2007年11月12日

やじきた道中 てれすこ 1点(100点満点中)

画面はビスタサイズ
公式サイト

十返舎一九の『東海道中膝栗毛』をベースとした、時代劇ロードムービー。

弥次喜多道中の定番ネタで、中村勘三郎と柄本明の演技派で、のほほんとクスリと笑わされる、そんな映画になるだろうと、観る前は誰もが思っていた筈が、その予想はアッサリ裏切られるどころか、全編通して笑いどころすらに困ってしまう事となる。

例えば劇中劇として見せられる、仮名手本忠臣蔵の舞台上で、塩冶判官が裾を踏んで転んで高師直を刺してしまった。それが面白い事はわかるが、あくまでもクスリニヤリとする程度の事であって、その程度でやたら長々と大騒ぎされては、画面内と観客の距離は広がるばかりで醒めるばかり、わずかながらの面白い気持ちすら消し飛んでしまう。

そこに限らず、画面内で行われているアクション、リアクションの有りようと、観客の反応とのギャップがあまりに大きいため、本来楽しめる筈のネタでさえ少しも楽しめず、却って寒いばかりとなってしまうのだ。

やたらとオーバーアクション、オーバーリアクションをさせる割に、各々の動作のテンポがやたらと遅くダラダラしており間も悪く、寒さを強調する結果に繋がっている。特に柄本明の顔芸の寒さは見ていて可哀想になってくる程だ。

また、原典やその他小咄などからネタを盛り込んでいるが、それぞれのエピソードがブツ切れでまとまりがなく、ロードムービーとして主人公達の心情変遷に何らフィードバックされていない事が、物語構成上での問題となる。

喜多八の酒癖の悪さが、一場面限りのドタバタネタにしか用いられず、あまつさえただ騒いでいるだけでは何も面白くない。
狸が化けたサイコロが、下から覗いて針で突かれたのにバレずに博打に勝って終わりに至っては、場面としても成立していないではないか。そんな展開ばかりでどう楽しめというのか。

メインタイトルになっている"てれすこ"のエピソードに至っては、ほぼ本編と関連がなく無関係に平行して進み、大阪で起こった騒動の顛末が、やじきたの道中に影響を与えるでもなく、やじきたがその顛末を知って何かするわけでも何か思うわけでもなく、ただ最後にてれすこを食べるのみでは、物語構成も何もあったものではない。

大坂でてれすこの事件が起こり、喜多八が上方で芝居修行をしようと旅立ったのだから、大坂に一行が着いてクライマックスの事件が起こるのかと誰もが予想するのに、到着すらせず途中で適当に終わっておしまいでは、そもそもてれすこをメインタイトルに持ってきた意味すら不明だ。

脚本の阿部照雄は、『私説・アルプスの少女ハイジその後』なる、これまた寒々しい事極まりない駄本の著者であり、本作もまた脚本レベルからどうしようもない事は決定づけられていた様だ。

劇場映画として視覚的な見どころとなりそうな、道中の景色はテレビ時代劇とさして変わらず、ストーリーも芝居も、真面目にやるでもなし、ふざけに徹するでもなし、何から何まで中途半端でいい加減な、ボケ老人から金をふんだくる事しか考えていない、志の低すぎる駄作。こんなものは作るのも観るのも金と時間の無駄遣いでしかない。存在自体が不快だ。



tsubuanco at 11:58│Comments(11)TrackBack(11)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by アンカー   2007年11月14日 00:37
1 確かにこの映画、そんな面白くないとは思いますが、批評が情緒的に過ぎます。客観性に欠ける気がします。
好みがでるのは仕方ありませんが、
批評とは映画を作る者や映画そのものに対する尊敬の念や愛があってこそ成立するものでは?

2. Posted by つぶあんこ   2007年11月14日 09:17
映画や面白い映画を作ろうと真剣に取り組んでいるクリエイターを尊敬しているからこそ、そうした気概が全く感じられない、こうしたクズを許せないのです。

ちなみに、尊敬も愛も「主観」ですよ。前半と後半で文意が矛盾してますね。
3. Posted by 有りマス・セン   2007年11月14日 11:10
5 ある程度落語を知ってて。
さらっと観るところが、江戸の通。
野暮と化物は箱根から先なんだよな〜♪
解説を5行以上書いてる時点で、野暮!
4. Posted by つぶあんこ   2007年11月14日 16:10
そんな事をわざわざ書き込む自身が野暮の極みとの自覚は無い様で(笑

あ、お礼は三行以上でお願いします。
5. Posted by RRD ◇3MranranlY   2007年11月14日 22:33
3 俺が見た回の客席では、金をふんだくられたボケ老人とやらは結構楽しんでたみたいです。
つぶあんこさんは単にこの映画にお呼びじゃなかっただけです。だから、猿股失敬、とでも書いて捨てておけばいいものをここまで書いちゃうから「このヤボテーン!」って言われちゃうんですよ。
6. Posted by つぶあんこ   2007年11月15日 09:05
匿名掲示板でコテハン名乗って自己主張に必死な、粋とは程遠い野暮天さんが何言ってはるんですか。ああみっともない。

こういう輩って例外なく何の根拠もなしに「自分だけは特別」と思い込んでるんですよね。
大人になれば「忘れたい恥ずかしい思い出」になりますよ。大人になる事が出来れば、ですけど(笑
7. Posted by どてちん   2007年11月15日 15:48
>>つぶあんこさん
毎日更新を楽しみにしており、
いつも興味深く読ませていただいてます。
これからも頑張ってください。
他人の主観にイチャモンつけておいて
粋だの野暮だの言ってるクレイジーな人には負けないでくださいね。
8. Posted by 力薬   2007年11月16日 15:51
平山秀之氏ってそこまでつまらない作品を撮るような人ではないと思ったのですが…ちょっと残念ですかね

「東海道中〜」ベースつながりではしりあがり寿原作、映画版はクドカンが監督の「真夜中の弥次さん喜多さん」は元ネタから飛躍しすぎていながら面白く感じましたが、こちらは駄目だったんですね…
9. Posted by ben   2007年11月17日 16:10
とりあえず映画を見て今回の評価に納得

ひどいね確かに
10. Posted by 貞子   2007年11月19日 01:04
1点はチョット…、て言うかカナリ可哀相ですよォ〜私は歌舞伎のコトは詳しく無いですが、勘三郎様の演技力には惚れましたよッ!
11. Posted by つぶあんこ   2007年11月19日 11:19
読売新聞に犬童一心が連載している映画評コラムでコレが採り上げられてましたけど、映画の内容にはほとんど触れず、中村勘三郎個人の人柄を褒めるだけで記事をほぼ埋めていたのが笑えました。
いつもは印象的なシーンや映像を解析評論しているのに、よっぽど困ったのかと。

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