2007年07月19日

ルネッサンス 47点(100点満点中)

情熱 僕のこの手は
公式サイト

白と黒のみの極端なモノクローム映像で全編が作られている、フランス主導製作によるフルCGアニメーション映画。台詞が英語なのはイギリス資本が絡んでいる事と、世界市場をターゲットにしているからか。

本作最大の特徴は言うまでもなく、その全編通してのモノクロ映像であり、モーションキャプチャー技術を駆使した、CGのキャラクターの動きだろう。

モノクロアニメという形態がとられた事は、カラーで製作すると数倍の予算と手間がかかるという現実的な要因もあるが、それとは別に、日本の漫画は白黒が普通だが欧米のコミックはカラーが主流であり、敢えてB/Wで描かれる場合、その意味を活かした描画、演出を用いて描かれるのが当然となっている。日本語版も刊行された『シン・シティ』『バットマン Black & White』などを読めば良くわかる筈だ。

本作もまた、B/Wである意味を活用し、光の当たる面を白、影を黒と明確に二分した、藤子不二雄Aのブラック作品で決めどころに使われる、写真を加工したコマを髣髴とさせる漫画的描法で見せられるキャラクター、映像は、実写的な画作りを行いながらもタッチとしては漫画であるとの主張が見て取れ、それが本作の映像を単なる"リアルなCG"と一線を画させる結果となっている。

二次元デザイン的に見えるキャラクターが立体的な動きをする意外性が、本作のアニメーションとしての最大の狙いであり、本物の動きをなぞりながら却ってぎこちなく見えてしまいがちなモーションキャプチャーを選択した理由はその一点にあるのだろう。

そうして白と黒により光と影を表現した映像において、特に強く印象に残るのは"透明"を様々に描いてみせる、その手法の多彩さである。

まず最初に、近未来世界である舞台設定を表現するための一手段としてホログラムを登場させ、その"半透明"の表現をまず見せておいて、その後に光学迷彩、ガラスの床(天井)と、より透明な事物を、舞台装置あるいは演出手段として随所に配置し、その透明表現を白と黒のみで行う面白さは感じられる。

後半に見せられる、蒸気の噴出する中を闊歩する光学迷彩の映像などは、その集大成とも言うべき視覚的見せ場だろう。暗闇と暗視スコープと監視カメラを用いた場面展開の見せ方なども同様。

が、俯瞰で街の全景を見せて、そのままカメラを地上までゆっくり降ろして少しずつ画面を狭めていく序盤の長回しカットに見られる様に、実写だと大変な撮影もCGやアニメだと比較的容易に行える事は強みではあるが、全体的な方向性が実写寄りなため、画面構成もカット割りもアニメならではの表現という観点に乏しいのが困りもので、面白味は損なわれがちである。

また、内容的にも、フィルム・ノワールとしても近未来SFとしても驚きの無い凡庸なストーリー、記号の範疇を出ないキャラクター、使い古された舞台設定、稚拙な二元論でしかない押し付けがましいテーマと、ハード面である映像を作る事に力を傾けすぎたあまりか、ソフト面である物語には興味を惹かれるものがほとんど無い、というのも、目的と手段が入れ替わった失敗例として、『ファイナルファンタジー』に倣ってしまっているかの様な残念さを感ぜざるを得ない。

表現手法である"光と闇"と、物語テーマである"生と死"をシンクロさせる狙いはよくわかるが、それだけでは寂しい。やはり今敢えて作るだけの、新しい概念、作劇を見せてほしかったものだ。

斬新、というほどのものでもないが、面白い映像表現に挑戦しようという気概は感じられる本作、アニメーション好きならとりあえず要チェックだが、そうでないなら特に無理して観なくてもいいだろう。興味があれば。



tsubuanco at 20:57│Comments(3)TrackBack(1)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 懐かしい   2007年08月19日 19:53
ミスター味っ子の歌ですかw
2. Posted by むほ   2007年08月20日 16:04
キャラが見分けにくかった。
3. Posted by つぶあんこ   2007年08月20日 17:42
実写でも、知らない人が出てる洋画はキャラの区別つきにくいですから。

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