2008年03月02日

超劇場版ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ 天空大決戦であります! 75点(100点満点中)

パチ組みなんて組んだうちに入らない、そんな風に考えていた時期が、俺にもありました。
公式サイト

吉崎観音の同名ギャグ漫画を原作としたTVアニメシリーズ『ケロロ軍曹』の、劇場版第三弾

ケロロ達の本来の目的である"地球侵略"を、では一体何をもって侵略・支配とするのかとの命題として前面に押し出しているのが、今回の大きな特徴か。

ケロロと対を成すダークケロロに、その侵略を実行させる事で、彼が行う物理的な支配と、ケロロが(意図せずに)行っている心的交流との差異を、ことごとく強調すべく、既存キャラクターをもその意図の上にて配置しストーリー展開を進めている、基本的な方向性のまとまりは良い。

前作で夏美をクローズアップしすぎた反動か、今回は冬樹とケロロの友情をメインに、夏美とギロロなど他キャラクターの関係性をそれとの相似として、物語に奥行きを加えて重層化させつつ構図自体はわかりやすいままという狙いも正解だろう。

最初にドタバタの冒険シチュエーションから始め、一気に観客の興味を引きつけつつ全ての端緒とする導入も、その時点では娯楽性と思わせぶりが成功していると感じられる。だが、結局そこで提示された謎要素が、あまり有意に回収がされないまま、説明臭さやバトルとの乖離感ばかりが気になる様にしかまとめ上げられなかったのは問題。結局とにかくドデカイ奴をぶっ壊しただけで、力ずくで解決した事にするのでは消化不良だ。

しかし、前作ではその力ずくの解決だけで終わらされた終盤を、今回はバトルの片がついた後のエモーションを引きずるのかと思わせて、しっかりギャグで落としてくれるのは有難く、多段落ちとしてアフロを使用するなど、小ネタの使い方を心得ているのは、ギャグ漫画である本道として見事だ。オープニングが第一話のダイジェストだった意味がエンディングにて判明する構成も、その顛末も併せ極めて気持ちがいい。

先述の通り、各キャラクターの関係性を、"仲間"として戦うシチュエーションとして利用した戦闘シーンは、ところどころに主張される小ネタも含め、キャラクターバトルとしてそれぞれに充分な見せ場が与えられ楽しめるものだ。タママの葛藤を延々引っ張っておいて最後にひっくり返すあたり、ストーリー、バトル、キャラクター、ギャグの全てが有効に絡み合わされた好例と言える。

ただし肝心のメインであるケロロ対ケロロの推移が、ガンプラネタの集大成とも言うべき大サービスシーンからロボによるタイマンバトルまでで、一度テンションを大きく盛り上げ、続いて偽イメージを打ち破る展開によって友情テーマをも盛り上げて、ハードとソフトの両方を充分に満たしておきながら、そこで締めずにダラダラと決着を引っ張ったのは、明らかに構成の順逆を間違えているとしか思えない。後のダラダラを先に済ませて友情復活→「このバカチンがー!」でケリとした方が、スッキリと据わりよく感じられただろうに。

ガンプラネタがパロディギャグのメインのひとつである本作、逆転への起点として本筋のストーリー内にガンプラそのものを用い、中盤の一時期ずっとそのネタがメインとなるくだりにおいて、本家サンライズの新作画オリジナル風のBGMにより、コアブロックチェンジや「大地に立つ」場面をスクリーンで見られた事は極めて感慨深く、ケロロファンと言うよりガンダムファンにとって嬉しいサービスでは確かにあるが、あくまでもパロディである事で矜持を保ってきた作品において、そのまんま本物を前面に出してしまった事は、これは反則ではとも思わされる。

プラモ狂四郎を想起させる「スナップフィットキットの弱点が〜!」のギャグや、「メインカメラをやられただけだ!」の後に首を見たらボールジョイントが剥き出しなど、ガンダム、ガンプラ好きとして素直に笑えるネタが目白押しなだけに、余計に「ここまでやっていいものか」と観ている側が逡巡させられてしまうのは皮肉か。ラストシューティングの映像に限ってチープだったのが残念だが。

