2007年05月04日

13/ザメッティ 59点(100点満点中)

担任「じゃあ好きな人とグループ組んでー」
公式サイト

金に困っている青年が、一攫千金の闇ゲームの存在を偶然知って参加する、というストーリーのフランス映画だが、日本人なら『カイジ』『アカギ』などの福本伸行の漫画を連想する人が多いのではないか。

が、その福本作品の楽しみどころである、"追いつめられた人間の心理"や"頂点から底辺へ叩き落とされる"などの面白さ、あるいはゲームに隠された意外な意味や本質、といった要素は特にない、独自の工夫があまり感じられない作品に終わっているのが残念。

中盤から始まる、命を賭けたゲームだが、プレイヤーよりむしろ、気合いの入りすぎた進行係の号令などのクドめの描写によって、観客の緊張感が高まりはするが、実際の勝負の趨勢がひたすら運まかせオンリーで、しかも同じ事の繰り返しだけというのは物足りない。

何より、主人公たる人物が最初からハッキリ確定しているので、この種の作品にありがちな、「誰が死んで死なないか」といった点に興味がいかず、安心感を与えてしまっているのは大問題だ。

と、思わせて『サイコ』の様な大ドンデンを見せてくれる作品もあるのだが、残念ながらこれは相当せず、ストレートに話が進んでしまうのでガッカリする。

自分に突きつけられた銃が撃たれるよりも先に撃ってしまえば、例え"当たり"でも死なずに済む、という、中盤で見せた展開が伏線となって、最後のタイマン勝負において、ヨーイドン前の駆け引きなどで相手の心理を誘導して引き金を引くタイミングを遅らせたり、銃を選び替えるシーンが伏線となって誤作動が勝負に影響を与えるなど、ちょっとした工夫やヒネリを持ち込んだだけで、同じ事の繰り返しよりも起伏が出来て、より様々な"心理"を楽しめ、観客も一喜一憂出来たのではないか。

心理や感情が見どころになるはずの映画において、それらを殊更に強調しないのも、フランス映画ならではで、モノクロの映像はその事を示す意図も含まれているのか、とも思わされ、確かに、カラーだと生々しさが前に出て却ってチープに見えてしまうかもしれない。

だがそれにしても、個々の人物の描写、心理の掘り下げがあまりに薄く、意外な事が特に起こらない展開には、肩透かしを喰らった気持ちになっても仕方ないだろう。

序盤のシーンで、家主がなぜあんなにヘロヘロなのか、全く説明がなく意味がわからないのだが、その事がゲームが進んでいってハッキリ理解出来る、そしてゲーム終了後の、主人公の動向がまた、序盤の家主のそれと一部ダブって見える、という流れや、行きの電車で出会った人物が物語に最後まで深く関わってくるなど、あるいは靴底を壊された事が終盤に再登場したりと、いくつかの点においては、構成の上手さを感じもする。

そうした大枠は上手く考えられており、狙いは確かに面白いのだから、もっと細かい部分まで脚本を練り込めば、更に楽しめる作品になっていたであろうから勿体ない。

サイコサスペンスが好きな人なら観ておいて損はないレベルではあるが、過剰な期待をするとガッカリするかもしれない。機会があれば一応。



tsubuanco at 17:09│Comments(0)TrackBack(2)clip!映画 

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