2008年03月18日

線路と娼婦とサッカーボール 2点(100点満点中)

処女と少女と娼婦に淑女
公式サイト

グアテマラ貧民街の売春窟で生活する娼婦達によって作られたサッカーチームの活動を通じ、グアテマラの底辺社会の世相を追う、ドキュメンタリー映画。

この種の、格差やマイノリティを採り上げたドキュメンタリーには、作り手の政治思想を表現する手段として、そうした弱者が利用され、見世物にされていると感じられる作品が多々あり、本作もそれに違わず同じ穴のムジナ。

小銭で買えてしまう最底辺の娼婦達がサッカーチームを作る、なるお題は興味を惹き、世間的に話題になってもおかしくはないものだが、本作はそうして話題になったチームを取材しているのではなく、チームを作る前の段階から取材を始めているのだ。すなわちチーム結成自体が、本作の作り手による仕込みである事は瞭然であり、プロ市民が得意とするやり口そのままだ。やはり万国共通(笑

そうして自発的にやりたくて出来たわけではないサッカーチームが強いわけもなく、強くなる気もないのでは、メディアの話題性に煽られ、企業や団体の売名行為的に組まれる試合にただただ連戦連敗するだけで、スポーツドキュメントとしての面白さはまるでない。

社会派作品として、差別され迫害される地位や職業にある彼女達の、真実の姿や声を訴えかけるという側面においても、彼女らの一方的な視点による独白として、彼女らの苦境や苦悩を語らせるに留まっては何の工夫もなく、特段の興味が持続する事もない。

ましてや、時間を割いてクローズアップしている、同性愛者の痴話ゲンカや性同一障害者の悩みなどは、売春や貧困とは関係ない脱線にすぎず、本来の主張の芯をブレさせているだけでしかない。

結局この活動は何の成果もあげず、チームも解散して元通りになって終わるのでは、これまたプロ市民が得意とする、自己満足のパフォーマンスでしかない。しかもこの場合に満足したのは、当の娼婦達ではなく作り手のみだ。

こんな一時的なパフォーマンスより、正業の売春婦としてのサービス向上(特に衛生面)にでも務めた方が、よほど前向きではないかとすら思わされる。

可哀想な人を見せて同情させるでも、バイタリティ溢れる人を見せて感動させるでもなく、興味深い題材を仕込みまで施しておきながら、見るべきところのない退屈な映像の羅列にしか仕上げられなかった、作り手の能力の低さこそが一番の驚きどころだ。

映画の解説文を読んで得られる以上の物は特になく、鑑賞は時間の無駄。何より日本人なら、日本国内における格差社会の改善や売春問題の改善を、まず考えるのが道理だ。

題材から想起されるエロい要素も皆無どころか、むしろグロ画像が多いので注意。


tsubuanco at 15:23│Comments(0)TrackBack(1)clip!映画 

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