2007年09月12日

キャンディ 35点(100点満点中)

果てなく与え 永遠に奪う事
公式サイト

愛の名のもとに堕ちていく若い男女を描いたオーストラリア映画。60年代の同タイトルコメディ映画とは特に関係ないが、セックスとドラッグに溺れる若者を描いている共通項は見受けられる。タイトルの持つ響きがそうした題材に誘うのか、あるいは意図的に同じタイトルとされたのかは不明だが。

まず最初に"天国"とテロップが表示された時点で、後半は地獄へ墜ちるのだなと誰もが考えるだろうが案の定その通りで、自己責任による逃避によって堕落していくカップルに対し、共感なり同情なりは全く不可能な内容である。そもそも客観的には最初から地獄にしか見えない

ダメ男に関わったせいで女もダメにされていく、などと偏った見方は通用せず、男が最低のクズなのは当然として、そんな男を選んで自分を抑えられない女も同様にクズでしかない事は自明。

そんなクズ同士が傷を舐め合って自分だけは悪くないと言い訳と逃避に終始する様を延々と見せられる、不快極まりない時間だけがただただ続く仕様である。

まず冒頭に見せられる回転遊具のシーンにて、遊具の中からの視点と、それを外から見ている視点の双方を見せて、主観と客観の差異を表現している。これによって、遊具の中=当事者にとっては普通に見えているものが、外=客観的には歪んでしか見えない事と、中にいる者が遠心力に捕われる様を、執着に囚われる様に暗喩させている、作り手の意図するところは良くわかるが、それだけでもう充分なくらいだ。

恋愛や宗教は麻薬と同じで、周囲が何を言おうが、逆に言われる程に深みにハマっていくものであり、当人達がどうにかするしかない事は大人なら誰でも知っているのだから、そんな"当事者"の様子をひたすら見せられても、見ている側はどうしようもなく、長い時間をかける意義はあるのか疑問だ。

ヒロインのキャンディ(アビー・コーニッシュ)がかなりの美女(しかも美乳)である事が、余計に観客の「なんでこんな男と」なる煮え切らない感情を増幅させており、父親の「お前がどうなろうと知った事か」の台詞には大きく頷かされてしまう事となるのも、腹立たしい程に作り手の狙い通りなのだろう。

描かれているのは共依存に自己愛に逃避と、自らダメな道を選んでいる人間の典型オンパレードであり、ドラッグはそれを助長しているに過ぎず、ドラッグが悪なのではなく使う人間がクズなのだ、と、ドラッグと上手く共存して享楽的に生きていそうな人物によって伝えるのかと思いきや、この男もまた自己内の確執によるものか滅びの道を選んでしまうのは、あまりに恣意的すぎる。

ワルに憧れるバカ女が本当に悪いクズに引っかかって自滅して完全終了、ならまだ観客の溜飲も下がるのだろうが、何故か男側が責任を負わされて女は適当に立ち直っておしまい、とは、人をバカにしているにも程がある。これで愛の哀しさを描いたつもりなら、あまりに底が浅すぎる。これでは「バカに関わるとこうなるよ」と子供に見せて教育するための材料としても役立たずであり、誰にも何の得にもならないのではないか。

ヒロインの精神形成の要因に母親の人格的問題を用意しておいたり、流産で死んだ胎児などのショッキングな映像を"悲劇"として扱いながら、肝心の"脱却の苦しみ"はスルーして終わった後を描くなど、美化、正当化としか考えられない構成が目立ち、作り手もまた主人公達と同じ自己愛と自己陶酔のカタマリなのか、とすら邪推させられる程だ。

『プロヴァンスの贈り物』では半ケツ止まりだったアビー・コーニッシュが、形も色も上質な美乳と美乳首を披露してくれる点は大いに見どころだろうが、内容的には大いに不快にさせられる事を覚悟して臨む必要があるだろう。自己責任で。



tsubuanco at 17:18│Comments(4)TrackBack(7)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by アンゲロ   2007年10月09日 23:20
初めまして〜。毎度つぶあんこさんの批評文参考にさせてもらってます♪アビー目当てで観てみようかな…

ところで質問なんですが、自分は電話会社で働いてて映画に行く機会が最近ないんですが、つぶあんこさんはどうやってこんなにたくさんの映画を観ていらっしゃるんですか?ドラマも網羅しているようですし、時間の作り方を参考までに教えてもらっても良いですか?
2. Posted by つぶあんこ   2007年10月10日 17:21
寝なけりゃ何とかなるんじゃないですかね。
あとは携帯に振り回されないとか。
3. Posted by 通りがかり   2008年06月18日 12:30
映画タイトル一覧ですが、「2009豪」で問題ないんでしょうか。
4. Posted by つぶあんこ   2008年06月18日 17:11
2006年の間違いでした。
ご指摘ありがとうございます。
キャンディさんキレイっす。

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