2007年08月18日

呪怨 パンデミック 78点(100点満点中)

伽倻子 vs バフィー
公式サイト

近代和製ホラー映画において中田秀夫と並ぶツートップたる清水崇監督による、『呪怨』シリーズのハリウッドリメイク第二弾。前作『THE JUON/呪怨』は『劇場版 呪怨1』のストーリーを主軸とし、ビデオ版1、2及び劇場版2からシチュエーションをピックアップして再構成した内容だったが、今回は前作からストーリーとキャラクターを引き継ぎ、続編としてメインストーリーが新規で綴られており、単なる焼き直しではなくなっているのが嬉しい。

と言っても、日本版4作からシチュエーションを様々にピックアップしているのは前作と変わらずだが、その流用にしても、ベッドと布団に絡んで伽倻子が出現するシチュエーションにおいて、最初は元ネタと同じ様に始めておいて、最終的には違うところから伽倻子を出現させて観客を驚かせるなど、日本版を鑑賞済みである観客にも「またこれか」とは思わせない気配りがところどころに感じられ、既視感の強すぎた前作よりも"新作映画"を観ている感覚は大いに味わえる筈だ。

当初はどんなつながりがあるのか、時系列の順序すらわからないバラバラのストーリーが、少しずつ正体を見せだしてクライマックスで一つにまとまり、気持ちよさと絶望感に同時に襲われる物語構成はシリーズ通して変わらず。今回の脚本はアメリカサイドから出されたものだが、清水崇もかなりの意見を出して変えさせたらしく、アメリカ資本で日本人感覚のホラーを作る姿勢は保たれており、清水崇の作家性も損なわれていないのが有難い。

ただ、前作主人公だったカレン(サラ・ミシェル・ゲラー)の妹オーブリー(アンバー・タンブリン)が、姉と自分を襲った呪いの謎解きのために伽倻子のルーツを探る、なるメインストーリーは、明らかに『リング』を彷彿とさせるもので面白味や意外性に欠けるものだ。

また、日本語が全く不自由なアメリカ人が一人で山奥の過疎村まで辿り着くのは不自然だし、オマケにそこで出会った老婆が流暢な英語で謎を説明しはじめるに至っては違和感が大きすぎる。が、本作は欧米向け作品であり、これは日本人だけが感じる事であり仕方ないし、日本だって南方の土人が日本語で話す様な映画を作っているのだから、あまり文句も言えないだろう。

極力姿を見せない、あるいは見せても直接的な攻撃をしない、日本古来の幽霊表現とは真逆に、堂々と登場して襲いかかってくるのが伽倻子の魅力であるが、今回もそれは健在、紙一重を突破してしまいそうな狂的な出現描写の数々は、ファンならずともゾクゾク感を存分に味わえる事は必至。

現像室に吊り下げられた写真が全て伽倻子になっているあたりは、それに気づいた瞬間に唸らされるものだし、終盤クライマックスにおいて、伽倻子の得意フィールドである階段を意味ありげに映しておきながら、そこからは何も出さず、出てくるわけがないところから出現させて登場人物も観客も驚かせる、といった凝った仕掛けは、やはり清水崇のセンスの確かさを伺わせるものだ。

これまでの様な、後味の悪さや不安感といったレベルではなく、完全な絶望で締める今回の終わり方は潔く気持ちいい。ついに自身が渡米を果たしてしまった伽初鮪qの呪いがどこまで行き着くのか、既に製作が進行している三作目にも期待は高まる。

ホラー好きなら誰も勧めなくても観るだろうが、シリーズ未見の人は少なくとも前作『JUON/呪怨』を観てからの方が、意味がわかりやすくなるだろう。日本版を、ビデオ1 → ビデオ2 → 劇場版1 → 劇場版2の順番で観てからの方が、ネタ元に気づけて更に楽しめるので可能ならばそっちも。


余談:
ビッチ女子高生役で出演していたAAAの宇野実彩子だが、明らかに普段より今回の方が可愛く見える。やはり日本人は黒髪に限る

彼女の相方役の金髪女子高生ヴァネッサ(テレサ・パルマー)は、脱ぎはしないものの直接的なエロではなくシャワーシーンでの腋の下強調や直後の失禁などで、フェティシズム的エロス表現でのサービスが多く、こうしたあたりにも清水崇のコダワリが感じられ頼もしい。(更衣室シーンの横移動ショットは、明らかにデ・パルマの『キャリー』を意識したものだろう)

個人的に大好きだった女子高生ゾンビネタを流用してくれたのもポイント高し。


tsubuanco at 16:14│Comments(2)TrackBack(9)clip!映画 

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監督、清水崇。脚本、スティヴン=サスコ。2006年米。原題、『THE GRUDG
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呪怨 パンデミック ディレクターズカット・スペシャル・エディション ¥3,776 Amazon.co.jp (2006) 出演 サラ・ミシェル・ゲラー (カレン/THE JUONの主人公)     アンバー・タンブリン (オーブリー/カレンの妹)     アリエル・...

この記事へのコメント

1. Posted by Qta   2007年08月20日 19:37
冷静に評価できてる所を見ると
字幕で観賞できたんだろうと思う…

此方では吹替えでしか上映が無かったのと、吹替えもそれはそれで好きなので
さして特別な感情もなく観たのだが…

正気を保って観れるもんじゃなかった。
何度帰ろうと思ったことか

「あ、このシーン面白いカモ」
と思いつつも声が…
字幕なら別人なんだろうと思いつつも…

吹替えもそれはそれで好きなんだが、
ここまで声優の影響を受けた映画は初めてだ
なにゆえ吹替えでしか上映の無い劇場が多いのか?
甚だ疑問である…
2. Posted by つぶあんこ   2007年08月21日 17:50
自分の行った劇場は幸いにして字幕版だけでしたけど、吹替版は大変な事になってるらしいですね。
集客にプラスどころか、どう考えてもマイナスにしかならないキャスティングを見るに、本当に日本の配給会社にはアホしかいない模様です。

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