2007年05月10日

幽閉者 テロリスト 5点(100点満点中)

20歳までに左翼に傾倒しない者は情熱が足りない。20歳を過ぎても左翼に傾倒している者は知能が足りない。
公式サイト

かつて70年代まで左翼系映画を撮り続けていた映像作家だったが、自ら日本赤軍に参加してテロ活動に明け暮れ、ついに逮捕拘留されて日本へ送還された男、足立正生の35年ぶりの新作映画。

1972年にテルアビブ空港で起きた、3人の日本赤軍テロリストによる銃乱射事件と、その際にただ一人自決し損なって拘束された犯人、岡本公三が本作のモデルとなっている。

物語はその事件の再現映像の体裁で始まり、拘束後の獄中での尋問、拷問、監禁と、それを受けての主人公の内面描写が尺の9割方を占める構成となっており、理想に殉ずる筈だった自由の闘士が、不当な暴力によって壊されていく様を真正面から描いている…のだろうが、どうにも受け入れ難い内容である。

意図的に安っぽくチープな作りのセット内で物語が進むのは、舞台を抽象化する事で主人公とその精神をも抽象化し、単に過去の事件の再現ではなく、現代社会に生きる我々一般人にも通ずる、自由を求めて戦う権利を有している筈にの人間が、欺瞞に満ちた価値観と暴力によって歪められ飼い慣らされ、実際には牢獄に囚われているのと変わらないのだ、という主張を表現していると推測されるが、ハッキリ言って大きなお世話である

本作、その描写も展開も、自虐的、自嘲的な表現を用いて、自己愛に満ちたセンチメンタリズムやナルシシズム、ヒロイズムに酔いしれる、典型的な新左翼による負け犬の遠吠えであり、こんな主張に共感するのは、当時の思い出を後生大事に抱きかかえている連中くらいなもので、負け犬が作った映画を負け犬が観て喜ぶ、負け犬が傷を舐めあっているだけの、どうしようもないマスターベーション映画に過ぎない。

コソコソ逃げ隠れして人に迷惑をかけまくって何が正義か自由か。自分達の組織をまとめる事も出来ず内ゲバに明け暮れている奴等に、世界同時革命など達成できてたまるか。と、幼稚園児でもツッコんでしまう大ボケぶりを、恥ずかしいとも思わないのが恥ずかしすぎる。大体、自爆に失敗したのなら別の方法でさっさと死ねと。どの面下げていまだにオメオメと生きていやがるのか。

抽象的表現を用いて、現実と記憶と狂気の狭間を曖昧とし、反体制の終焉を描いて自己愛に浸る手法にしても、押井守の『紅い眼鏡』など、娯楽作としても、観念的な面でも、完成度の高いものは既に存在しており、何を今更である。

主演の田口トモロヲの狂人演技は見ごたえがあり、重信房子をモデルとしているらしき人物を荻野目慶子が演じているという、美化にも程がある失笑もののキャスティングなど、楽しめる部分はあるのだが、それはこの映画の本意ではないだろう。

イラク三馬鹿に共感や同情を覚えるタイプの稀有な人種なら感動できるかもしれないが、ごく普通の人が観たら途中で寝るか席を立つ事は間違いない。自己判断で。



tsubuanco at 17:36│Comments(4)TrackBack(0)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by サトシング   2007年05月29日 23:46
3 もちろん彼らには共感や同情は覚えませんが、今でもまだあのイラクの人質事件を出す執拗さにびっくりしました。
2. Posted by つぶあんこ   2007年05月29日 23:52
誰でも知ってる例としてちょうどいいかなあと。他に適当なのあります?
「今度の参院選で社民党に投票する人」とかの方がいいですかね。
3. Posted by 京野四郎   2007年06月01日 09:54
 「我々はあしたのジョーである」
という台詞に触れるにつれ
 
 どっちかといえば日本赤軍って『空手バカ一代』的世界だよなぁ。
「我々は大山倍達である」
って言ったら面白かったのにと思わずにいられません。

「ゲバ棒&メット姿のなんとこっけいなことか!!」
「それにつけても女子の肌が恋しい!!
こんなときは資本論を読もう!!」
「こんなものは革命ではないただのダンスだ!!」
「日本赤軍では実際に仲間を総括できるから大好きであります!!」


4. Posted by つぶあんこ   2007年06月04日 14:35
梶原一騎は『虹をよぶ拳』で左翼学生運動をストレートに批判してますからね。

そんな作者の作品に自己投影して自己陶酔してる時点で失笑モノなんですよね。アイツらは。

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