2008年01月29日

テラビシアにかける橋 59点(100点満点中)

いつか渡るわ青春の
公式サイト

キャサリン・パターソンによる同名児童文学を映画化。

原作云々よりも何より、『チャーリーとチョコレート工場』にて、非の打ち所のない美少女ぶりにて強烈なインパクトを与え、続く『リーピング』においても少し成長した美姿を披露したアナソフィア・ロブがヒロインを演じている事が、何よりの見所だろう。

子役時代に完璧な美形だった少女は、成長すると顔の輪郭をメインに激しい劣化を示してファンをガッカリさせる事が多く、彼女もまた『チャーリー〜』から本作にかけての成長具合を見るにその傾向にあると思しく、おそらくは本作が"完璧美少女"である姿を鑑賞できる最後の機会ではないかとも危惧させられるのは痛し痒しだ。(来日宣伝時の映像を見るに、残念な事にその危惧は当たりつつある)

上も下も女ばかりの家庭に育ってスッカリ世を拗ねている主人公が、ある日転校してきた才色兼備で不思議系の美少女に見初められ、あこがれていた美人女教師(ズーイー・デシャネルからも優しくされるウハウハな日々、なる、「それなんてエロゲ?」なストーリーのご都合主義には流石に突っ込まざるを得ないが、原作がそうなのだから仕方がない。

娘ばかり大切にする父親に対する歪んだ感情や、女教師に誘われた時に彼がとったズルい決断など、必然、自然な少年の心情描写が時に描かれておりはするものの、基本的にはそうした描写が希薄で、ストーリー展開自体も駆け足のダイジェストに近く、総集編を観ている気にさせられてしまうのが難点か。

家族および学校という、子供にとって世界の全てである両方から阻害された主人公が、少女との出会いによって光を見出していくのがまず基盤にあるのだから、少女との距離感の縮まりを明確に描いてくれない事には始まらない筈が、その大事な部分が省略されていきなり森に向かって一緒に走り出すのでは、感情移入が追いつかない

物語のテンポに緩急を持たせる狙いは理解出来なくもないが、主人公達と自分を同一視させ、ごっこ遊びの楽しさを共有させるのが、作品世界への導入に要求される条件なのだから、観客を置いてけぼりにするような緩急は問題だ。

その部分に限らず、父親らから現実を突きつけられて拗ねる主人公が、また再び少女との夢の世界へ入り込んでいく、気持ちの移り変わりとそれを支える人間関係描写がいちいち希薄かつ唐突で、ただ何となく決められた方向に話が進まされている印象が強くなり、総集編感を強めてしまっている。

それでも、ストーリーの基本的な流れや、各シチュエーションにおける型に嵌った人物動向から伝わってくる普遍的な共感性や、目力の強いヒロインのキャラクター性により、多大な脳内補完を行ってそこからの感情移入を果たす事は可能ではあり、脚本や演出の粗を原作とヒロインが救っている状態といえるか。

だが、"テラビシア"における冒険においてはしっかりと描写を重ね、子供時代の秘密基地遊びやごっこ遊びを追体験させられる面での楽しさは充分に描かれており、現実パートの拙速さ、希薄さは、あるいは作り手の狙いによるものかとも好意的に想定する事も出来なくはない。

そう考えれば、受け止め様によっては逃避と捉えられなくもない、その冒険遊びおよびラストシーンも、経験を経て前に踏み出す少年の成長を表している、少年の内面主観を通した現実描写と解釈する方が自然であり、それは疎ましく思っていた妹を"自分の領域"に受け入れ、新しい王国にヒロインの姿がなかった事からも辿り着くものだ。本当に逃避エンドなら、あの世界には主人公を迎え入れるヒロインの神々しい姿があった筈だ。

とはいえ、ストーリー自体は主人公にとって都合が良すぎる、あまりに作為めいたものでしかなく、いじめっ子の鼻血などあえて現場を描かなかった事が逆に功を奏している局面もところどころにありつつも、唐突な展開の間を埋める描写が全体としては希薄であり、全体的な完成度はあまり高いとはいえないのが残念。それでも泣かせてしまうあたり、やはり普遍的な共感性の強みを抑えているのは間違いないが。

