2008年05月23日

噂のアゲメンに恋をした! 65点(100点満点中)

ボイン! 超ボイン! 数あるボイン!
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この男とセックスすると理想の結婚相手と結ばれる、と噂のアゲメン"が"恋を"する"、エロコメ映画。

どう考えても意味が逆な邦題からも、本作をジェシカ・アルバ主演のオシャレ恋愛ムービーとして女性を対象に売ろうとの、配給会社の意図が見え見えだ。が、男側を主人公に、男の願望と葛藤にて恋愛とエロとコメディを描いている本作は、どちらかといえば男性向けだ。

また本作、構成要素であるエロとギャグはそれなりに面白く見せ場も多いが、恋愛に関してはかなり適当でおざなり、お約束に終始しているのだから、どちらが主で従かは瞭然。作品の本質を歪めた売らんかな宣伝は、いい加減やめてもらいたいものだ。

普通にベタなギャグとシニカルなギャグ、そしてエロを絡めたギャグに大別されるコメディパートはどれも、場面ごとの笑い要素としては充分以上のクオリティに仕上がっている。オシャレを気取って婉曲せずに、ストレートにネタを表現している潔さが、素直な笑いを生む結果に繋がっているのだろう。

序盤の結婚式場にて、やたらと鳩が飛んでいる様を、まずちょっとしたジョークとして紹介し、その後もさりげなく背景として見せておいて、ブーケトス時にオチとするなど、場面ごとのギャグの段取りに、必然と納得が生まれる様に考えられているのが面白い。ヒロインの職場風景にて、先にスベリ台を降りるペンギンをさりげなく且つ印象的に見せておいて、しばらく後にヒロインが落ちる段取りを展開させるなども同様。意表を突きつつ据わりのいいギャグが気持ちいい。

そのスベリ台など、体を張ったドタバタギャグの演出テンポも的確。ヒロインのドジっ子描写の一環として見せる、主人公の背中にスパチュラが突き刺さる場面を、まずスピーディーな痛々しいギャグとして笑わせ、しばらく後にまた、血がにじんだ背中をさりげなく映す事で、思い出しオチとして完結させるといった構成の上手さは先述の通り。

ヒロインのドジっ子設定をこれでもかと強調し、笑わせつつ魅力を引立てる盛り込み方が上手い。『ファンタスティック・フォー』シリーズなどもそうだが、やたらと屋外露出プレイ的な仕打ちを受けるジェシカが、本作でもパンツ丸出しになるギャグ場面では、そのパンツにペンギンのプリントがされている事で、笑いと可愛さと人物造形の全てを一度に行っており見事。

のだが、そのドジっ子描写が後半では影を潜め、それに伴いヒロイン自身の魅力も減衰していくのは困る。ラストのハッピーエンドに備えるため、タダでさえ後半の展開は恋愛が上手くいかなくなって、主人公視点で描かれる物語において、ヒロインはネガティブに扱われがちなのだから、無意味にドジっ子を忘れないでほしかった。

そもそも、何故主人公がヒロインに夢中になったのかもよくわからず、ヒロインの側が、一体何をどう考えての変遷なのかも更に不明瞭で、ラブコメのお約束の上辺をなぞっているとしか見えない、恋愛展開や人物描写は、あまりに杜撰すぎ、恋愛の進展そのものに興味が湧かないのは、一応恋愛をストーリーメインとしている作品としては問題だろう。薬中の弟の存在も中途半端だ。

発端となる子供時代から始まる本作、その時の描写の段階から、子役を使いながらエロを前面に押し出した作劇と演出がなされているのだから、徹底している。主人公がメンヘル魔女少女にレイプされるシチュエーションに至っては、コスプレ痴女やメンヘルリスカ少女に犯されたい男の願望を見事に具現化したもので、それをギャグとして見せる事で児童ポルノ化を抑えている、バランスの取り様も上手い。

のだが、この魔女少女(魔法少女ではない)、少年時代の主人公が怖れ避ける存在にしては、あまりにも可愛く魅力的で説得力に欠ける気もする。これはあるいは、主人公の一途な女性観を表現し、本編でヒロインに一途になる展開へと繋げているのだろうか。とはいえわかり辛い事には変わりない。本編中でも、相手がデブだから躊躇する事をギャグにしているのだから、少年期でも、明らかに可愛くないから嫌がる、というわかりやすい流れで良かったのでは。

