2007年11月17日

SAW4/ソウ4 72点(100点満点中)

諸君らが愛してくれたジグソウは死んだ、何故だ!?
公式サイト

シチュエーションミステリーホラー映画シリーズの四作目。

ゲームに参加させられる者と、犯人を追う者、二つの流れが平行して進んでいき、最終的には一箇所に合致する、シリーズ共通の構成を踏襲した上で、当然の様に観客が認識している、続編としての時間軸を利用して観客をミスリードしておき、終盤に時間軸の位置づけをハッキリさせて「そういう事か」と驚かせるのは、2で用いられた、時間軸が前後するギミックを彷彿とさせるものだ。

2以降監督が同じ事から、コマ落としやフラッシュバック的な映像演出、および直接的にグロテスクな残酷映像を見せつけるやり口は変わらず。

冒頭で結構な時間を割いて見せられる死体解剖シーンなどは、特に直接的な描写に徹しているが、これが「これに耐えられない人は出てください」とのアナウンスの役割を果たしていると考えれば、前作よりも親切設計になっていると評すべきか。

シーン尻のカットと次シーン頭をクロスオーバーさせる場面転換演出が多用されており、これによって、別の場所の出来事が同時進行していると強調しているのが、今回の印象的な手法だろうか。これを見たままに同じ場所、同じ人物と捉えて更なる混乱を来す観客がいるとも容易に想像出来るが、これは観る側の理解力の問題だ。

何よりも本作、少なくとも3の内容や登場人物を記憶していない事には、終盤に行くに連れどんどん意味がわからなくなっていくのだから、もうここまで来ると完全に連続ドラマの様相を呈し、毎年新作を観る前には旧作を復習しておく事が必須であり(これで映像ソフトの売り上げもバッチリ)、その事は前作や前々作でも示唆されてきた筈だ。今回からいきなり観るなどは問題外である。

ただ、今回の4は、ある程度3の時点から大枠が想定されていて、同時進行で撮影された部分もあるとは思うが、それにしても、「実はこういう事だった」と、後乗せサクサクの連続で進められていく事にはやはり反則感が否めず、謎解きに対する驚きは年々薄まってしまうのも事実ではある。

だが、そしてそれを補うべく、ゲームの仕掛けや描写を大増量と共にエスカレートさせてインパクトを強める方向性がとられつつ、それだけに終わらずに、前回までの要素を巧みに伏線化して新たな謎解きを作り出し、また新たな謎を生んで次回へと繋げる、綿密な脚本は、それだけでも評価に値するものであり、他の類似作とは一線を画すると評して何ら問題ないだろう。

また、この種のシチュエーションホラー、サスペンスで便利なのは、観客が安易に思いつく対処法を劇中の人物が行わず、それによって事態が悪い方へと進んだとしても、「極限状況でパニクってた」と言ってしまえばそれで都合がつく事だ。

今回で言えば、髪の毛引っ張りマシーンの場面で、何故どうにかして"髪を切る"事を試さなかったのか、と言ったツッコミがそれに該当するだろう。(この髪引っ張り女性の経歴が、映画を見ているだけでは理解が困難な事は別の意味で問題だが)

あるいはその前の時点で既に、ジグソウのゲームとわかっていながら、彼のこれまでの手口知っていながら、安易に機械を作動させてしまった事からして、ウカツすぎると突っ込まれて仕方ないものだ。

が、更に前の段階、ケリー捜査官の殺害現場に突入する場面にて、どんなトラップが待ち構えているかもわからない場所で理由なくヘルメットを脱ぎ、あまつさえ単独で突入する様な愚行を先に見せておく事で、こいつは簡単にテンパる男だ、とのキャラクター説明がなされていると考えるべきであり、事態を悪化させる原因は常に自らの愚かさにある、という論理はシリーズ共通である。

だからと言って、たった90分であちこち移動してイベントをクリアー出来ると思っていたのか。途中で失敗、あるいは時間内に辿り着けなかったら、必死こいて段取りしたゲームが台無しとなるではないかなど、設定に無理がありすぎる事も確かで、前作まででもそうだったが、偶然に頼りすぎな展開はこれまで以上だ。

そもそもジグソウの新たな協力者が、何故そうする事になったのかが不明なままなので、「こいつがそうだったか」との驚きはあれど、物理事象的な説得力に留まって、心情的には納得が行かない。あるいは次作以降でその説明がなされるのだろうか。

と、観ているだけでなく観終わった後にもどんどん考えさせられている時点で、完全に作り手の術中にハマっているとは言うまでもない。一人であれこれ考え、観た者同士であれこれ言い合うところまで、本シリーズの楽しみどころに含まれているのだ。家に帰るまでが遠足です。

グロ耐性のない人、記憶力や理解力に欠ける人、は別として、これまでのシリーズを楽しめていたなら、前作までを踏まえた上での構成の巧みさに唸らされる本作、完全に一見さんお断りだがそれはシリーズものなら当然だ。

「話の意味はよくわからんが、とにかく凄い映像だ」とならないためにも、事前に前三作を鑑賞しておく事をオススメする。自己責任で。


tsubuanco at 11:13│Comments(6)TrackBack(12)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by くまさん   2007年11月19日 20:56
5 やはりこちらを先にチェックすべきでした…。3の内容把握が微妙で「え?」ってシーンが多発。
今から3を観て整理しなきゃ。
2. Posted by つぶあんこ   2007年11月20日 16:44
まあ3観ててもホフマンなんて頭に残ってるかどうか、って空気キャラでしたからねえ。
3. Posted by 涙目   2007年12月21日 00:38
くまさんの言うとおりだなあ。
それに加えて白人男性の顔が見分けられなかったなあ。
でもこういうサクサク進む話は大好き。

それにしてもよくもまあこんなに理路整然とした文章を書けるものだなあ、あんこさんは。
4. Posted by つぶあんこ   2007年12月21日 17:49
外人の判別は難しいですよね。
と言いつつ日本人ばかり出てる『仮面ライダー剣』第一話でも、誰が誰やらわかりませんでしたけど。
5. Posted by 薫   2007年12月24日 14:35
私はガンダムSEEDのキャラが誰が誰やらわかりませんでした。
6. Posted by つぶあんこ   2007年12月25日 17:33
アレでわからなきゃ、キャプテン翼とかどうなるんですか。

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