2007年06月21日

ラストラブ 24点(100点満点中)

「ギャオーって啼くからギャオスだよぅ」
公式サイト

団塊世代の男性(田村正和)と20代後半の女性(伊東美咲)の恋愛を描いた、ケータイ作家yoshiの『last love』を映画化。

Yoshiの作品は、文章はともかくとして、類型的な題材で底の浅いキャラクターと展開ながらも、即物的に興味を引いて面白さを感じさせる事は間違いない筈なのだが、この映画版、ダメな部分だけが増幅され、マトモな面白さはほとんどないが全編通してツッコミどころが目白押しで逆に面白い作品となってしまっている。

そもそもの原作にも問題はあるとは言え、これは監督よりも脚本家やプロデューサーの理解やセンスによるものが大きいと思われ、会社的にはそれなりに力を入れているであろう本作が、どうしてこんな有様になったのかが疑問だ。

基本的に登場人物は偶然だけで何度も出会い、ストーリーは伏線いっさい無しの急展開ばかりで進められ、最後だけが予定調和なため尻すぼみに終わってしまう、これで感動しろという方が無理だ。

人物設定はことごとく表層的なものばかりで、生きた人間としての深みが全く無い。なぜサックスなのか、なぜ役人なのか、、意味が全く無い。

二人に絡む人物達も、通り一遍の言動に終始し、三角関係を盛り上げたり、自分のやりたい事と恋愛と親子愛の狭間で苦しんだり、といった人間関係が一切描かれず、ただただ主人公に都合のいい様に全員が動き、作り手に都合のいい様にストーリーが進んでいくのみである。

ヒロインのキャラクターを説明するための描写として、相談に来た住人を高圧的に追い返す場面があるが、そんな税金ドロボウの糞役人でしかない顛末を見せられても、どう考えても好感度が下がるだけではないか。何を考えているのか。

ヒロインの後輩の男が何か言う度に、うっかり八兵衛のごときオーバーアクションを見せるのは何の意図があるのか、まさかアレが普通の演出とは思っているわけがない筈だ。といって普通にコミカルな演出ですらない、ただ違和感があるだけだ。何なんだ。

ユンソナはなぜ片言なのか、なぜタメ口なのか、出稼ぎアジアン風俗嬢にしか見えないキャラクターを、何のために出したのかすらわからない。

森迫永依演じる娘は、彼女が持つ存在感と表現力によって突出した存在として強い印象を与えているが、物語的にはどう考えても物わかりが良すぎて、生きた子供と感じられない。そもそも田村正和の年齢から考えて無理がありすぎるだろう。これでは本筋の"歳の差恋愛"が霞んでしまうではないか。

第一、既に出オチ的存在と化している田村正和に、シリアスな感動恋愛ドラマを演じさせる事からして無理がある。もはや障害一歩手前の独特すぎる喋り方で何か発する度に笑えて仕方ない。

特に、かすれた声で喋るところでは、声量が足りていないのを無理に拾って増幅しているため、口がクチャクチャ鳴る音まで増幅されて気持ち悪く不快になる。

クライマックスとなる演奏シーンにおいて、主人公の演奏が始まったらすぐ、何故かその音を消して別のBGMを流すという、意味不明な事をしでかして感動も何もあったものではない。どう考えても主人公の"最期の演奏"をしっかり聴かせる方が感動出来るに決まってるではないか。何のために音楽ネタを中心に話を引っ張って来たというのか。スタッフはキチガイかアホか

こんな内容では、ところどころにいい景色を活かした美しい映像などが挿入されていても、それどころではない。ここまでツッコミどころばかりだと、逆に狙ってやっているのではと勘繰ってしまう程だ。

伊東美咲は美しく撮れているし、森迫永依も可愛いので、出演者のファンなら一応要チェックではあるが、マトモな作品を期待しては決していけない。どんな超展開も笑って受け止められる、大きい心を持って臨まないと、楽しむ事は難しいだろう。自己責任で。


tsubuanco at 18:00│Comments(0)TrackBack(4)clip!

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★★★★★☆☆☆☆☆ http://www.lastlove.jp/ (ラスト
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拝啓、田村正和様。初めてテレビであなたのお姿を拝見したのは、『うちの子にかぎって…』だと思います。生徒に振り回されっぱなしのダメ教師役でした。『パパはニュースキャスター』では、愛情の“愛”と書いて『めぐみ』と読む3人の娘たちに振り回されっぱなしのパパ。凛....
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1 人気ブログランキングの順位は? 『俺の時間は過去だよ。君の時間は未来じゃないか。』 これが、最後の恋。

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