そうして少女期をブサイクにしておいた方が、大人になって再会した時に、普通にキレイなお母さんになっているギャップも増大したとも思える。この大人元魔女、本当に"普通のお母さん"に徹したビジュアルと演技、演出が的確で、だけに彼女の娘を使ったオマセギャグが面白くなり、更には最後の大オチで「続けてたのかよ!」と大いにズッコケる事も出来て楽しい。

子供と大人のキャスティング、主人公と腐れ縁の幼なじみのデブに関しては、時代が変わっても一目で「コイツか」と認識出来るシフトは見事。劣化ジャック・ブラックと呼ばれがちなダン・フォグラーだが、主演作『燃えよピンポン』に続き、下品だが無害なデブキャラとしては、いい味を出せている。おっぱい好きが興じて豊胸専門医になったとの設定も、作品におっぱいをいっぱい出す理由付けとしても、キャラクター付けとしても丁度いいもの。

その豊胸および主人公のやりまくり場面が必然として用意されているおかげで、外人美女達の種々様々なおっぱいを次々に鑑賞出来る事が、エロ方面における見どころに当たる。だがその上で、最も露出しないヒロインこそが、最も魅力的に見えてしまうのだから、ジェシカ・アルバの持つ魅力と、それを引立てるべく演出した観点が見事。

あらゆる美女とやりまくれるが、本命のヒロインとだけはセックス出来ないとの設定は、エロコメ作品の定番テンプレートだが、それを踏まえた上でセンス良くギャグを展開した、気持ちのいい娯楽作。蛇足気味に用意されている、苦笑するしかないラストの下品ギャグも、バカバカしさが突出しており、締めとしては最適。

ただしおっぱいにこだわるあまり、それ以外のパーツへの視点に欠けているのは惜しい。


tsubuanco at 17:44│Comments(2)TrackBack(5)clip!映画 

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1. 噂のアゲメンに恋をした!  [ Memoirs_of_dai ]   2008年05月22日 18:56
この呪い、少し羨ましいかも・・・ 【Story】 チャック(デーン・クック)と長年交際した末に別れたガールフレンドが、次に交際した男性と宮.
2. 「噂のアゲメンに恋をした!」  [ クマの巣 ]   2008年06月02日 13:32
「噂のアゲメンに恋をした!」観てました、機内上映で。原題は「GOOD LUCK CHUCK」。まいど凄いね、邦題。 「メリーに首ったけ」ぽいノリのち...
3. 噂のアゲメンに恋をした!/Good Luck Chuck  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2008年06月10日 23:14
イケメン+アゲチン? 噂の揚げ麺、じゃなかった、アゲメン観てきました〜。 ジェシカ・アルバ、魅力全開{/heart_pink/} ラブコメってことで、全米公開の去年から気になってたこの映画、 ダッサイ邦題になっちゃったけどよく劇場公開になったな〜。 期待はしてなかったの...
4. 噂のアゲメンに恋をした!  [ ☆彡映画鑑賞日記☆彡 ]   2008年11月05日 20:19
 『ボクとHすると、 次の男と結婚できる! みんなに幸せ、 アゲます!』  コチラの「噂のアゲメンに恋をした!」は、R-15指定のくだらなくってと〜ってもおバカなエッチなラブ・コメディです♪”こんなジェシカに会いたかった!”なんてCMしてましたけど、うん!こん...
5. 【映画】噂のアゲメンに恋をした!…思った以上に下品でありました(^_^;)  [ ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画 ]   2009年02月01日 19:24
2月です{/kaeru_fine/} 毎年言っているような気がしますが、1月はあっという間に終わっちゃいますねぇ{/ase/} つい数日前に年が明けたような感覚なのですが…。 今日{/kaeru_fine/}は(今年は私、大厄らしいので{/face_hekomu/})地元の神社で厄払いをしてきました{/up/} ...

この記事へのコメント

1. Posted by 松井の天井直撃ホームラン   2008年05月27日 21:11
デート映画として観た後、ふと気まずい雰囲気になるやも知れぬ作品ですね…。
一時の快楽に溺れるか。それともいっそのこと今の相手を見切るか(汗)
2. Posted by つぶあんこ   2008年05月30日 17:26
女性向けラブコメとして宣伝した配給会社の罪ですよね。

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