2008年01月01日

2007年9-12月期ドラマ その2

その1の続き。100点満点でサラッと。
死化粧師 15点

前番組『BOYSエステ』に続いてまたイケメン路線。もう男性視聴者は完全に斬り捨ててかかるつもりなのだろうか。にしてもあまりに内容が薄く、人情ドラマのオチとしてのエンバーミングが大して効果的に活きておらず、おまけにワンパターンなので楽しみどころに困る有様。

途中で一度スランプに突入させるあたりで、キャラクターとしての彫り込みを行って克服のドラマを見せていくのかと思いきや、やっぱり薄味のドラマに終始して適当に復帰してめでたしとは、面白くしようという気が感じられない。

五十嵐隼士が演じていた役どころも、途中から危険な面を覗かせて盛り上がっていくのかと思わせてやはり適当に終わりでは、もう何が何やらだ。
オトコの子育て 60点

高橋克典のダメ人間ぶりにイライラさせておいて、その実本質的な事は疎かにしていないとして感動させ、でもやっぱりダメな奴と落とす毎回のパターンは王道を忠実に押さえ、高橋の演技もキャラを上手く演じている。

主人公一家との対比となる隣人バカ親一家の、意図的にディフォルメされ戯画化されたキャラクターコントを意図的にパターン化し、その愚かしさを浮き立たせる手法もある程度成功し、演じる尾美としのりと鈴木砂羽もハマっている。

夏居瑠奈を始めとする子供達の演技も自然に上手く、大人側のラブコメよりむしろ子供側のドラマの方に興味が行きがちとなるのは、作り手の意図とは異なるだろうが結果として面白いのだから良し。

ただしあまりに王道的に話が進むため、意外性に欠けて先読みが容易すぎ、安定しすぎてしまっているのは、連続ドラマとしては問題か。

青山倫子演じる美人モデル役は、『逃亡者おりん』とは違い本人のキャラに合っているため下手と感じないなど、あまり力を入れずに作っているせいか、キャスティングに無理が無いのは評価出来る。
歌姫 76点

タイトルの意義が希薄なのが『暴れん坊ママ』同様気にかかるが、昭和と田舎のノスタルジーを基盤としたキャラクターコメディとしての質は高く、舞台劇が元となっているだけに、固定された狭いコミュニティである事が気にならず、空間的な箱庭感から眼を背けさせる狙いは成功している。

単に騒がしいドタバタだけでなく各人物のキャラクターをそれぞれ明確とし、それを基調として動かし相対させる事でコメディとドラマを動かしている、基本に忠実な作劇が楽しい。

斉藤由貴にブスババアである鯖子を演じさせ、それが過去は町一番の美少女だったというエピソードを挿む事で、本来の斉藤由貴のポジションとのギャップを更に引き立たせて笑いを生むなど、演じ手の持ち味を活かしたキャラ描写、展開も面白い。

のだが、キャラクターコメディに重点を置きすぎたせいか、本筋のストーリーがどうでもよくなってしまい、あまり先が気にならない事態になってしまったのはサタケミキオらしからぬ失敗か。
パセリ 40点

きわめてありがちなガールズバンドもので、仲間集めや周囲の妨害など基本に忠実なストーリー展開に終始し、特段の意外性や独自性がないままに予定調和に終わってしまうのはあまりに物足りない。

ライバルバンドの歌はともかく演技の棒読み加減が尋常ではなく、立ちふさがる壁としての存在感が全くないのは大問題か。

ただし黒川芽以の安定した自力は健在で、彼女が出ているパートは安心出来る。また柳沢なながお蝶夫人や姫川亜弓のごとき孤高の天才お嬢様キャラを嬉々としてノリノリで演じており、その松本莉緒の後継者とも言える新路線はかなりハマっており見もの。というかそれくらいしか見どころがないのが実際のところだが。
モップガール 88点

原作から完全に逸脱して『トゥルー・コーリング』の設定を借用した事件モノの体裁をとった事などは正直どうでもよく、今まで積み重ねてきた北川景子の印象をひっくり返す自虐的コメディ演技が最高に魅力的。

ボケとツッコミを交代で担う谷原章介とのドツキ漫才のテンポ、作劇も秀逸で、パターンと非パターンの使い分けも的確、回が進むごとに面白くなっていくのは『ガリレオ』の比ではない。

佐藤二朗やマギーら脇のギャグキャラも前に出すぎず後ろに引きすぎず、バランスのよいキャラクターコメディが楽しめ、本筋である事件ドラマが基盤を支える、トータルバランスも良くしたもの。

同枠の『TRICK』や『時効警察』程のカルト性、作家性は薄いものの、シリーズ化しても充分に楽しめる作品だろう。
ドリームアゲイン 66点

ホリエモンに野球選手の霊が憑依してプロ入りを目指す、などと何だかよくわからないアイディアでドラマを作ってしまった企画が面白く、実際にその通りの内容ながら、恋愛や難病などの定番ネタをも貪欲に盛り込んで、それら全てが独自の世界観を生み出してラストへなだれ込む構成は上手い。

そもそもの設定が有り得ないからこそ、ホリエモン関係のドラマ展開が極めて偽善的なものであっても受け入れられ、むしろ『仮面ライダークウガ』並に奇麗事を正面から突きつける潔さが最終回まで一貫してまで通されたのは気持ちいい。

のだが、加藤あい演じるヒロインは、『海猿』等これまで演じてきた役と同様、男のメンタルに理解を示さず妨害するタイプの役どころをまた演じさせられ(あるいは素か?)、そんな女の口にする奇麗事に説得力のある筈もなく、一人だけ存在が浮き気味だったのが非常に不味い。

