2007年05月30日

ダニエラという女 88点(100点満点中)

「インドという国は(中略)カレーばかり食べていて…」
公式サイト

1986年の映画『タキシード』などで知られるベルトラン・ブリエ監督によるフランス映画。タイトルロールの"ダニエラ"を演じるのは世界最高の美熟女と断言出来る、モニカ・ベルッチなんと40歳である。

このモニカ・ベルッチがとにかくエロエロで美しすぎる事が、何より本作の大きな見どころである事は間違いない。欠点の全く見当たらない顔立ち、豊満という言葉がまさにピッタリなド迫力の肉体美、それを惜しげなく脱いで濡れ場まで披露する大サービスぶり、と、彼女が画面に映っている間は一瞬たりとも目が離せない事受け合いだ。

そんな彼女が娼婦を演じ、一人の孤独な中年男性に買われるところから始まる物語、映像や演出の雰囲気からしても、予告編の構成からしても、魔性の女に翻弄されるダメ男の悲喜劇を哀愁たっぷりに描いたロマンス映画、との印象をまず受けるのだが、いや、それは確かに間違ってはいないのだが、実際には本作、そうした雰囲気を下地とした上で確信的に、シュール且つ観念的なコメディとして作られている事に始まって間もなく気づかされ、かなり驚かされる事となる。

これが、台詞のやり取りやアクションで笑わせる様なベタなコメディではないため、当初は本当にここで笑っていいものかどうか戸惑ってしまうくらいに、ベースとなる映像や演出がしっかりしている、このギャップが段々面白さを増幅し始めるのだ。

あくまでも見せ方でおかしさを醸し出す、そんな作りが徹底している本作、現実世界の通常映像は、昼も夜も陰を強調しトーンを落とした暗い映像で通し、主人公の脳内ビジョンに切り替わると、ハッキリクッキリと一転して光に満ちたものとなる。これによって理想と現実、妄想と現状、のギャップをよりわかりやすく強調して、現実へ立ち返った時の落胆あるいは安心との緩急を持たせている。まずこの、わかりやすい手法によって、この映画がコメディである事を端的に理解させる意図もあるのだろう。

画面手前で起こっている事と画面奥にピンボケで見えているものとの落差によりおかしさを生み出す、という手法も繰り返し使われている。

必死で救急車を呼ぶ主人公の後ろでゲロを吐き続けるダニエラ、という画面がまずそれに当たる。ここに至るまでの流れで、「こんな女と一緒にいたら死ぬぞ」と言っていた本人が死ぬ、という自爆ギャグでまず笑わせ、更にゲロの連発で畳み掛ける、それを過剰な演出とはせずにさりげなく背景として見せる、この一連の構成、仕掛けの上手さは絶妙だ。

去ってゆくダニエラを見る主人公の背後で隣人が手ぐすね引いているカットであったり、ベッドルームで絡み合うダニエラとボスの後ろにボディガードが座って本を読んでいたりと、同様の手法によって観客の笑いを誘うと同時に状況説明や今後の示唆まで行ってしまう、こうしたやり口が随所に配置されている事で、最後まで飽きずに楽しむ事が出来る。

もちろん笑いだけでなく、本筋のストーリーや人物のキャラクター立ても丁寧に行われており、だからこそ安心して笑いながら観る事が出来る事は言うまでもない。

ダニエラは一体何を考えて行動しているのか、といった心理劇、ダニエラと主人公に絡む三角四角関係の推移を見せるラブコメ的ドラマ、など、二転三転しどうなっていくのか、興味を引き続けられるストーリー構成はよく考えられている。特に医者と隣人のキャラは面白すぎる。

シリアスなラブロマンス、を期待するとビックリするだろうが、そのギャップをも柔軟に楽しめる人なら大いに独自の世界を堪能出来る筈だ。エロ目当てでなくとも、機会があれば是非。もちろんエロ目的であっても不満は出ないだろう。


tsubuanco at 16:07│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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