主人公がヒロインに寄せていた感情が結局のところ友情以上のものではなかったあたりも、子供という存在を都合よく捉えすぎた、型に嵌った印象に大きく作用しているだろう。ただし女番長のビジュアルや顛末は裏ストーリーとして面白い。

と、手放しで褒める事は不可能ながらも、ノスタルジーに浸りながらヒロインの可愛さを堪能出来る、ファンタジーやジュブナイル映画好きならば観て損はない仕上がりとなっている。

だが最初にも述べた通り本作の最大の功績は、美少女アナソフィア・ロブの失われつつある最後の輝きをフィルムに収めた事にあるだろう。成長期において変化を続ける様には同じかたちは二度と無く、やがて失われてしまうからこそ、少女期の美しさには換え難い価値があり、それを記録保存する事は人類の責務と断言して過言ではないのだ。


tsubuanco at 21:58│Comments(9)TrackBack(26)clip!映画 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. テラビシアにかける橋  [ ★YUKAの気ままな有閑日記★ ]   2008年01月29日 07:04
子どもを連れて鑑賞―【story】女兄弟ばかりの貧しい家庭で育った10才のジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)と、引っ越してきたばかりの個性的な少女レスリー(アナソフィア・ロブ)。学校を牛耳るいじめっ子のターゲットにされてばかりの2人はやがて親友同士となり、近所の...
2. テラビシアにかける橋  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年01月29日 20:38
 『この橋を渡れば、 またきみに会える』  コチラの「テラビシアにかける橋」は、"全世界が涙した児童文学の最高傑作"キャサリン・パターソンの同名原作を映画化したアドベンチャー・ファンタジーなのですが、本日1/26公開となったので、早速観て来ちゃいましたぁ〜♪ ...
3. 『テラビシアにかける橋』  [ 唐揚げ大好き! ]   2008年01月30日 06:54
『テラビシアにかける橋』   オシッコに自由を!!   ■11歳の少年ジェスは、あきらめることばかり上手になっていた。貧しい家庭でのけ者気分をかみしめ、学校でも虐められっ子。楽しみといえば生き物やストーリーを空想して、それをスケッチすることだけ。そん
4. テラビシアにかける橋  [ ★試写会中毒★ ]   2008年01月30日 08:40
満 足 度:★★★★★★★★★    (★×10=満点)  監  督:ガボア・クスポ キャスト:ジョシュ・ハッチャーソン       アンナソフィア・ロブ       ズーイー・デシャネル       ロバート・パトリック       ベイリー・マディソ...
5. 『テラビシアにかける橋』  [ Sweet*Days** ]   2008年01月30日 08:52
監督:ガボア・クスポ  CAST:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ 他 貧しい家に暮らし学校でもいじめられっ子のジェス...
6. Leslie dead at 12 on bridge to Terabithia  [ 佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン ]   2008年01月30日 10:57
「テラビシアにかける橋」 キャサリン・パターソン原作、ガボア・クスポ監督。とびっきり可愛い少女が事故死するのに立ち会うのは今年になって早くも2回目。こういう類のものを観たいと思うのは心理的にもまずい状態じゃないか。というか、なんで最近の映画は邦画洋画問わず...
7. 【テラビシアにかける橋】  [ 日々のつぶやき ]   2008年01月30日 15:01
監督:ガボア・クスポ 出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ、ロバート・パトリック、ズーイ・デシャネル 「絵が好きで、家が貧しいジェスはいじめられっこ。ある日転校生レスリーがクラスにたってきた。男子生徒よりも足が速い彼女はちょっと変わって
8. 「テラビシアにかける橋」:フェリー埠頭入口バス停付近の会話  [ 【映画がはねたら、都バスに乗って】 ]   2008年01月30日 20:55
{/kaeru_en4/}あんなところでコスプレして、最近の若者は変身願望があるのか。 {/hiyo_en2/}そりゃあ、年齢に関係なくあるわよ。変身というより、現実とは違うもうひとつの別の世界を持ちたいっていう感じかしら。 {/kaeru_en4/}ああ、「テラビシアにかける橋」の子どもたち...
9. 【映画】テラビシアにかける橋  [ 新!やさぐれ日記 ]   2008年01月31日 22:21
■動機 予告編を観てなんとなく向きかなっと ■感想 やっぱり向きだった。サプライズあり。 ■満足度 ★★★★★★★ まんぞく ■あらすじ 女兄弟ばかりの貧しい家庭で育った小学5年生のジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)のクラスに、ある日風変わりな少女レスリ...
10. テラビシアでやるエロゲー  [ 冒険野郎マクガイヤーの人生思うが侭ブログ版 ]   2008年02月01日 03:07
 何が驚いたかって、ヒロインを演じるアナソフィア・ロブたんの完璧美少女ぶりだよ!  「チャーリーとチョコレート工場」に出ていた時は、正直なところ幼児すぎて何の感情も沸かなかったのだが、数年経つだけでこんなにも成長するとは!女ってのは魔物ですな。  ス....
11. テラビシアにかける橋  [ ★Shaberiba ★ ]   2008年02月01日 16:02
目を閉じて、心を開いて。 この橋を渡れば、またきみに会える・・。
12. テラビシアにかける橋  Bridge of Terabithia  [ シネマログ  映画レビュー・クチコミ 映画レビュー ]   2008年02月01日 19:32
心の目を開くと 思い通りの世界が拡がる■ストーリーいじめられっ子だけど絵の才能がある男の子ジェスと、転校生の美少女レスリー。家が隣り合わせの二人は、川を渡った森の中にツリーハウスを見つける。そこは2人の創り上げた空想の王国「テラビシア」の番人の住む森の監視...
