2008年02月18日

クリアネス 33点(100点満点中)

美人局アナという記述を読み違える
公式サイト

ケータイ作家の十和による、第1回日本ケータイ小説大賞を受賞したケータイ小説を映画化。

彼氏持ち売春婦金髪出張ホストとの恋愛を描いた本作、内容の陳腐さ、浅薄さ、低俗さ、オリジナリティの無さなどを揶揄して採り上げられがちな、典型的ケータイ小説の題材そのままなのが何とも皮肉で苦笑させられる。もちろん題材が低俗だろうが表現に魅力があるのなら、それは作品として大いに価値があるが、コバルト文庫やハーレクイン以下の、出来の悪いライトノベル程度のお粗末な文章でしかない本原作には当てはまらないのが実情。これが大賞なら他はどれだけヒドいのか、想像したくもない。

だがやはりそれでも尚、たとえ低俗な題材で文章が稚拙だろうが、そこに込められている作者の主張や思想に興味を引くものがありさえすれば、無価値と断ずるには惜しいと考えられなくもない。実際に前半の展開においては、普段から金でセックスをしているからこそ性欲と愛を混同せず理性的に使い分け、肉体や欲望より高次元でプラトニックな精神性の純愛を育むといった、ある意味では高潔な思想性が物語によって主張される事で、相手が好きだからなどと簡単にセックスに至る者達へのアイロニーとしているのか、などと期待させ、これはこれで一見の価値ありかと思わせられる。

のだが、主人公さくら(杉野希妃)との関係を持つ男達として、彼女を金で買う客、恋人、そしてヒロインと同じく金で体を売りながら、ヒロインにだけはセックスを求めないレオ(細田よしひこ)の三組を用意して、特に彼氏とレオがヒロインに求めるものと、ヒロインが男に対して求めているものとの対比、ギャップによって人物像と関係性を描き込んでいく方向性である事は間違いないにせよ、先述した様な前半の関係性から期待された思想性が実際には描かれる事も無く、愛しているなら抱いてくれなどとヒロインに求めさせてしまっては、結局はそんじょそこらのスイーツ尻軽女と変わらないではないかと呆れさせられるばかりで、つまるところヒロインにとって都合がいい存在を求めているだけのワガママとしか感じられない、極めて一面的な底の浅いものに終わっているのだから、人物造形も物語構成も何もあったものではなく、これでは単なる妄想の羅列にすぎず、人に見せるレベルではない。

そもそも自宅で売春という基本設定からしてツッコミどころで、全編通してツッコミ、ズッコケどころの連続ながら、それが楽しくなる事はなく呆れるばかりなのだから、本当に底が浅いだけだ。

『恋空』の時にも書いたが、女性向けケータイ小説は男性オタクにとってのエロゲやエロ漫画と用途において何ら変わらず目的がハッキリしているのだから、ヒロインにとって都合よく記号的なキャラクターが描かれる事自体は問題ないが、その描き方が記号としても曖昧で一貫性が無いのでは、作品として上質とはとても言えたものではない。

しかし、主演の杉野希妃はまず文句なく美人でありオマケに巨乳。そんな彼女が夏の設定により常に薄着のキャミソールで無防備な生肌をこれ見よがしに強調し、売春場面では強引な客によって腋の匂いを嗅がれるなどフェティッシュなプレイを強要され、乳首の露出なしにエロティックな魅力を振りまいているだけでも、実写映像化した意義は存分にあると言える。

ファーストシーンはいきなりシャワー場面で続いて売春が始まるのだから、作り手もその事は了承しているのだろう。少なくとも彼女のエロ待ちだけで最後まで興味を持続させる事は可能だ。

その杉野希妃、顔立ちがどことなく韓国女優っぽいと感じていたが、実際にキム・ギドク監督の『絶対の愛』に出演するなど韓国芸能界で活動していたと知って納得。しかし日本で最初のメジャー仕事がこれとは、もう少しマトモに売れば男女問わず支持されそうな存在だけに、なんとも勿体ない。

何故ケータイ小説の王子様役には金髪が多いのだろうか、と改めて疑問に思わされるレオを演じた細田よしひこ、テレビドラマ『ライフ』のキチガイ役や『エジソンの母』のバカ副担任役など、人として必要な何かが脳から欠損しているがごときキャラクターばかりを演じ、本作でも知的障害の設定なのかとまで思わされる白痴キャラを演じて異様な存在感を醸しており、「キモカワイイ」なる言葉は本来、彼の様に美形なのにサイコチックでキモいビジュアルに対しての用法が正しい気にもさせられる。

主演二人に興味があるなら、そのビジュアルを鑑賞しているだけでも飽きる事はなく、原作を読むよりは有意義だろうが、どんどん投げやりになっていくストーリー面には全く期待しない方がいい。レンタルでも充分か。


tsubuanco at 17:58│Comments(2)TrackBack(4)clip!映画 

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1. 【2008-40】クリアネス  [ ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! ]   2008年02月27日 22:48
2 人気ブログランキングの順位は? つないだ手は、きっと温かい。 淋しさを愛で満たしてくれる、 そんな魔法の物語。
2. クリアネス  [ 八ちゃんの日常空間 ]   2008年02月27日 22:53
目の前に杉野希妃ちゃんがいるぅ〜
3. クリアネス  [ asterisk 3.2 ]   2008年02月28日 22:54
嫌よ嫌よもスキのうち。 「クリアネス」を観てしまいました。 http://www.clearness.jp/ ケータイ小節の映画化だよ! そんなの地雷に決まってるよ! どーせ甲斐性ない金髪男が純愛に盲目なだけで 振り回しているだけに決まってるじゃないの。 観る前からわか...
4. クリアネス  [ しぇんて的風来坊ブログ ]   2008年03月16日 02:45
観に行きました。 観客は予想通り、女子中高校生が多いようでしたが、動員力はなく、入替で前後に上映していたより著名な映画にかなり少なかったです。 この映画のさくら役、杉野希妃さんは、良く分からないキャラクターを演じていて結構合っていました。不安うんぬんと売...

この記事へのコメント

1. Posted by なつめ   2008年02月18日 21:20
クリアネスはケータイ小説にしてはマシな方って言われてましたね。読んだことないけど。
ホストってのもよく出てきますけど、ギャルゲにおけるツンデレ的なお約束キャラなんですかね?
2. Posted by つぶあんこ   2008年02月21日 17:46
キャバ嬢に入れ込んでしまう類いの、モテない男に通じる願望でしょうかね。バカじゃねーのとしか思えませんが。

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