また、前作のゲスト声優だった辻希美の上手さに反し、今回ゲストの福田沙紀は、まず声の作り方からしてやる気ゼロだと明白。よりによって堀江由衣と声を対比させるキャラクターなため、余計に駄目さが強調されているのは不幸だが、喋るシーンが少ないのが不幸中の幸いか。出来ない事をさせて誰も得をしない押し付けを図る事務所には猛省を促したい。キャスティング担当者も同罪だ。

ガンプラネタのインパクトによって他の印象がかなり薄まってはいるが、様々な意匠が散見させられるドルル(CV:ルー大柴)のデザインや、戦闘機発進映像のカット割りが初代マクロスOPだったり(未遂だが)と、全く子供向けでないネタが大量に盛り込まれているのは単純に嬉しく、キャラクターの使い方、バトルの盛り上げ、ギャグを忘れない事など、総じて前作までと比べて『ケロロ軍曹』の豪華版としての完成度はかなり高く、一箇の作品としての娯楽性も充分だ。

前座となるミニ映像、『武者ケロ お披露目!戦国ラン星大バトル!! 』も、CGの出来の良さだけしか見るところの無かった前回の『ちびケロ』とは一線を画す、ギャグに特化した番外編として大いに楽しめるもので、ギラ・ドーガを髣髴とさせる敵雑兵のデザインなど、やはりパロディネタも大量。

カレー落ちをまた用いるなど、前作からの繰り返しによるギャグも面白い。屁ネタを引っ張りすぎたのは幼稚で残念だが。EDのア・バオア・クーを見逃すな。

前作『超劇場版 ケロロ軍曹2 深海のプリンセスであります!』レビューはこちら



tsubuanco at 17:28│Comments(7)TrackBack(4)clip!映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 力薬   2008年03月01日 21:45
地上波かCS放送までスルーを考えてましたが、福田沙紀が声をやることのみは知ってました、そんな酷いんですか…

しかしただでも『ライフ』の役で好感度を落としまくったろうに、無理に声までやらせて大丈夫なんですかね…
事務所は彼女を殺したいんでしょうかね…
2. Posted by 関東の貴   2008年03月03日 12:55
ガンダム1回も見た事が無い私でも、ノリや勢いで楽しむ事は可能でしょうか?
(原作やシリーズを全く知らず、主人公の名前さえ分からない作品でも、劇場版観に行く事があるので)
3. Posted by つぶあんこ   2008年03月03日 13:13
上戸彩の『アタックNo.1』主題歌を歌わされたあたりから、事務所に振り回されてる気もしますね。福田沙紀は。

ガンダム(ガンプラ)を知らないとケロロの面白さは大幅減ですよ。特に今回は顕著です。とりあえず初ガンの劇場三部作くらいは観てからの方がいいかと。
4. Posted by カナブン   2008年03月09日 11:19
うお、ケロロ軍曹が潜水服より点数高い……
映画みたいな総合芸術によく点数つけるのってどうなんでしょう…一度現場でも見たらどうです?オタごときがあんまりナメないでくらっさい
5. Posted by つぶあんこ   2008年03月09日 13:18
よくわかってないのに芸術という言葉を御大層にブランド視している相原コージっすか(笑
芸術なんて全裸で横たわる竹熊健太郎ですよ。
映画は娯楽ですし、娯楽と芸術は乖離したものではなく、娯楽から芸術が生まれたんですよ。

あんまりケロロをナメないでくらっさい(笑
6. Posted by ゆの字   2008年03月22日 22:26
初めまして、こちらの映画レビューと藤子ネタを毎日楽しみにしている者です。

ケロロの劇場版は1・2が今一つだったので、ここをチェックしてから見に行くかどうか決めようと思ったのですが、お陰で大満足です。ありがとうございました。(一つ前に見た映画が、「緑の巨人伝」だったというのもありますが…)
7. Posted by つぶあんこ   2008年03月26日 21:41
オイラの場合、ドラえもんとクロサギを連チャンで観てしまって散々でしたよ。

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