2007年08月16日

イタリア的、恋愛マニュアル 63点(100点満点中)

「すごい…親父が熱中するわけだ」
公式サイト

コメディ映画『踊れトスカーナ!』の脚本で知られるジョヴァンニ・ヴェロネージの、初監督作品。

四章仕立てで構成される、オムニバス・コメディ映画として作られている本作、それぞれが単独の恋愛物語ながら、同一世界、時間軸で起こった出来事として、各エピソードの終わり頃に次の主人公が登場して物語に絡んだ上で、1エピソードを完結させ、そのまま視点を交代させて次章へと進む、と、連続性を持たせた形態となっているのが特徴。

最終エピソードにおいて最初のエピソードと奇麗に繋がる事で、この連続性が意味を持ち、作品世界を完成させ完結させており、これによって全体の完成度を高く感じさせ、観賞後のスッキリ感を後押しする効果となっている。

基本的に、1話目と4話目は男性側、2話目と3話目は女性側を中心として描かれるが、それぞれのパートナー側の視点、心情も忘れずに描写しておく事で、片方にとってのみ都合のいい話、とは極力ならない様されている心配りが憎い。

双方の視点を行き来し、それぞれの心情を交互に見せる事で、なかなか上手くいかない様子をより的確に観客に伝え、その対比や近似、ギャップなどで笑いを生みつつドラマを進行させる、やはり脚本家だけに、効果的な物語の組み立ては手慣れたものだ。

若い男女の話は1話目だけで、それ以降は中年、熟年カップルにおける愛と苦悩を描いているため、あまり若くない層が対象であるかと思われがちだが、若い層が見て自身の想像する将来像と重ね合わせ、その差異におかしさを見出す事も出来、広く大衆が楽しめるものとなっているのは、娯楽性を重視する監督の意図だろうか。

登場人物がいきなりカメラ目線で観客に語りかける手法は、物語の抽象性を強調して普遍性を感じさせると同時に、作品世界と観客の距離感を近づける役割を果たしている。失敗すると却って引いてしまい逆効果になるところを、使いどころをわきまえてバランスよく配置しており抜かりが無い。

だが、いくら抽象、普遍、あるいはコメディと言っても、あまりに恣意的、誘導的なストーリー展開とキャラクター描写は安易に感じ、これといった目新しい驚きを感じられない事も確かであり、観ている間は飽きる事なくクスリと笑えて楽しめる、娯楽性は高いものの、物足りなさを感じてしまうのも事実だ。

それは、短い時間に愛と苦悩と笑いを詰め込み、しかも"いい話"っぽく完結させないといけない駆け足感が、その拙速さにより強引なハッピーエンドとの印象を強めてしまっているせいでもある。

やはり時間がないため、恋愛ものに必須な、人物内面描写とその心理の変遷を描ききれておらず、そのせいでに進行する事象に対し、感情移入を阻まれてしまいがちとなるのだろう。

とはいえ、深く考えずに観る分には支障無く、お手軽な娯楽映画としては良くしたものだ。人によっては自分に当てはまる様な事例も見受けられるだろうし、その場合にはより楽しめるに違いない。タイトルから連想される様な、恋愛の定石や必勝法を学べるわけではないが、興味があれば観て損はしない筈。


蛇足:
イタリアンコメディを観る度に思うが、男性の早口すぎる喋り方は生理的に受け付け難い。英語と違って何を言っているのか全くわからないせいでもあるのだろうが。


tsubuanco at 17:38│Comments(0)TrackBack(4)clip!映画 

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