2007年10月14日

私の小さなピアニスト 28点(100点満点中)

もしもーし! マッハピザでーす
公式サイト

ピアノ教師と教え子の天才少年の、ピアノを通しての心の交流を描いた感動映画…のつもりで作ったのだろうが、監督が本作が映画一作目だからか、凡百の韓国映画の例に漏れず低い志でルーチン製作されている一本でしかないからか、全てが中途半端で感動どころではない。

少年をまず最初は憎たらしい存在として描いているのは、徐々に天才としての凄さや子供としての可愛さなどを見せていって、ギャップによる効果を与える狙いだろうし、それが上手く展開していくなら問題ないのだが、この子のビジュアルがあまりにもブサイクで憎たらしい顔つきであまつさえ常に口が半開きでみっともなく、いつまでたっても鬱陶しいだけで可愛く感じられないのは致命的だ。

劇中での少年の行動も、憎たらしさしか感じない行動がずっと続くだけで、愛情に飢えた子供の不器用な感情の発露と言っても、道徳として問題がある事に何ら反省しないままでは感情移入出来るわけが無い。

実は可哀相な過去があったと後から説明するだけでは、単に取ってつけた言い訳としか感じられず、むしろ「可哀相な子供出しときゃ泣くだろ」との安易な考えが見え見えで、余計に不快になるだけだ。

この少年役、ピアニストとしての能力を優先してキャスティングしたそうだが、演奏は吹替えで構わないから何より見た目や演技力を優先させるべきだろう。本物より作り物の方が効果が出る場合が多い事は、映画を作っていればわかっている筈なのに、何故こんなキャスティングを通したのか首を傾げる。

ピアニストとして大成出来ずに挫折感とコンプレックスを抱えたまま街のピアノ教室の先生に落ち着いてしまった主人公と、悲惨な事故で親を失ったトラウマを抱えて殻に閉じこもる少年の、ともに内的問題を抱えた同士がピアノを通じて結びつき、心を通い合わせていく、という展開にしたかったのだろうが、そのメインストーリーさえ中途半端なのだから困る。

主人公は子供の心の傷を人から教えられるまで気づかないし、子供は自分の欲望を爆発させてばかりで言えば通じる事すら最後まで話さないままと、互いに自分の願望を満たしたいだけで、相手の事は何も考えていないという、理解に至る前の段階がいつまでも続いて無駄にトラブルばかり起こさせ、その解消が、主人公は少年の祖母に真相を教えられてやっと気づくというお手軽さで、少年は主人公の思いを察して自ら離れるといった描写も無い。

音楽が共通言語、言葉は要らない、といった方向性にするでも無く、結局は言葉で話さなければ何も通じないのでは、ドラマとして成立していないではないか。互いの理解を描けていないままでは、時間を飛ばして大人になってからの言葉に説得力が生まれず、感動のラストシーンに成り得ていないのだ。

少年のトラウマも、思わせぶりに引っ張った割に、コンテストでトラブルを起こさせるためだけの障害にしかなっておらず結局解消されないままではハッピーエンドになる筈がない。そのトラブルも何の伏線も無く唐突に起こってあざとさを感じるだけで、観ている側の気持ちは少しも盛り上がらないどころか萎える一方だ。

母親の誕生日パーティーで母親自ら場をぶち壊したりなど主人公の家族問題や、主人公のコンプレックスの源である、ピアニストとして成功した友人との関係にしても、確執や自省、克服が全くなく、やはりそうさせたいために無理からそうしている範疇から先へ進まない展開があまりに多すぎ、しかもどれもが中途半端に放り出しているのでは、物語として散漫に過ぎる。

主人公に想いをよせるピザ屋絡みのコメディ描写は、お約束ながら気軽に楽しめるべく作られているが、それにしても、主人公へ向けられる少年の思慕に対する障害としての位置づけにも関わらず、その描き方が半端であり、「先生と二人で話があるから」と言われて少年が大人しく引き下がるなど、ここでも説得力のない進行優先の展開が続出しては、脚本レベルが低すぎると言わざるを得ない。

ピアノを題材とした映画として重要となる音楽の扱いにしても、ラストの演奏シーンでどう見てもピアノソロで後ろのオーケストラは休んでいる映像なのに、聞こえる音楽はフルオーケストラだったりと、クライマックスに際して何を考えているのか完全に不明である。

と、ストーリーを楽しんで感動する事は不可能な作品なのだが、主人公のピアノ教師を演じるオム・ジョンファの、意図的に巨乳を強調したエロいビジュアルを鑑賞する面においては問題なく、視覚的には飽きる事はないだろう。無理して観る程の作品でない事は変わらないが。自己責任で。



tsubuanco at 15:10│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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