2007年06月12日

ダフト・パンク エレクトロマ 18点(100点満点中)

はやく人間になりたい!
公式サイト

フランス出身のテクノユニット、ダフト・パンク主催、主演による仮面劇ロードムービー。

ダフト・パンクといえば、日本では松本零士がPVやジャケットのデザインを手がけた事で有名な、ポップアートの皮を被ったオタクコスプレユニットとして知られる存在だが、本作、スタイリッシュなポップアート映画の表層を装いながら、その実は、アートはおろかオタクと呼ぶのすら憚られる、底の浅い模倣や剽窃の羅列でしかない。

二人のコスチュームは普段と同様だが、これ自体がスターウォーズどころか宇宙空母ギャラクティカあたりの模倣に過ぎないし、その内容も、極めてありがちな青臭い自分探しストーリーを高尚的に見せかけたものに過ぎない。

映像や構成においては、『2001年宇宙の旅』『イージーライダー』あるいはガス・ヴァン・サント監督『ジェリー』などの模倣に終始し、上っ面のカッコ良さを整えておいて唐突に女性の股間をイメージさせる映像を大きくグロテスクに映し出したりと、底の浅い狙いが透けて見える作りは極めて退屈。

前半に登場する施設内の映像は、シルエットを黒ではなく白に反転させ、シンメトリックを意識した構図がCDのジャケットぽくて少し面白いと思ったが、それも一発ネタなのにダラダラと長く映しすぎて飽きる。

主人公達が施術を受けて"人間"になるあたりの展開は、その異様なビジュアルによって笑いを起こさせはするが、行われている事は極めて類型的で、テーマとしてあまりに底が浅い

作中世界に本物の人間を全く登場させないという狙いはいいとして、だがそれならそれで、この世界における人間とはどんな存在なのかを、ある程度推し量れる様にしておかない事には、主人公達がなった"人間"が、"民衆"にとってどの程度異様なものかがわからないではないか。だから"戸惑い"も"迫害"も何ら真に迫るものが無いのだ。

そうした世界の作り込みが甘く、見える部分しか存在しない"映画のために作られた世界"である事が一目瞭然なため、いくら広大な風景を延々映そうが、それが"世界観"として観客に伝わって来ない。

結局、理論も感性もともに"本質"を捉えていない、ひたすらに上滑りに終始する本作が退屈な事は必然であり、それは例えセリフがあろうが音楽が激しかろうが、そんな表層的なギミックで補われるものではない。基盤が存在しないのだから。

ダフト・パンクの熱狂的ファン、というのが日本にどれくらい存在するのかは知らないが、そうでもないと観賞に堪える作品ではない。松本零士デザインのPVの方がまだ楽しめるか。短いし。

日本にも、芸術家でもオタクでもなく単なる商売人でしかない村上隆の様な恥ずかしい俗物が存在するが、どこの国にも似た様な人間はいるものだと再認識させられる。



tsubuanco at 13:59│Comments(0)TrackBack(0)clip!映画 

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