を出ず、一つ先の展開が簡単に読めてしまうという、ストーリーが面白味に欠ける事だろう。

視覚的インパクトのある素材ながらも、それをより強調、印象づけるだけの映像的工夫が特にあるわけでもなく、別の意味で目を引くであろうセックスの描写もまた、特段の見どころとはなっていない。

題材は面白そうなのに、充分に活かしきれなかった残念作。タイトルに惹かれてエロエロを期待すると更にガッカリするので注意が必要だ。興味があればレンタルで。


tsubuanco at 16:16│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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