逆に志田未来のこれまた定番の"ヒネたガキ"キャラクターは、その内面とのギャップをしっかり描いているからむしろ可愛さを引き立てて成功。瀬川瑛子もいい味を出しており、ホームドラマパートを盛り上げている。児玉清は言うまでもなく安定。

ただしオチが当たり前すぎて弱かったのは残念。
初恋ネットドットコム 47点

そもそも「初恋ネット」なんて差出人名のメールが来たら、詐欺か業者のスパムとしか思えないので中身も見ずに削除するのが普通だろうから、そんなメールを開いて読んで興味を持ってしまう設定に無理がありすぎ、いきなり世界を受け入れ難くしてしまっているのは問題。

オムニバスストーリーとして見せられる3編の初恋話は、青臭く痛々しい若き日の過ちや後悔を普遍的に描いており、視聴者にも思い当たるツボを突いて共感させる、安全パイの手法が用いられているものの、既に大人である主人公が過去を回想するスタイルが有意に活かされたのは最終エピソードくらいで、前2編は現在と過去のギャップや近似を平行描写する意義が薄かった様にも感じられる。

回想劇およびメールのやりとりでドラマを進めるため、ナレーションやモノローグの割合が異様に多くなるのは必然としても、それによって生じる過剰な説明臭さを回避すべく魅力的なダイアローグを作ったり、映像が単なる補足にならない様に留意していたとは言い難く、声が主で映像が従の印象を与えてしまっている。

総じて、過去編における人物設定、ストーリー展開が共感を生むものであったのに対し、現代編でのそれには逆に違和感や恣意性を強く感じさせられるものが多い、悪い意味でのギャップが大きかった事が、作品世界に没入し難い要因だろうか。

王道を変化球で見せようとした企画意図に拘泥しすぎた様にも思える。過去編の出来は悪くなかっただけに勿体ない。
ハタチの恋人 18点

さんまを喜ばせるための接待ドラマを見せられて面白いわけがない。

全てがさんま中心にあるだけに、コメディもシリアスもさんまの妙なテンションに合わせているために違和感ばかりが前に出て、ドラマではなく企画コントにしか見えないのだから始末が悪い。

そもそもサラリーマンやビジネスマンという職種、人種がどういうものかを全く認識出来ていないさんまに対し、そんな役を与える時点で間違っている。売れない芸人役でもさせていた方が、まだ自然さは出せただろうに。

裏表の無いストレートな親父キラーにどうヒロインとしての魅力を感じろというのか理解に苦しむ。

編集者役の蒲生麻由による、無駄にエロスを強調したスタイルと演技がわずかな救いか。
風林火山 77点

むさ苦しいオヤジばかりが角突き合わせて策謀と戦に興じる前半の展開は、久々に「大河ドラマらしい」大河ドラマを見せてもらった気がして楽しく、変に偽善的なメッセージや現代的な反戦思想を押しつけず、当時の価値観を擬似的に踏襲して、愛憎と弱肉強食の世界観、ドラマを描いていたのも大いに評価出来る。

中盤あたりから始まる、池脇千鶴などによる"女の戦い"ドラマもまた、由布姫のビジュアルに首を傾げはするものの、陰湿さよりも毅然さを強調したメンタルバトルによって、昼ドラ的にならず戦国ものの中で描くに値する心理劇が見られ、こちらも充分に楽しめるものに。

心配だったガクト謙信も決して悪くはなく、むしろナルシズムを追求したキャラクター性は、暑苦しさを究極まで追求した亀冶郎信玄と対称となって対立軸を引き立てており、ここまで狙ってのキャスティングとキャラクター設定、演出だとすれば素晴らしい。

谷原章介による今川義元も、こちらメインで1年の大河ドラマを作ったら面白くなるのではと思わされる程、これまでのありきたりな既存イメージを打破する人物設定、キャスティング、好演が見事。

のだが、1年あるからとあれもこれもと主人公以外の人物に話を振りすぎて、全体としての話がどこに向かっているのかが散漫となり、更にラストの川中島に至っては打ち切られるかの様に駆け足となってしまい、尻すぼみな感が強まってしまったのが残念。

全体のシリーズ構成を最初に練り上げていれば、もっと完成度は高くなった筈で、この路線での大河は当分観られそうもないだけに、勿体ない話だ。

以上終わり。特撮、アニメなどはまた後日。



tsubuanco at 21:14│Comments(6)TrackBack(0)clip!テレビ・ラジオ 

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この記事へのコメント

1. Posted by てっつん   2008年01月10日 23:39
今期個人的に一番おもしろかった、モップガールが高評価で嬉しいかぎり。北川景子は今回で化けましたな。次の役が試金石となりそう、私的にはポスト沢尻エリカと思っているんですがどうでしょう?
2. Posted by つぶあんこ   2008年01月14日 19:42
地のキャラは天然系なので、エリカ様とはまた違う様な。
3. Posted by くまさん   2008年01月31日 12:40
5 確かにモップがダントツでした
4. Posted by 天の道を往き総てを司る男   2008年01月31日 16:59
北川景子は笑うと顔が崩れるのが弱点
モップガールを見ていてそう思った
5. Posted by ノムオ   2008年02月01日 13:23
ドラマ「エスピー」のレビューを是非お願いしたいです。
6. Posted by つぶあんこ   2008年02月01日 17:47
ゲキレンジャーが終わったら一緒にアップする予定です。

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