13. テラビシアにかける橋−(映画:2008年11本目)−  [ デコ親父はいつも減量中 ]   2008年02月05日 00:11
監督:ガボア・クスポ 出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アンナソフィア・ロブ、ズーイー・デシャネル、ロバート・パトリック、ベイリー・マディソン 評価:80点 公式サイト (ネタバレあります) いじめっこだったけど、他人の痛みがわかって優しくなった上級....
14. 【劇場映画】 テラビシアにかける橋  [ ナマケモノの穴 ]   2008年02月06日 21:47
≪ストーリー≫ 貧しい家庭にあって姉妹4人に囲まれ窮屈に暮らす11歳の少年ジェスの唯一の慰めは、こっそりと絵を描くことだった。学校でも居心地の悪さは同じだったが、ある日、風変わりな女の子レスリーが転入してきてジェスの灰色の毎日は一変する。自由な発想と行動力...
15. テラビシアにかける橋  [ C'est Joli ]   2008年02月06日 21:49
4 テラビシアにかける橋’07:米 ◆監督: ガボア・クスポ「ラグラッツ・ムービー」「ラグラッツのパリ探検隊」◆出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ、ロバート・パトリック、 ズーイー・デシャネル ◆STORY◆貧しい家庭にあって姉妹4人に囲まれ窮....
16. 【2008-21】テラビシアにかける橋(BRIDGE TO TERABITHIA)  [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ]   2008年02月11日 21:06
3 人気ブログランキングの順位は? この橋を渡れば、 またきみに会える
17. テラビシアにかける橋 観てきました。  [ よしなしごと ]   2008年02月14日 04:21
 ファンタジー映画なのに、感動の涙と聞き、どんなんだ?って気になっていた映画、テラビシアにかける橋を観てきました。
18. テラビシアにかける橋  [ 傲慢映画評論家見習中 ]   2008年02月14日 22:14
{{{ [ あらすじ ] 女兄弟ばかりの貧しい家庭で育った小学5年生のジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)と、引っ越してきたばかりの個性的な少女レスリー(アナソフィア・ロブ)。 学校を牛耳るいじめっ子のターゲットにされてばかりの2人はやがて親友同士となり、近...
19. 真・映画日記(1)『テラビシアにかける橋』  [            ]   2008年02月16日 18:47
JUGEMテーマ:映画 1月27日(日)◆698日目◆ 前の晩に「Live inn Rosa」でのオールナイトのイベントに行き、朝7時に帰宅。 午前中いっぱい寝る。 午後3時前から外出。 池袋の「シネマロサ」へ。 『テラビシアにかける橋』を見る。 客入りは50人程度。 フ...
20. 映画感想≪テラビシアにかける橋≫  [ キネマ徒然草 ]   2008年02月16日 20:27
「うーん、やはり文化の違いって大きいのかな?」 この映画を観た後思ったことです。。 <b>≪テラビシアにかける橋≫★★</b> ガボア・クスポ監督 ジョシュ・ハッチャーソン主演(ヒロイン役でアナソフィア・ロブが共演) とりあえず、<b>&lt...
21. テラビシアにかける橋  [ メルブロ ]   2008年02月17日 20:36
テラビシアにかける橋 200本目 2008-6 上映時間 1時間35分 監督 ガボア・クスポ 出演 ジョシュ・ハッチャーソン アナソフィア・ロブ ロバート・パトリック ズーイー・デシャネル 評価 9点(10点満点) 会場 吉祥寺バウスシアター  吉祥寺バウスシアター...
22. テラビシアにかける橋■悲しい結末に不満  [ 映画と出会う・世界が変わる ]   2008年03月12日 08:46
この映画を見たのが2月11日のことだから、もう1ヶ月になる。確かにいい映画なのだが、主人公の少年ジェスがどうしてレスリーとあのような別れ方をせねばならないのか、非常に疑問である。その思いは、見た直後から変わらない。レスリーはどうして死ななくてはいけなか...
23. テラビシアにかける橋  [ 映画鑑賞★日記・・・ ]   2008年08月12日 12:53
【BRIDGE TO TERABITHIA】2008/01/26公開製作国:アメリカ監督:ガボア・クスポ出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アンナソフィア・ロブ、ズーイー・デシャネル、ロバート・パトリック、ベイリー・マディソン この橋を渡れば、またきみに会える
24. テラビシアにかける橋(1/26公開)  [ 第八芸術鑑賞日記 ]   2008年08月29日 02:11
 08/2/27、新宿ミラノにて鑑賞。5.5点。 ジャンルとしてはファンタジーに分類されるのだろうが、この映画においてVFXによって表現される非現実的な光景や生き物たちは、登場人物の「想像」であり、それを観客の目に可視化したものである。だから本筋のストーリーそのも...
25. mini review 08350「テラビシアにかける橋」★★★★★★☆☆☆☆  [ サーカスな日々 ]   2009年02月12日 18:05
国際アンデルセン賞を受賞したキャサリン・パターソンの同名ベストセラー児童小説を映画化。いじめられっ子の少年と風変わりな少女が空想の王国テラビシアを作り上げ、友情を育んでいく姿を描く。監督はアニメ界出身のガボア・クスポ。主人公の少年少女を『ザスーラ』のジョ...
26. 『テラビシアにかける橋』を観たぞ〜!  [ おきらく楽天 映画生活 ]   2009年03月05日 07:50
『テラビシアにかける橋』を観ましたキャサリン・パターソンの同名ロングセラー児童文学を映画化した感動ファンタジー・ドラマです>>『テラビシアにかける橋』関連原題: BRIDGETOTERABITHIAジャンル: ファンタジー/アドベンチャー/青春上映時間: 95分製作国: 20...

