2008年01月11日

FUCK 33点(100点満点中)08-010

「300と、17だ」
公式サイト

アメリカ国内での「FUCK」なる言葉の実情を、使用実例とインタビューを交えてひたすらに「FUCK」について語り続ける、ドキュメンタリー映画。

政治家からポルノ女優まで様々な職種、老若男女を対象にインタビューを行い、それぞれの「FUCK」感を観客に比較させていく、序盤の展開は、道ゆく一般人に対する同様のインタビューも挿入する事で、アメリカにおける思想勢力図の片鱗が見えてくるなど、導入としては面白い。

オープニングアニメに流される、ファックという言葉に著作権があれば自然に大金が転がり込んでくるのになあ、なる内容の「FUCK」の歌が、展開が進むうちに、TV放送での発言に罰金を課して実際に収入を得ている政府へのアイロニーであったと気づかされ、現ブッシュ政権をはじめとした保守系勢力に対し批判的な方向性が全編通して貫かれている本作の、メイン主張は実はそこにあるのではとも思わされる。

確かに、「子供のために」を錦の御旗に、己の思想嗜好を法制化し強制しようとするファシズムに対して嫌悪を覚えるのは当然であり、そこに「神の御意志」など宗教的な思想性まで重ねられるに至っては、あまりの偽善、独善ぶりにウンザリさせられて仕方ないものだ。

だが、「言葉よりお前の顔を規制しろ」と言いたくなる醜悪なPTAババアを"良識派"側に配置するなど、あからさますぎる恣意性、誘導性はむしろ逆効果だ。

そして、本作に対するそもそもの興味として、本来性行を表している言葉が何故、強調や感嘆を表すなど用法が広がっていったのかなど、言語に対する本質的な考察、検証するなどが一切なく、ただ「FUCK」という言葉がどんな場でどれくらい使われているのか、それに対しどの様な意見や動きがあったのか、など事象を羅列するのみでは、余計に特定思想への誘導のために作られた作品であるとの印象が強くなり、作品の底を浅くしている。

何より、最初から最後まで特段に変化のないインタビュー映像および既存作品からの引用映像の羅列を延々と90分間続けてしまう、あまりに工夫のない構成、編集は、観客の興味を持続させるに足らないものであり、まず興味を惹きそこから知識を与えて認識、考察させ感心あるいは感動させる事が目的である、ドキュメント映画としての完成度も、プロパガンダ映画としてのそれも共に高いとは言えない。おそらくは作り手の意図していないところで、英語を万能の世界共通言語とでも思い込んでいるアメリカ人の傲慢な愚かしさが露呈しているあたりは面白いが。

自己陶酔的な正義感によって表現の自由を確信犯的に侵す権力は、アメリカに限らず日本にも強く存在し、クリエイターおよび作品を享受する消費者に大いなる不利益を与えている現状がある事は間違いなく、それに対して問題意識を持って改善すべく個人個人が少しずつでも行動を起こす事は大切だが、この映画を観たからと言ってそうした意識が高まるわけではなく、特段にためになるわけでも、笑って楽しめるわけでもない、タブーを扱うインパクトのみが前に出た、中途半端な出来に終わっている。

興味があってもレンタル待ちで充分か。自己責任で。



tsubuanco at 17:06│Comments(2)TrackBack(0)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 涙目   2008年01月24日 19:37
なんかすごーい薄い作品でしたね
私を含めて三人は寝てたんじゃないかな
一人いびきがうるさくてワロタ

映画見て、後ろに座ってたカップルの白人さんは笑ってました
あとラッパーが
『「ファック」の変わりに「ブーン」て言うか?』
って言ってたのはワロタ
2. Posted by つぶあんこ   2008年01月25日 17:51
ブーンの起源を検証するドキュメントが必要ですかね

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