2008年03月07日

ヴィットリオ広場のオーケストラ 10点(100点満点中)08-070

今度はイタリア抜きでやろう
公式サイト

イタリア・ローマのヴィットリオ広場に数多く居住する移民からメンバーを集め、地元劇場の復興を目的に楽団を結成しようとする、5年間の活動を追ったドキュメンタリー映画。

歴史ある劇場の保護や、多民族の融合による友好メッセージを目的としていると見せかけているものの、実際には政治、思想的な偏向や誘導が、作品のそこかしこに見え隠れしている。日本での公開に朝日新聞が関わっているあたりも、その本意の裏付けと言えなくもない(笑)

戦後闇市の延長線上として雑多なマーケットが築かれている広場において、当時の大きな国内問題のひとつであった移民問題をクローズアップし、右派による移民排斥運動の映像をこれ見よがしに採り上げて、「移民達は政治利用されている」とナレーションを被せている。

この序盤の説明部分から既に、そういう自分達こそが、左翼的な政治活動に移民達を利用し、そのPRとしてこの映画を作っている事実から目を背けさせるための、偏向、作為的な構成であるとは明白であり、苦笑する他ない。

劇場の復興を命題に掲げつつ、楽団を作る事よりも多国籍の人間を集める事に苦心する、本末転倒な展開を見せる前半のメンバー集め始めの展開からも、国籍や人種、宗教や民族などの壁を越え、同じ人間としての友好を築こうと謳いながら、その実"異人"である事にこだわって"差別、選別"を率先して行っているのだから呆れる。

中国マフィアが秩序や治安を乱しているのだと言及し、結成された楽団には、移民の中での割合が高い筈の中国人が一人もいない状態と、これまたあからさまな差別、作為的な思惑が一目瞭然だ。カメラを向けられた中国人のリアクションなどで、殊更に彼らに対する悪印象を与えようと映像を選択している事も同様。

メンバー集めの際にも、練習の際にも、どんな音楽を志向しているのかという、本来最も大切な事はさておき、相も変わらず移民排斥運動の現場を映し続けるなど、結局のところ自分達の思惑に移民、貧民を利用しているだけでしかなく、偽善、欺瞞にもほどがある。

彼らの活動からは、こんな事より先にすべき事はいくらでもあるのではないか、との感想しか生まれず、プロ市民団体は世界共通なのかと認識出来た事が、辛うじての収穫か。

ラストに披露される初公演の様子も、ラテンやインドなどの民族音楽とクラシックが混合された音楽は興味深く、それ自体を聴いて楽しむ事は可能。

とはいえ、画質の悪いビデオ撮りによる散漫な映像と編集の完成度は決して高くはない。興味があってもレンタル待ちで充分だろう。日本人なら外国の移民問題よりも、日本の移民問題を考える方が前向きだ。


tsubuanco at 19:46│Comments(0)TrackBack(2)clip!映画 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

★監督:アゴスティーノ・フェッレンテ(2006年 イタリア) ★あらすじ(Yahoo!映画より引用)...
2. 【ヴィットリオ広場のオーケストラ】を観た  [ NEW WAY.NEW LIFE ]   2009年04月04日 21:19
アゴスティーノ・フェッレンテ監督のドキュメンタリー映画【ヴィットリオ広場のオーケストラ】を観た 【20%OFF!】ヴィットリオ広場のオーケストラ(DVD) イタリアはローマにあるヴィットリオ広場、正式にはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世広場のそばにある歴史あるアポロ劇...

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Comments