この記事へのコメント

1. Posted by 緑茶   2008年01月28日 22:47
某サイトでは100点満点中20点をつけられ
某サイトでは激賞されている
映画版 魁!!男塾の感想が楽しみです
2. Posted by つぶあんこ   2008年01月29日 10:38
楽しみにしてた映画の一つだったんですけどねえ。男塾。
3. Posted by 月島きらり   2008年01月31日 11:34
今、天下一美少女決定戦をやったら優勝は久住小春ですな。
5. Posted by つぶあんこ   2008年02月01日 17:46
キャラづくり込みならそうかもですが、ビジュアルでは水沢奈子でしょうか。もう少し下の世代なら川島海荷や山田夏海あたりが完璧っぽいですが。
6. Posted by 月島きらり   2008年02月04日 10:41
>>山田夏海
後の寺島しのぶである。
7. Posted by つぶあんこ   2008年02月04日 17:47
そうならないと言い切れないのが子役の儚さ
8. Posted by マイガール   2008年02月10日 15:47
前田氏はあのオチを近親相姦エンドと解釈したということですか??
9. Posted by つぶあんこ   2008年02月11日 17:58
曖昧にぼやかそうと狙って何も伝わらない文章をよく書きますよね(笑
10. Posted by kimion20002000   2009年03月30日 12:57
美少女の美少女性というのは、ほんとに一瞬の儚さですからね。
だれか「銀幕美少女のいま」という特集を組んでくれないかしら。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Comments